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素人園芸解説 -私はこう育てる-

アサガオ

イメージ

原産地

アジアの熱帯~亜熱帯・インド~ヒマラヤ・北アメリカ南部~熱帯アメリカ

ヒルガオ科

高さ

10~300cm(多くの品種はつる性)

花期

7~10月

形態

一年草または多年草

別名等

イポメア・ニル(学名)/イポメア・インペリアリス/ファルビティス・ニル(いずれも異名)/朝顔/ケンゴシ/牽午子/モーニンググローリー/ジャパニーズモーニンググローリー


(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

【一年草種】5月上旬~10月下旬の生育期は、戸外の直射日光下。

【多年草種】4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。越冬中は、ごく控えめに(多年草種のみ)。

【補足】きわめて水を好み、すぐ萎れるので注意。乾き次第、一日に何度でも水を与える。

肥料

【一年草種】5月上旬~9月下旬に、固形肥料の置き肥、または週に一~二度の液肥。

【多年草種】4月上旬~10月下旬に、小量の固形肥料の置き肥、または二週間に一度の液肥。


【補足】いずれも肥料を好むが、多肥が過ぎると、茎葉が茂りすぎて開花しにくい。開花が始まったら、リン酸(P)を多めにし、窒素(N)を控える。

植え付け

5月上旬~7月上旬。

【補足】移植を嫌うので、根鉢を崩さない。

整姿

つるがよく伸びるので、しっかり誘引する(上から見て、反時計回りに巻き付ける)。水やり直後はつるが硬くなり、折れやすいので、萎れ気味の時に作業する。
生育途中、根が鉢土の上に露出してきたら、増し土をしておく。


【仕立て方】原則に従わなくても、我流でも何とかなる。

行灯仕立て(孫づるに着花)…方法はいろいろあり、下記は一例。

本葉が5~8枚になったら親づるを摘芯し、親づるの先端1~3節目から発生した子づる3本を伸ばす。
次に、子づるの葉が5~7枚になったら、下葉を3枚残して摘芯する。その後、子づるから発生した孫づるを誘引し、これに着花させる。
行灯の下の段から絡ませてゆき、輪を2/3周したら上の段に進み、最上段に到達したら、1/4周させて芯を止める。


行灯仕立て(子づるに着花)…つるを1本に制限するため、大きな花が咲く。

本葉が9~10枚になったら親づるを摘芯し、その二~三日後に、本葉を7枚残して親づるを切る。
次に、親づるの先端2~5節目から発生した子づる3~4本を伸ばさせる。子づるの葉が3~4枚になったら、親づるの一番上にある7枚目の葉を摘み取り、一番生育の良い子づるを一本だけ選ぶ。
選ばれなかった子づるを、一~二日おきに、一本ずつ摘み取る。(一度に摘み取ると株へのダメージになる。)
上記と同様に行灯に誘引し、着花させる。


切込み仕立て(切込み作り・盆栽仕立て)…あまり一般的でない。

本葉が9枚になったら一回目の摘芯をし、その二日後に、8枚目の葉の上で摘芯、さらに二日後に、7枚目の葉の上で摘芯する。
次に、下から3~5枚目の葉の腋から出た子づるを伸ばさせ、それ以外のつるを摘み取る。子づるにつぼみが付いたら、先端から二~三節目にあるつぼみだけを残し、他のつぼみを摘み取る。
つぼみが2~3cmになったら肥料を打ち切る。

繁殖

【タネまき】5月上旬~7月上旬。(発芽適温が25℃前後と高いので、早まきは避ける。種皮に傷を付けて一晩水に浸し、ふくらんだタネをまく。タネの上下は、平らになっている方が下らしい。)

