いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

パンジー/ビオラ

イメージ

原産地

ヨーロッパ・北アフリカ・西アジア

スミレ科

高さ

10~50cm

花期

10~5月

形態

秋まき一年草または多年草

別名等

ビオラ・ウィットロッキアナ(園芸品種群の学名)


サンシキスミレ/サンショクスミレ/三色菫/コチョウカ/胡蝶花/コチョウソウ/胡蝶草/ガーデンパンジー(いずれもパンジー)
タフテッドパンジー(ビオラ)

日照

8月下旬~6月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。

【補足】原種やビオラには耐陰性があり、少しの日陰なら耐える。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。

【補足】大輪種~超巨大輪種は、花が傷みやすいので、雨に当てない。

肥料

10~4月に、週に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

【補足】肥料が切れると開花も途切れる。

植え付け

2月下旬~4月上旬か、10月中旬~11月中旬(秋のほうがよい)。

整姿

枯れた下葉や花がらは、病気のもとなので、まめに摘み取る。夏越しできそうなら、花後すぐ、1/2まで刈り込む。

繁殖

【挿し芽】5~6月か、9月。

【タネまき】8月中旬~10月下旬。(発芽適温が10~15℃と低いので、早まきしない。タネを湿らせてから密封し、1ヵ月間冷蔵庫に入れる「冷蔵処理」をしてからまくと、発芽率が上がる。発芽まで二週間以上かかることがある。)

耐暑性

とても弱い。

耐寒性

わりと強い(-10℃)が、強く凍らせない。

解説

  1. 今さら説明不要なほど有名な草花である。冬~春花壇の定番中の定番。園芸品種が大変多く、花色が豊富。なお、山野草として扱われるスミレは別ページに分けた。ここで取り上げたのは、改良の進んだ華やかな交配種群である。
  2. パンジー、ビオラともに、スミレ属(ビオラ属)の植物である。園芸上は下記のように区別する。ただし、近年は両者の交配が進み、区別が曖昧になっている。
    • パンジー…原種のトリコロールを中心に、アルタイカ、カルカラタ、コルヌタ、ルテアなどを交配して作られた、超巨大輪~中輪の花を咲かせる系統。花数そのものは少なめ。
    • ビオラ…原種に近く、小輪~極小輪の花を咲かせる系統。きわめて多花性。
  3. 原種は、長日植物で春咲きだったが、品種改良により、秋から咲き始める早咲き種が一般的になった。とはいえ、やはり花が最も美しいのは早春~春である。
  4. 大輪~超巨大輪の花を咲かせる品種は、花が大きいぶん、雨に弱い。雨除けできない花壇に植えるなら、中~小輪の品種が適する。花は小さいが、その代わり、たくさん開花するので見映えがする。

注意点・病害虫

  1. 本来は常緑の多年草だが、よほどの冷涼地でない限り、夏越しは難しい。最近人気の「宿根ビオラ」も、暖地では夏越しに失敗しやすい。寒冷地以外は一年草扱いが無難である。どうしても夏越しさせたければ、山野草専用の鉢と土に植えてみる。
  2. 夏にタネをまくと、秋から開花する。しかし、そもそも高温に弱い植物なので、発芽直後に立ち枯れて腐りやすい。開花は遅くなるが、秋(9月中旬~10月上旬頃)にまいたほうが育てやすい。この場合、生育期間が短くても開花する、極早生の品種がおすすめ。
  3. 上記のように、タネは、冷蔵処理を行い、休眠を覚ましてからまくのが一般的である。が、適期に購入したタネなら、あらかじめ、発芽しやすいように処理されており、さらに冷蔵処理を行う必要は無い。
  4. タネが完熟すると、すぐに飛び散ってしまう。自家採取する場合は、果実が上を向いたら袋をかぶせておく。なお、果実は、未熟なうちは下を向いており、熟すにつれて上を向いて、最後にはじけてタネを飛ばす。
  5. タネの寿命は約3年と、やや短め。自家採種のタネは、なるべく1年以内にまき切る。
  6. ウイルス病にかかることがあるので、被害株は抜き取り処分する。また、過湿になると、灰色かび病が発生し、花や茎葉が腐る。予防には、常に風通しに気を配り、枯れた下葉や花がらはまめに摘み取るのが大切。
  7. 体が黒と橙色をした、トゲだらけの毒々しいイモムシが発生することがある。これはツマグロヒョウモンというチョウの幼虫である。放置すると葉がなくなるため駆除する。大発生することはないので、余裕があれば、チョウになるまで待ってみてもよい。このチョウのサナギの背面には、美しい金属光沢をもつ突起がある。
  8. 根茎などに弱い毒性(※薬効でもある)を持つらしい。花や葉を食用にできるといわれるが、多食しないほうがよい。

(※データ:大阪市基準)