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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ゾウムシ類(樹幹に食入する種類)

ゾウムシ科に属する。被害に遭うのは老木や弱った木が多い。オリーブアナアキゾウムシは、オリーブの重要害虫である。
ゾウムシの仲間には、他に、若枝や果実などの柔らかい組織に食入する種類や、外部から普通に葉などを食害する種類もある。

発生時期

4~11月(成虫飛来期。)

【補足事項】いずれも成虫飛来期。
  1. オリーブアナアキゾウムシ…3~11月
  2. ハスジカツオゾウムシ…5~8月

被害箇所

幹、樹皮下、樹皮、新芽、葉柄、根など。

形態

【成虫の形態】甲虫類の一種。体長1cm前後。体色は、濃褐色~黒褐色などで地味。名前の通り、口吻がゾウの鼻のように長い。どの種類も、比較的、似通った姿をしている。

【補足事項】
  1. オリーブアナアキゾウムシ…体長1.5cm。体色は濃灰褐色で、体表はザラつく。夜行性。寿命は3~4年といわれる。成虫または幼虫で越冬する。
  2. ハスジカツオゾウムシ…体長1~1.5cm。体色は灰色で、背面にうっすらと二つ、V字型の模様が並んでいる。山間部に多い。
  3. リンゴアナアキゾウムシ…体長1.5cm程度。体色は黒褐色で、体表はザラつく。

【幼虫の形態】老熟幼虫で体長5~10mm程度。体色は乳白色や黄緑色など。全体的に丸みを帯びた体型で、脚は無い。

主な被害

【成虫の被害】枝や幹の樹皮を食害し、孔をあける。被害部分より上部の枝は枯死する。主幹が被害を受けると、株全体が衰弱枯死することがある。

【補足事項】
  1. オリーブアナアキゾウムシ…新芽、葉柄、樹皮などを食害する。

【幼虫の被害】枝や地際部分の樹皮下に食入し、内部を下方に向かって食害する。食入孔からは糞が出るが、全く出ないこともあり、発見しにくい。なお、食入孔は、比較的、低い位置にある。

【補足事項】
  1. オリーブアナアキゾウムシ…オリーブの重要害虫。樹皮下の木質部を食い荒らし、木を枯死に至らしめる。被害部分は、地際からの高さ40cm以下に多い。
  2. ハスジカツオゾウムシ…キク科植物の地際部分に食入する。被害部分はふくらみ、枯れ込む。

対策

【成虫の対策】見つけ次第捕殺する。

【補足事項】
  1. オリーブアナアキゾウムシ…夜行性のため、昼間は、被害樹の根元の草むらやマルチング材の中に潜んでいる。探して捕殺するとよい。

【成虫の薬剤】【散布】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アプロード、アルバリン、アントム、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンAP、カダンD、カルホス、グランドオンコル、サイアノックス、サニーフィールド、ジェイエース、ジェネレート、ショットイン、スケルサイドA、スターガード、スタークル、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノンSL、ダントツ、ディプテレックス、テルスター、トクチオン、トレボン、ノーモルト、パイベニカ、パーマチオン、ピレオール、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、マッチ、マラソン、マルチガード、モスピランなど。


【幼虫の対策】被害部分の樹皮をはいで探し、中の虫を捕殺する。(その後、木の傷跡に、カルスメイト、ケアヘルス、トップジンMペーストなどを塗布。)

【補足事項】
  1. ハスジカツオゾウムシ…見つけ次第、被害部分ごと虫を除去する。(この種類が食入するのは草本なので、切除が容易。)

【幼虫の薬剤】【食入孔に処理】アクタラ、アルバリン、園芸用キンチョールE、カルホス、スミチオン、ダントツ、テッポーダン、トクチオン、ベニカ、ベニカマツケア、マツグリーン、マラソン、モスピラン、リーズンなど。
【散布・塗布】ガットキラー、ガットサイドS、サッチューコートS、スミパイン、トラサイドAなど。

【注意点】食入孔に入れる薬剤は、直接噴射する他、綿に染み込ませて詰め、その上からフタをして気化させても効果がある。


【補足事項】
ハスジカツオゾウムシ…株元の土に、ダイアジノンなどを散布し、産卵・食入を防ぐ。

予防策

無理な移植などで株を弱らせない。周囲の雑草を除去する。過剰な施肥を控える。銀色に光るものを忌避するので、銀色ポリフィルムなどでマルチングする。
被害株の地際部分や落ち葉の中、周囲の草むらなどで越冬するので、冬に掃除して捕殺する。近くに枯死した被害株があれば、抜き取り処分する。

【補足事項】
  1. オリーブアナアキゾウムシ…5~6月頃、主幹の低い位置(高さ1m以下)に殺虫剤を散布し、産卵を防ぐ。また、大切な木の根元にマルチングをしたり、背の低い他の植物を植えたりしない。

主な被害植物

【草花・鉢花】アザミ、キクなど。

【ハーブ・野菜】ヨモギなど。

【樹木・果樹】イボタノキ、オウトウ、オリーブ、クスノキ、クヌギ、クリ、コナラ、サクラ、シキミ、タブノキ、ナシ、ネズミモチ、ヒマラヤシーダ、マツ類、ヤブニッケイ、ライラック、リンゴなど。

主な種類

オリーブアナアキゾウムシ(オリーブゾウムシ)、クスアナアキゾウムシ、クリアナアキゾウムシ、クロキボシゾウムシ、トドキボシゾウムシ、ハスジカツオゾウムシ、マツキボシゾウムシ、マツノシラホシゾウムシ、リンゴアナアキゾウムシなど。