スカシバガ類
スカシバガ科に属する。この仲間は、成虫の翅に鱗粉が無く、透き通っているため、「スカシバ」の名が付いた。成虫はハチに擬態しており、黄色と黒の体色が目立つ。また、ガの一種ながら、昼間に活動する。
※クチナシなどを食べるオオスカシバは、名前こそ似ているが、スズメガ科の虫であり、ここで取り上げているスカシバガとは別種である。
発生時期
5~11月
【補足事項】- カシコスカシバ…7~10月
- コスカシバ…5~9月
- ヒメコスカシバ…5~9月
- ブドウスカシバ…7~11月
被害箇所
枝、茎など。
形態など
老熟幼虫で体長2~4cm程度。体色は、乳白色~淡褐色など。種類によっては、成虫が羽化する際に、サナギの上半身を被害部の外に突き出すため、抜け殻が目立つ。いずれも年1回の発生。
【補足事項】- コスカシバ…老熟幼虫で体長2.5cm。体色は乳白色。幼虫で越冬する。
- ブドウスカシバ…老熟幼虫で体長3~4cm程度と大きい。体色は淡黄色。
主な被害
枝の分岐部や樹皮の裂け目などから樹皮下に侵入し、形成層を食害する。食入孔からは、オガクズ状の糞や、ヤニが出る。枝や幹が折れやすくなるばかりか、胴枯病や樹脂病などを誘発し、木を枯死に至らしめる。
【補足事項】- オオモモブトスカシバ…カラスウリの仲間だけを加害する。
- カシワスカシバ…クリの害虫として有名。
- コスカシバ…すでに被害を受けた場所や、接ぎ木部分など、傷のある場所に好んで産卵する傾向がある。同一箇所に被害が重なるほど樹皮が荒れ、凸凹になってくる。
- ヒメコスカシバ…カキの害虫として有名。接ぎ木部分や枝の分岐部を好む傾向がある。
- ブドウスカシバ…ブドウ類の枝や葉柄に食入する。特に新梢部分を好み、萎れさせる。10月以降は、虫のいる被害部分がふくらみ、よく目立つ。
対策
食入孔に針金を突っ込んで、中の幼虫を刺し殺す。被害部分を切り開き、中の幼虫を捕殺してもよい。(その後、木の傷跡に、カルスメイト、ケアヘルス、トップジンMペーストなどを塗布。)
【薬剤】【食入孔に処理】アクタラ、アルバリン、園芸用キンチョールE、カルホス、スミチオン、ダントツ、トクチオン、ベニカ、マラソン、モスピラン、リーズンなど。
【散布・塗布】ガットキラー、ガットサイドS、サッチューコートS、スミチオン、スミパイン、トラサイドAなど。
【注意点】薬剤散布は、成虫飛来期を集中的に狙う。
【補足事項】- カシワスカシバ…成虫飛来期が9月下旬~10月上旬にほぼ固定されているため、この時期に薬剤処理を行う。
- コスカシバ…雄成虫にのみ有効なフェロモントラップ剤があるが、一般家庭では入手しにくい。
予防策
弱った木ほど被害に遭いやすいため、木を健全に育てる。荒れた樹皮を削り落とし、木の表面をきれいに保つ。幹や枝に石灰乳を塗布すれば、産卵・食入を防ぐ効果がある。
【補足事項】- コスカシバ…幹や太枝の、傷のある部位に、コモなどを巻いておくと、産卵されにくい。
主な被害植物
【草花・鉢花】カラスウリなど。
【樹木・果樹】アンズ、ウメ、エビヅル、オウトウ、カイドウ、カキ、カシ類、カシワ、クヌギ、クリ、サクラ、シイ類、スモモ、ナシ、ナラ類、ネクタリン、フジ、ブドウ、プルーン、ボケ、モモ、リンゴなど。
主な種類
オオモモブトスカシバ、カシコスカシバ、カシワスカシバ、コスカシバ、ヒメコスカシバ、ブドウスカシバなど。