ポピー
イメージ
原産地
ヨーロッパ中部・西南アジア・北アメリカ西部
科
ケシ科
高さ
20~150cm(種類による)
花期
12~7月(種類による)
形態
一年草または多年草
別名等
パパベル(属名)/ケシ/芥子/罌粟/ポッピー
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
10月下旬~7月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
【オリエンタルポピー】戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
【補足】いずれも耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。
水やり
土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。
肥料
秋の元肥の他、2~4月に、少量の固形肥料を置き肥、または二週間に一度の液肥。
【オリエンタルポピー】3月と、10月に、固形肥料の置き肥。
植え付け
3月上旬~4月上旬か、10月上旬~11月中旬(秋のほうがよい)。
【補足】この仲間は直根性で移植を嫌うので、根鉢を崩さない。
整姿
特に無し。
繁殖
【タネまき】3月中旬~4月上旬か、9月下旬~11月上旬。(秋のほうがよい。微細種子のため、土はかけない。)
【株分け・根伏せ】9月上旬~11月中旬(オリエンタルポピーのみ可能)。
耐暑性
とても弱い。
耐寒性
とても強い(-30℃)が、寒地では防寒する。
解説
- 園芸上は、アイスランドポピー、ヒナゲシ(シャーレーポピー)、オリエンタルポピーの三種類を「ポピー」と総称することが多い。アイスランドポピーとヒナゲシは一年草、オリエンタルポピーは多年草として扱う。
- いずれも、茎葉やつぼみに粗い毛が生えている。園芸品種が多く、花色は、白~桃、黄、橙、赤などいろいろ。
- アイスランドポピーも、本来は多年草だが、名前の通り、北極圏の原産であるため、暑さに極端に弱い。夏越しはまず不可能なため、一年草扱いである。
- ヒナゲシは、「シャーレーポピー」「虞美人草」の別名でも知られる。こちらはそもそも一年草で、タネができれば枯死する。八重咲き種もある。
- オリエンタルポピーは、少し耐暑性があり、夏が冷涼な地域なら夏越し可能なため、多年草扱いされる。とはいえ、暖地では夏に枯れやすい。他のポピーとは異なり、冬に地上部が枯れ込む。
- 東北以南で雑草化している、朱橙色の花を咲かせるポピーは、ナガミヒナゲシという種類である。地中海沿岸原産で、1961年に東京で見つかった帰化植物。ヒナゲシに似るが、花色が一色しかなく、果実が細長いことから区別できる。繁殖力が凄まじい。
注意点・病害虫
- 複数株を地植えする場合は、株間を20~25cmほど取らないと、風通しが悪くなり、蒸れて立ち枯れることがある。
- タネはとても細かく、まるで粉である。見かけによらず発芽率がよく、花壇に直接まいてもよく育つ。直根性で移植を嫌うので、直まきにするか、ビニールポットなどにまき、ある程度大きくなったら、根鉢を崩さないよう注意して移植する。
- タネの寿命が短めなので、古いタネは用いない。
- 自家結実しにくいらしい。二株以上あると、花後にたくさんのタネが採れる。
- 連作すると、株がいじけて育たない「萎縮病」と呼ばれる症状が出やすい。
余談
- 花持ちはあまりよくないが、切り花に適する。つぼみがほころび始めたら切るとよい。
- ケシといえば、麻薬のアヘン(阿片…モルヒネの原料)が採れることで有名である。が、ここで取り上げた園芸用のケシは、アヘンを含まない。(オリエンタルポピーはごく微量、含むらしい。)日本で栽培が禁止されているケシは、ソムニフェルム(ケシ)、セティゲルム(アツミゲシ)、ブラクテアツム(ハカマオニゲシ)の三種類。いずれも草丈が高く、1m前後になる。栽培禁止植物とはいえ、いずれも花が美しいため観賞用に導入され、地域によっては普通に生えている。
- ソムニフェルムは、茎葉が全体的に白っぽく、ほとんど毛が無い。また、葉の付け根が茎を抱くのが特徴。八重咲きの品種があり、「ボタンゲシ」と呼ばれる。セティゲルムは、ソムニフェルムによく似るが、全体的に小型で、毛が多い。いずれも秋まき一年草。
- ブラクテアツムは、姿も性質も、オリエンタルポピーにそっくりで、ほとんど区別が付かない。実際、オリエンタルポピーに紛れて出回ることがあるらしい。花は鮮赤色で、花弁の基部に大きな黒い斑紋がある。オリエンタルポピーにも、そのような花を咲かせる品種がある。
- ブラクテアツムは、ソムニフェルムやセティゲルムと違い、麻薬成分をあまり含まない。しばしばオリエンタルポピーに紛れて出回る理由は、「外国では安全とされる種類だから」らしい。
- あんパンの上にのっている粒々は、ソムニフェルムのタネである。麻薬成分が含まれるのは汁液(特に、未熟な果実から採れる乳液)であって、タネには全く含まれない。
各種の和名・異名
- オニゲシ/鬼芥子/鬼罌粟/オリエンタルポピー(いずれもオリエンタレ)
- モンツキヒナゲシ/紋付雛芥子/紋付雛罌粟/レディバード(いずれもコンムタツム)
- アツミゲシ/渥美芥子/渥美罌粟(セティゲルム)
- ケシ/芥子/罌粟/オピウムポピー(いずれもソムニフェルム)
- クロセウム(異名)/アイスランドポピー/シベリアヒナゲシ/アークティックポピー(いずれもヌディカウレ)
- リシリヒナゲシ/利尻雛罌粟/利尻雛芥子(フォーリエイ)
- ハカマオニゲシ/袴鬼芥子/袴鬼罌粟(ブラクテアツム)
- アルピヌム亜種ブルセリ(異名)/アルパインポピー(いずれもブルセリ)
- フォーリエイ(異名)/チシマヒナゲシ/千島雛芥子/千島雛罌粟(いずれもミヤベアヌム)
- ヒナゲシ/雛芥子/雛罌粟/グビジンソウ/虞美人草/コーンポピー/コーンローズ/レッドウィード/シャーレポピー/シャーレーポピー/フィールドポピー(いずれもロエアス)
(※データ:大阪市基準)