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素人園芸解説 -私はこう育てる-

エリカ

イメージ

原産地

ヨーロッパ北部~地中海沿岸・南アフリカ・アフリカ東部~紅海沿岸

ツツジ科

高さ

0.2~3m(種類による)

花期

【冬~春咲き種】11~4月(不定期に咲く)

【夏~秋咲き種】6~12月(真夏に咲くものは少なく、ほとんどが秋~初冬に咲く)

形態

常緑低木

別名等

ヒース(英名)/ハイデ(ドイツ名)


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

3月中旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月中旬~9月上旬は30~50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。

【補足】きわめて日光を好む。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】なるべく雨に当てない。過湿にも乾燥にも弱く、水加減が難しい(葉が硬くてしおれないので、水切れしても気付きにくい)。

肥料

4月上旬~6月下旬と、9月中旬~10月下旬に、二週間に一度の液肥、または少量の固形肥料を置き肥(多肥は危険)。

【補足】窒素(N)は控えめに。秋の施肥は、春よりも少なめを心がける。

植え替え

【冬~春咲き種】花後すぐ~5月下旬か、9月中旬~10月上旬。

【夏~秋咲き種】3月か、花後すぐ~10月中旬(酷暑期は避ける)。


【補足】いずれも、1~2年に一度行う。

整姿

【冬~春咲き種】花後すぐ~5月上旬。

【夏~秋咲き種】花後すぐ~9月中旬(酷暑期は避ける)。


上記の時期に、花の咲いていた部分を剪定する(だいたい、全体が2/3~1/3になるように切る)。このとき、葉を残して切り戻せば早く萌芽する。
葉の無い箇所で切っても芽は出るが、そのような強剪定は、真夏と真冬を避けて行う。

繁殖

【挿し木】4月下旬~6月下旬か、9月(種類によっては発根前に枯れてしまい、難しい)。

【タネまき】採ってすぐにまく(土はかけない)。

耐暑性

やや弱い。

【ジャノメエリカ】わりと強い。

耐寒性

【南アフリカ原産種】種類によるが、最低5℃を保つと確実。

【ヨーロッパ原産種】わりと強い(-5℃)。

【補足】いずれも、高温にあわせない。

解説

  1. 近年、さまざまな原種・交配種が登場してきた、人気の高い植物。別名の「ヒース」には、「荒地」という意味がある。実際、日当たりのよい、やせた荒地でよく育つ。
  2. この仲間は、日光不足・過湿・過度の乾燥に弱く、耐暑性・耐寒性も劣ることから、少々やりづらい。どちらかというと、夏が涼しい寒冷地向きである。
  3. 大きく分けて、南アフリカ原産の種類と、ヨーロッパ原産の種類がある。前者の方が種類が多く、耐寒性は劣るものの比較的耐暑性があり、栽培しやすい。後者はその逆で、耐寒性は強いが耐暑性が弱い。なお、それぞれに、冬~春によく開花する種類と、夏~秋によく開花する種類がある。
  4. 南アフリカ原産種は、次のようなものがある。
    • 冬~春咲き種…アビエティナ、オトメエリカ、オアテシー、「かぐや姫」、カナリーヒース、カルネア「ピンクビューティー」、グランディフローラ、クリスタルヒース、コットンヒース、コニカ、ジャノメエリカ、シャミッソニス、スズランエリカ、パターソニア、ヒエマリス「クリスマスパレード」、ベントリコサ、メランセラ、レギアなど。
    • 春~夏咲き種…ファスティギアタ、ペルスピクア、ベルシコロルなど。
    • 夏~秋咲き種…アケボノエリカ、「ウィンターファイア」、グラシリス、コーラルヒースなど。
    • 不定期咲き種(扱いは冬~春咲き種に準じる)…アワユキエリカ、コロランス「ホワイトデライト」、ファイアーヒース、ブライダルヒース、「アフリカンファンファーレ」など。
  5. ヨーロッパ原産種は、次のようなものがある。
    • 冬~春咲き種…アルボレア、エリゲナ、カルネア、ダーリーエンシスなど。
    • 春~夏咲き種…アウストラリス、シリアリスなど。
    • 夏~秋咲き種…ウィリアムシー、シネレア、スチュアーティー、テトラリクス、バガンスなど。
  6. ジャノメエリカは、この仲間では最も強健で育てやすい。-5℃まで耐えるので、無霜地帯なら地植えも可能。耐暑性も強く、夏越しは容易である。トピアリー仕立てにも向く。ジャノメエリカの濃色花種は「ベニエリカ」と呼ばれる。
  7. ファイアーヒースは、名前が示すように、山火事にあうと開花する性質があるらしい。やや不定期咲きだが、山火事で焼かれなくてもきちんと開花する。
  8. ウィリアムシーはテトラリクスとバガンスの交雑種、クリスタルヒースはパターソニアとペルスピクアの交雑種、スチュアーティーはテトラリクスとマッケイアナの交雑種、ダーリーエンシスはエリゲナとカルネアの交雑種らしい。

