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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ハイビスカス

イメージ

原産地

中国南部・インド東部・南太平洋諸島・熱帯アフリカ

アオイ科

高さ

30~300cm

花期

5~11月

形態

常緑低木

別名等

ヒビスクス(属名)


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

4月上旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(ハワイアン系は、酷暑期のみ50%遮光する)。
越冬中は、室内の日当たり。

【補足】インドアハイビスカスは室内でも開花するが、なるべく日光に当てる。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。越冬中は、ごく控えめに。

肥料

4月中旬~11月上旬に、7~10日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

【補足】肥料切れすると、開花しなくなる。

植え替え

4月中旬~9月下旬(4~5月が最適期)。

【補足】根詰まりしやすいので毎年行う。根をなるべく切らない。
アーノッティアヌスとワイメアエは根が弱いため、なるべく傷付けない。

整姿

伸びすぎたら、4~7月に、全体を1/3~1/2程度に切り戻す。

繁殖

【挿し木】5月上旬~9月上旬。(発根まで1ヵ月~1ヵ月半かかるので、なるべく早く。ハワイアン系は、挿し木では発根しにくいため、接ぎ木で増殖するのが一般的。)

【接ぎ木】5月上旬~8月上旬(台木はオールド系を用いる)。

耐暑性

強いが、生育・開花は鈍る。

【コーラル系】とても強い。

【ハワイアン系】やや弱く、生育・開花が止まる。

耐寒性

最低5℃を保つが、できれば8℃欲しい。

【コーラル系・ハワイアン系】最低10℃を保つ。

解説

  1. 夏の鉢花の定番中の定番。これほど有名な植物なのに、原産地は定かでないらしい。大きく分けて、「オールド系(タヒチアン系)」「コーラル系」「ハワイアン系」の三系統がある。最も丈夫で育てやすいのはオールド系、次いでコーラル系である。
    • オールド系…ブッソウゲの血が濃い系統で、小~中輪の花を絶え間なく咲かせ続ける。とても丈夫で育てやすい在来種である。葉の縁に鋭いギザギザが多く、耐暑性・耐寒性・耐病性に優れる。
    • コーラル系…フウリンブッソウゲの血が濃い系統である。花型が特徴的で、主な品種に、「フラミンゴ」「レッド・フラミンゴ(エル・カピトリオ)」などがある。細い枝があまり分枝せずに長く伸び、枝垂れる性質がある。耐暑性・耐病性は強いが、耐寒性が弱い。
    • ハワイアン系…葉が丸みを帯びているのが特徴。耐寒性は弱い。小~中輪の品種と、色鮮やかな大輪の品種がある。小~中輪の品種は比較的丈夫だが、大輪系の品種は耐暑性・耐病性に欠け、やや気難しい。
  2. ハワイアン系の大輪品種は育てにくいが、花の豪華さ、花色の豊富さでは他の系統を寄せ付けない。他の系統には無い、青みを帯びた花色も存在する。思わず殖やしたくなるが、発根まで時間がかかるため、挿し木は困難である。接ぎ木か実生で。
  3. 近年は原種のハイビスカスも一般的になっている。代表種は、アーノッティアヌス、コキオ、ワイメアエなど。雰囲気は、全体的にハワイアン系に似る。(原産地はハワイの他、アフリカやフィジー諸島など。)耐暑性に優れ、真夏でも開花が続く。栽培難易度は種類によって異なるが、ハワイアン系ほど気難しくはない。
  4. ブッソウゲは野生種が存在せず、大昔に複数の原種から生じた交雑種と推測されている。また、フウリンブッソウゲも、交雑起源ではないかとする説がある。
  5. オランダで作出された「インドアハイビスカス」は、室内でも開花する品種群である。性質はオールド系に準じる。
  6. 「クーペリー」「スノーフレーク」などの斑入り葉の品種もあり、観葉植物として売られている。どちらも葉に白斑が入るが、よく日光に当てると、葉が赤みを帯びて美しい。「クーペリー」は赤みが特に強い。花色は赤。
  7. 潮風に強い。
  8. ハイビスカスの仲間に、アフリカ原産のローゼル(ロゼリソウ)という植物がある。四季咲きの常緑亜低木だが、寒さにとても弱いため、春まき一年草扱いされる。ハーブで「ハイビスカス」といえば、これを指し、花後の果実(正確には多肉質のガク)や葉を食用にする。根も薬用に使われる。別ページで解説済み。

注意点・病害虫

  1. 開花中の鉢植えを購入した場合、矮化剤処理されているものが多いので、その年は、あまり枝が伸びない。しかし、翌年から急に大きくなり、樹形が乱れてくる。なお、矮化剤が効いている株は、枝の節間が詰まり、葉の緑色が濃く、分厚い。
  2. 何の前触れもなく、突然立ち枯れることがある(立枯病)。土が過湿気味になったり、根がひどく傷付いたりすると発生しやすい。
  3. アオイ科植物なので、ハマキムシやアブラムシがよく付く。また、ウイルス病にかかることがある。

余談

  1. 「ブルーハイビスカス」の名前で出回っている植物は、アオイ科アリオギネ属に属し、オーストラリア南部~南西部の乾燥地に自生する。葉は深く切れ込み、花は淡紫色。育て方はハイビスカスとは異なり、乾き気味の管理を心がけ、多肥を避ける一方、耐暑性が弱いので、強い日光を避ける。耐寒性は比較的強く、暖地なら戸外で霜除けすれば越冬する。挿し木で殖やす。寿命が短い。

各種の和名・異名

  1. ロサ-シネンシス変種スキゾペタルス(異名)/フウリンブッソウゲ/風鈴仏桑華/ジャパニーズハイビスカス(いずれもスキゾペタルス)
  2. ブッソウゲ/仏桑華/ブラッキングプラント/チャイニーズハイビスカス/ハワイアンハイビスカス/ローズオブチャイナ/チャイナローズ/シューブラック(いずれもロサ-シネンシス)
  3. エル・カピトリオ(「レッド・フラミンゴ」の別名)

ヒビスクス属以外の種類。

  1. レッドセンタードハイビスカス/デザートローズ(いずれもアリオギネ・ハケイフォリア)
  2. ヒビスクス・ヒューゲリー(異名)/ブルーハイビスカス(いずれもアリオギネ・ヒューゲリー)

(※データ:大阪市基準)