いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

シコンノボタン/ノボタン

イメージ

原産地

中南米・中国南部~東南アジア・オーストラリア

ノボタン科

高さ

50~300cm(種類による)

花期

4~12月(種類による)

形態

常緑低木

別名等

スパイダーフラワー


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。


【ヒメノボタン】4月上旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月中旬~9月上旬は30~50%遮光したほうがよい)。
越冬中は、室内の日当たり。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。越冬中は、ごく控えめに。

肥料

4月上旬~10月下旬に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。

植え替え

4月中旬~5月下旬か、9月上旬~10月下旬。

【補足】できれば毎年行う。太い根をなるべく傷付けない。

整姿

伸びすぎれば剪定するが、6月以降は傷みやすいので控える。強剪定したい場合は、4~5月に行う。

繁殖

【挿し木】3月下旬~10月中旬(酷暑期は避けたほうがよい)。

耐暑性

強い。

耐寒性

最低5℃を保つ。

解説

  1. ノボタンの仲間は種類が多く、しかも複数の属にまたがっている。下に、主要6属と、それぞれの代表種を挙げておく。開花期や樹高は、種類ごとに大きく異なる。花色は、どの仲間も紫~赤紫色が多い。
    • オスベッキア属…ブータンノボタン(8~10月咲き)。
    • セントラデニア属…シダレノボタン「カスケード」(12~4月咲き)。
    • チボウキナ属…シコンノボタン(7~10月咲き)、「コートダジュール」(8~12月咲き)、「リトル・エンジェル」(10~12月咲き)。
    • ブレディア属…ハシカンボク(8~10月咲き)、「ロイヤル・ウェディング」(2~4月咲き)。
    • ヘテロセントロン属…ヒメノボタン(5~7月咲き)。
    • メラストマ属…ノボタン(6~8月咲き)。
  2. 中南米原産のシコンノボタンと、アジア原産のノボタンの二種類は、この仲間では最も一般的。いずれも、比較的耐寒性が強く、霜の降りない暖地なら庭木になる。白花種もある。両者は雰囲気がよく似るが、ノボタンの系統は、雄しべが黄色いのが特徴。
  3. シコンノボタンが属するチボウキナ属には、有名品種がたくさんある。交雑種に由来する「コートダジュール」や、その斑入り品種の「ジブラルタル」、枝変わり品種の「コートダジュール・あけぼの」、「コートダジュール・ピンク」、「バレンシア」。その他、花が咲き進むにつれて紫~桃色に変化する「リトル・エンジェル」、その枝変わり品種「オータム・カーニバル」などが定番。いずれも耐寒性が強い。
  4. やはり中南米原産のヒメノボタンは、茎が横に這うほふく性の小型種で、吊り鉢に向く。こちらはやや耐寒性が弱い。
  5. セントラデニア属のシダレノボタン「カスケード」も、ほふく性の種類である。メキシコ原産で、比較的耐寒性があるが、霜には当てない。
  6. 最近見かけるブータンノボタンは、オスベッキア属に属する。
    余談だが、オスベッキア属は、日本語で「ヒメノボタン属」という。が、この属に名前を使われているヒメノボタン(学名:オスベッキア・シネンシス)という植物は、上記のヘテロセントロン属のヒメノボタン(学名:ヘテロセントロン・エレガンス)とは別の植物である。さらに面倒なことに、多肉質の葉を持つベルトロニア・マルモラタという植物も、「ヒメノボタン」の和名を持つ。つまり日本では、「ヒメノボタン」と呼ばれる植物は、少なくとも三つ存在する。
  7. なお、ベルトロニア・マルモラタは、れっきとしたノボタン科の植物だが、ここで取り上げているノボタンの仲間とは大きく雰囲気が異なり、肉厚の葉をロゼット状に広げ、紫色の小花を穂状に咲かせる。多肉植物として扱われることもある。
  8. 九州南部~沖縄原産のハシカンボクも、ノボタンの仲間で、ブレディア属に属する。高さは1m程度。こちらは強い日光を嫌うので、冬季以外は西日を避ける。日本原産とはいえ、やや寒さに弱い。
  9. 同じブレディア属の仲間に、東南アジア原産の「ロイヤル・ウェディング」という品種もある。花色は白。

注意点・病害虫

  1. 市販の鉢植えは、矮化剤が使われているため、なかなか大きくならない。しかし、薬の効果が切れると、急に伸び始める。生長はかなり早い。
  2. やや酸性の土を好む。
  3. この仲間は、基本的に丈夫で育てやすいが、突然、立ち枯れることがある。

余談

  1. ノボタンの果実は食用になるが、食べると口の中が黒くなる。属名の「メラストマ」は、「黒い口」を意味するらしい。

各種の和名・異名

  1. オスベッキア属
    • ヒメノボタン/姫野牡丹(シネンシス)
    • ブータンノボタン/ヒマラヤンオパール(いずれもネパレンシス)
  2. セントラデニア属
    • サクラノボタン/桜野牡丹(イナエクィラテラリス)
    • シダレノボタン/枝垂野牡丹(イナエクィラテラリス「カスケード」)
  3. チボウキナ属
    • チボウキナ・セミデカンドラ(異名)/シコンノボタン/紫紺野牡丹/ブラジリアンスパイダーフラワー(いずれもウルビレアナ)
    • トウキョウ/トウキョウノボタン/東京野牡丹(いずれも「リトル・エンジェル」)
  4. ブレディア属
    • ハシカンボク/波志干木/ハシカン(いずれもヒルスタ)
  5. ヘテロセントロン属
    • ヘーリア・エレガンス/スキゾセントロン・エレガンス(いずれも異名)/ヒメノボタン/姫野牡丹/メキシコヒメノボタン/スパニッシュショール(いずれもエレガンス)
  6. ベルトロニア属
    • ヒメノボタン/姫野牡丹(マルモラタ)
  7. メラストマ属
    • ノボタン/野牡丹/姫石榴(いずれもキャンディドゥム)
    • ムニンノボタン/無人野牡丹(テトラメルム)

(※データ:大阪市基準)