注意点・病害虫

  1. ツツジ科植物なので、酸性で水はけ・水もちのよい土を好む種類が多い。ただし、ヨーロッパ原産種は、強い酸性の土を好まないので、弱酸性~中性に調整する。
  2. アブラムシ、カイガラムシに注意。

余談

  1. 切り花にする場合は、切り口をハンマーで叩いて砕けば水をあげやすい。ドライフラワーにする場合は、花が新鮮なうちに切り取り乾燥させる。

各種の和名・異名

  1. スパニッシュヒース/スパニッシュツリーヒース(いずれもアウストラリス)
  2. コクシネア(アビエティナの誤った名)
  3. エイジュ/栄樹/ツリーヒース(いずれもアルボレア)
  4. ヒベルニカ/メディテラネア(いずれも異名)/エイカン/アイリッシュヒース(いずれもエリゲナ)
  5. ジャノメエリカ/クロシベエリカ(いずれもカナリクラタ)
  6. ヘルバセア/ハーバセア(いずれも異名)/アルパインヒース/ウィンターヒース(いずれもカルネア)
  7. ピンク・ビューティー(カルネア「ピンク・パール」)
  8. ベルヒーサー(シネレア)
  9. ピンク・アイス(シネレア「ピンク・レース」)
  10. カミッソニス/グラハムストーンヒース(いずれもシャミッソニス)
  11. ドーセットヒース/ケエリカ(いずれもシリアリス)
  12. プラエゲリ/テトラリックス変種プラエゲリ(いずれもスチュアーティーの異名)
  13. アワユキエリカ(スパルサ)
  14. ブルッケンサリア・スピクリフォリア(異名)/スパイクヒース(いずれもスピクリフォリア)
  15. ファイアーヒース(セリンソイデス)
  16. ダーレイエンシス/キョッコウ/ダーリーデールヒース(いずれもダーリーエンシス)
  17. クロスリーブドヒース(テトラリクス)
  18. ストリアタ(異名)/コルシカンヒース(いずれもテルミナリス)
  19. コーラルヒース(バーティシラタ)
  20. ボウィエアナ(異名)/ブライダルヒース(いずれもバウエラ)
  21. コーニッシュヒース(バガンス)
  22. かぐや姫(バッカンス)
  23. アビエティナ(パターソニアの誤った名)
  24. ヤツブサエリカ(ヒエマリス)
  25. オトメエリカ(ヒルティフロラ)
  26. フォーシスターズヒース(ファスティギアタ)
  27. スズランエリカ(フォルモサ)
  28. カナリーエリカ/カナリーヒース(いずれもブランドフォルディア)
  29. コットンヒース(ペジザ)
  30. リンナエオイデス(異名)/リンカーンヒース/プリンスオブウェールズヒース/アフリカンファンファーレ(いずれもペルスピクア)
  31. アケボノエリカ/ワックスヒース(いずれもベントリコサ)
  32. マッカヤナ(マッケイアナの異名)
  33. アフリカエリカ(メランセラ)
  34. ロイヤルヒース/エリムヒース(いずれもレギア)

(※データ:大阪市基準)