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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ブルーベリー

イメージ

原産地

北アメリカ北東部

ツツジ科

高さ

1~3m

花期

4~5月

【紅葉】10~11月

形態

落葉または半落葉低木

収穫期

6~8月

【ラビットアイ系】7~9月

結実特性

基本的に他家結実のため、二品種以上必要。ハイブッシュ系は自家結実するが、別の品種で受粉したほうが、よい果実がなる。


いずれも、前年枝の先端付近から伸びた新梢に開花結実。

別名等

バッシニウム(属名)/ヌマスノキ/ヌマスグリ


ラビットアイブルーベリー(ビルガツム系品種の総称)
ハイブッシュブルーベリー(コリンボスム系品種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

西日を避けた戸外の直射日光下。

【補足】少し耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。

水やり

土の表面が乾けば与える(根が浅いので、水切れは厳禁)。

【補足】水切れにとても弱いので、夏は、株元をマルチングしたほうが安全。
ラビットアイ系は比較的乾燥に耐える。果実に水がかかると裂果しやすいので、その時期は雨よけしたほうがよい。

肥料

3月、6月、9月に、固形肥料の置き肥。

【補足】根が細く弱いので、多肥は厳禁。秋の施肥は、窒素(N)を含まないものを用いる。
苗や若木は特に根が弱く、肥料焼けしやすいので、緩効性の有機質肥料を使ったほうが安全。(濃い液肥を施すと、急に枯死することがある。)
成木になったら、土壌酸度の中和を防ぐため、硫安(硫酸アンモニア)などの酸性肥料も使いたい。(ブルーベリー専用肥料を使うと楽ができる。)

植え替え

10月中旬~3月下旬(厳寒期は避けたほうがよい)。

【補足】1~3年に一度行う。暖地では秋、寒地では春に植え付ける。深植えは禁物。

整姿

乾燥と地温の上昇から根を守るため、株元をマルチングする。


【剪定】

冬剪定…12月上旬~3月上旬。
枝の先端を切り返すときは、せいぜい枝先1~2芽までにとどめないと、花芽が無くなる。結実した部分は冬に枯れるので、切り取る。株元から伸びた1年目のシュートの先端を1/4~1/3ほど切り戻す。
ハイブッシュ系は3~6年、ラビットアイ系は5~8年をめどに、古い主軸枝(=結果母枝)を切り戻し、新しい主軸枝を出させる。(主軸枝は、最低2~3本は必要。)
植え付け後3年目くらいまでの幼木は、特に剪定の必要はないが、花芽を全て切り除き、株作りに努める。

夏剪定…6月。
通常は、行う必要がない。行う場合は、勢いのよい新梢を摘芯し、側枝を出させるにとどめる。


【摘花】花数が多すぎた場合に行う(樹勢の弱いハイブッシュ系品種のみ)。


【摘果】特に行う必要はないが、鉢植えの場合、6号鉢で30個くらいに制限してもよい。

果実が色づき始めた頃に袋かけをすると、鳥害と、雨による裂果を防止できるが、必須ではない。

繁殖

【挿し木】2~3月か、6月上旬~8月下旬。(発根まで2ヵ月以上かかるうえ、やや発根率が悪いため、多めに挿す。)