【株分け・挿し芽】5~9月(多年草種のみ可能。水挿しでもよく付く。)。

耐暑性

強いが、結実しにくくなる。

耐寒性

【一年草種】とても弱い。

【多年草種】最低0℃を保つ。

解説

  1. 夏の風物詩である。日本に渡来したのは1200年以上も前とされる。よく知られている在来のアサガオの他、最近は、西洋アサガオや、多年草のノアサガオの仲間もよく見かける。
  2. 昔からある在来のアサガオは、以前はアサガオ属だったが、今は、西洋アサガオやノアサガオと同じ、イポメア属(サツマイモ属)の植物になっている。学名「イポメア・ニル」。
  3. 在来のアサガオは、歴史の長い植物ということもあって園芸品種が非常に多く、花色も豊富。花の見事な大輪~巨大輪の系統が一般的だが、中~小輪の系統や、吊り鉢向きの矮性品種、つるが伸びない品種、「変化朝顔」と総称される変わり咲き系統などもある。
  4. 「変化朝顔」には、桔梗咲き、牡丹咲き、獅子咲き、采咲き(撫子咲き)などがあり、一見アサガオとは思えない花型をしている。葉も異様な形に変化していることが多く、つるが伸びない種類も多い。奇形花のため、タネができにくいが、変わり咲きの性質は、遺伝的に継承されるので、兄弟にあたる株(普通の花が咲く株)からタネを採ってまけば、また面白い変化が起きることがある。なお、「変化朝顔」の世界は非常に奥深いので、ここではこれ以上触れないことにする。
  5. 花弁が細かく切れ込んだり、細長い付属弁が増えたりする「ひげ咲き」も、アサガオの花の変化の一つだが、こちらは普通にタネが採れる。一見、八重咲きのように見える、なかなか豪華な花である。
  6. 在来の大輪系アサガオの仕立て方は、地方ごとにさまざまな方法がある。現在は「行灯仕立て」が最も一般的だが、他にも、こぢんまりとした「切込み仕立て(盆栽仕立て)」や、ブーケのように豪華に咲かせる「数咲き作り」、螺旋状に巻いた針金につるを誘引する「らせん仕立て」などがある。行灯仕立て以外の方法は、結構、手間がかかる。
  7. 最近は、つるの伸びにくい矮性品種を吊り鉢などに植え込んて枝垂れさせる、といった方法も一般的。フェンスなどに誘引して真夏の日除けに使うのも良い方法である。
  8. アサガオの花は、5枚の花弁が合着して、一つの花冠を形作っている。大輪系の品種は、花弁数が6枚以上に増え、花が大きくなったものらしい。
  9. 曜白(ようじろ)系の品種は、アサガオと、近縁のマルバアサガオの交雑種から作られたらしい。花に、5本の「曜(=合着した花弁の中央にある筋模様)」が放射状に入り、花縁も白くなるのが特徴。花もちが良く、午後になっても萎れない。
  10. 西洋アサガオの代表種は、「ヘブンリーブルー」であろう。こちらも花もちがよく、午後まで花が咲いている。その他の品種に、「ウェディングベル」「スカーレットオハラ」「パーリーゲーツ」「フライングソーサー」「ブルースター」などがある。最近は、在来のアサガオよりもよく見かける。
  11. ノアサガオは、日本の紀伊半島・四国の南岸より南に自生する。比較的耐寒性が強く、多年草として扱われる。「イリオモテアサガオ」「琉球アサガオ」「オーシャンブルー」「クリスタルブルー」など、いろんな名で出回っている。自家結実しない性質で、通常はタネが採れない。株分けや挿し芽で殖やす。
  12. イポメア属の植物はいずれも多年草だが、耐寒性の無いものが多く、日本では一年草扱いが普通である。ただ、ノアサガオのように、暖地なら地植えで越冬できる種類は、多年草として扱う。
  13. アサガオの花は早朝、太陽が昇るか昇らないか、という時間帯から咲き始め、陽が高くなる頃にしぼむ。早起きしないと美しい花は見られない。前日の日没より9~10時間後に咲き始める性質らしい。秋になり、気温が下がり始めると、花もちがよくなってくる。

注意点・病害虫

  1. この仲間は短日植物なので、花の盛りは盛夏~秋に訪れる。人為的に夜の時間を長くする「短日処理」を行えば、少し早く開花するが、晩生種でない限り、あまり意味はないと思われる。
  2. 短日処理を行う場合は、気温が25~26℃以上になったときに、健康な葉を一枚選び、アルミ箔などですっぽり挟んで1~3日(系統により異なる)遮光する。(他の短日植物のように、株全体を遮光する必要はないらしい。)遮光時間は12~28時間とされるが、こちらも系統により異なる。(よく分からなければ14時間で。)成功すると、約20日後に花芽が見られる。
  3. 比較的タネの寿命が長く(5~6年以上)、古いタネでも発芽しやすい。冷蔵庫で保管すれば、さらに寿命が延びる。
  4. どの系統も、きわめて生育旺盛なので、最低でも5~6号以上の鉢で栽培する。小さな鉢では水切れしやすい。
  5. 連作を嫌うため、毎年違う土で栽培する。
  6. 大気中の汚染物質や酸性雨に敏感な植物である。特に、幹線道路沿いの地域などでは、花や葉に、斑点状の色抜けを生じることがある。病気ではないため、対処法はない。

余談

  1. アサガオのタネは「牽午子(けんごし)」と呼ばれ、強烈な下剤として知られる。流産を誘発する効果もあり、素人療法は禁物。自家採種すると、たまに、色の淡い、白っぽいタネが混じっているが、これは特に効果が強いらしい。なお、煎じても効果がないので、ごく少量を粉末にして直接飲んで用いる。(面白半分で試さないこと。)

各種の和名・異名

  1. レアリー/アクミナタ/ファルビティス・コンゲスタ(いずれも異名)/ノアサガオ/野朝顔/宿根アサガオ/リュウキュウアサガオ/琉球朝顔/イリオモテアサガオ/西表朝顔/オキナワアサガオ/沖縄朝顔/オーシャンブルー/クリスタルブルー/ケープタウンブルー/ケープタウンアサガオ/ブルードーンフラワー(いずれもインディカ)
  2. アツバアサガオ/厚葉朝顔/ビーチモーニンググローリー(いずれもインペラティ)
  3. ヒメノアサガオ(オブスクラ)
  4. パルマタ(異名)/モミジヒルガオ/紅葉昼顔/モミジバヒルガオ/紅葉葉昼顔/タイワンアサガオ/台湾朝顔(いずれもカイリカ)
  5. クラッシカウリス/フィスツロサ(いずれも異名)/コダチアサガオ/木立朝顔/ツリーイポメア(いずれもカルネア亜種フィスツロサ)
  6. ソコベニヒルガオ/底紅昼顔(グラシリス)
  7. イモネノホシアサガオ(トリコカルパ)
  8. ルブロカエルレア(異名)/セイヨウアサガオ/西洋朝顔/ソライロアサガオ/空色朝顔/サンシキヒルガオ/三色昼顔/ブルーモーニンググローリー(いずれもトリコロール)
  9. ホシアサガオ/星朝顔(トリロバ)
  10. イモネアサガオ(パンデュラタ)
  11. カルネア亜種フィスツロサ(異名)/コダチアサガオ/木立朝顔(いずれもフィスツロサ)
  12. コンボルブルス・プルプレア/ファルビティス・プルプレア(いずれも異名)/マルバアサガオ/丸葉朝顔/コモンモーニンググローリー(いずれもプルプレア)
  13. グンバイヒルガオ(ペス-カプラエ)
  14. アメリカアサガオ(ヘデラセア)
  15. ホザキアサガオ/プリンセスパイン/カーディナルクリーパー(いずれもホルスファリアエ)
  16. マメアサガオ/豆朝顔(ラクノサ)
  17. カワズバアサガオ(リンドヘイメリ)
  18. ベルシコロール/ミナ・ロバタ/クアモクリット・ロバタ(いずれも異名)/スパニッシュフラッグ(いずれもロバタ)

(※データ:大阪市基準)