【取り木】4~6月か、9~10月(「圧条法」で行うとよい)。

【接ぎ木】3月上旬~4月上旬か、8月下旬~9月下旬(春は切り接ぎ、秋は芽接ぎが行える)。

耐暑性

やや弱い。

【サザンハイブッシュ系、ラビットアイ系】わりと強いが、乾燥と強光に注意。

耐寒性

【ハイブッシュ系、ローブッシュ系】とても強い(-20~-30℃)。

【ラビットアイ系】強い(-10~-20℃)が、寒地では防寒する。

【補足】いずれも、高温にあわせない(だいたい0~7℃の範囲で)。

解説

  1. 最近、人気急上昇中の果樹。果実だけでなく、花、新緑、紅葉、いずれも楽しめる。ただし、ラビットアイ系は、あまりきれいに紅葉しない。
  2. 大きく分けて、下記のような系統がある。通常は、異なる系統同士では結実しないとされる。(実際はするらしい。)
    • ハイブッシュ系…ブルーベリーの代表格で、さらに三つの系統に分かれる。
      • ノーザンハイブッシュ系…原種のコリンボスムなどから作出された系統。単に「ハイブッシュ系」といえば、この系統を指す。食味に優れる。極寒地~寒地向きで、温暖な地域では栽培しにくい。早生~中生系。
        主な品種は、「アーリーブルー」「ウェイマウス」「カロラインブルー」「コビル」「シエラ(シエーラ)」「スパルタン」「ダロー」「チャンドラー」「デューク」「ドレイパー」「バークレイ」「パトリオット」「ブリジッタ」「ブルークロップ」「ブルーゴールド」「ブルーレイ」「レイトブルー」「レガシー」など。
      • サザンハイブッシュ系…ノーザンハイブッシュ系と常緑野生種の交配系統。寒地~暖地~極暖地向き。耐寒性は強いが、極端に寒い地域では栽培しにくい。早生系。
        主な品種は、「エメラルド」「オニール」「ガップトン」「ガルフコースト」「サファイア」「サミット」「サンシャインブルー」「サンタフェ」「シャープブルー」「ジュエル」「ジョージアジェム」「スター(フロリダスター)」「ブラッデン」「フロリダブルー」「マグノリア」「ミスティ」「レガシー」「レビール(レベル)」など。
      • ハーフハイブッシュ系…ノーザンハイブッシュ系とローブッシュ系の交配系統。性質はノーザンハイブッシュ系に似ており、寒地~極寒地向き。
        主な品種は、「ノースブルー」「ノースランド」など。
    • ラビットアイ系…原種のビルガツム(アシェイ)などから作出された系統。樹勢が強く、栽培しやすい。暖地向き(東北地方南部が北限)。暑さ寒さの極端な地域では栽培しにくい。晩生系。
      主な品種は、「アラパハ」「ウッダード」「エッセル」「オースチン」「オクラッカニー」「クライマックス」「クレイワー」「コロンバス」「センチュリオン」「タイタン」「ティフブルー」「ノビリス」「バーノン」「パウダーブルー」「バルドウィン」「ピンクレモネード」「フクベリー」「ブライトウェル」「ブライトブルー」「プレミア」「ホームベル」「モンゴメリー」「ヤドキン」など。
    • ローブッシュ系…アメリカ東北部~カナダに自生する、原種・野生種そのものの系統で、あまり栽培されない。果実は小さいものの、食味に優れる。性質はノーザンハイブッシュ系に似ており、寒地~極寒地向き。
  3. 最近は、ノーザンハイブッシュ系を暖地でも栽培しやすくするため、ラビットアイ系を台木に用いた接ぎ木苗が売られている。接ぎ木苗は、ノーザンハイブッシュ系の食味の良さと、ラビットアイ系の強健さを併せ持つが、それでも極暖地には適さない模様。
  4. 日本に自生する、スノキやウスノキ、クロマメノキ、ナツハゼ、シャシャンボなども同じ仲間である。ウスノキの果実は赤色で、やや角ばった臼のような形をしている。クロマメノキはほふく性の低木で、シャシャンボは常緑樹である。これらはやや耐暑性に欠けるため、山間部や寒地向き。

注意点・病害虫

  1. 同じ系統同士であれば、開花期もほぼ同じである。果実が熟するのが早い早生品種と、熟するのが遅い晩生品種を組み合わせても問題ない。(ラビットアイ系を例にとると、早生品種の「ウッダード」と、晩生品種の「ティフブルー」を一緒に植えた場合、両方とも収穫できる。) 心配なら、早生品種と晩生品種の組み合わせだけを避ければ確実。
  2. この仲間は、基本的に低木性で、あまり大きくならないが、ラビットアイ系は2~3mに達することがある。また、ラビットアイ系は、根もハイブッシュ系より深く張るので、少しくらいの乾燥なら耐える。
  3. ツツジ科植物なので、酸性の用土(pH4以上5以下)でなければ生育が悪い。鉢植え・地植えを問わず、酸度未調整ピートモスや鹿沼土を多く混ぜ込んで植える。地植えの場合は、土がアルカリ性になりやすい、コンクリート製建造物の近くを避ける。なお、ラビットアイ系の品種は、あまり酸性でなくても育つ。
  4. 強酸性の土がいいからと入って、酸度未調整ピートモスを単用、または過剰に用いた土に植えるのはよくない。ピートモスは、一度乾燥すると水を吸いにくく、それでいて、水を含むとなかなか乾かない性質があり、水加減が難しい。使用するのは用土の5割くらいまでとし、あとは鹿沼土に頼るとよい。その他、赤玉土、軽石砂、桐生砂、日向土、富士砂、腐葉土、真砂土なども使える(いずれも弱酸性)。
  5. ブルーベリーを始め、ツツジの仲間は、菌根菌と共生し、菌が分解した養分を吸収している。従って、土中の有益な菌類が増えるよう、肥料は有機質のものを。
  6. 果実が熟してくると鳥に狙われるため、寒冷紗などをかぶせて守る。
  7. 根にワタムシやコガネムシが付きやすい。

収穫・利用

  1. 果実が完全に色づいてから5~7日ほど経てば食べごろ。完熟するとヘタから簡単に外れるため、それで判別できる。追熟できない果物なので、必ず収穫適期を守る。

各種の和名・異名

  1. ミルティロイデス(異名)/ローブッシュブルーベリー(いずれもアングスティフォリウム)
  2. クロマメノキ/黒豆の木/アサマブドウ/浅間葡萄/浅間ベリー(いずれもウリギノスム変種ジャポニクム)
  3. ツルコケモモ(オキシコックス)
  4. 常緑ブルーベリー/カリフォルニアンハックルベリー(いずれもオバツム)
  5. クロウスゴ/黒臼子(オバリフォリウム)
  6. ナツハゼ/夏櫨/夏黄櫨/ハチマキブドウ(いずれもオルダミー)
  7. クリーピングブルーベリー(クラッシフォリウム)
  8. ハイブッシュブルーベリー(コリンボスム)
  9. ホナガナツハゼ/穂長夏櫨/穂長夏黄櫨/ナガボナツハゼ/長穂夏櫨/長穂夏黄櫨/ナガエナツハゼ/長柄夏櫨/長柄夏黄櫨(いずれもシーボルディー)
  10. アクシバ(ジャポニクム)
  11. オオバスノキ/大葉酢の木/大葉酸の木(スマリー)
  12. スノキ/酢の木/酸の木/コウメ(いずれもスマリー変種グラブルム)
  13. コケモモ/苔桃(ビティス-イダエア)
  14. アシェイ(異名)/ラビットアイブルーベリー(いずれもビルガツム)
  15. ウスノキ/臼の木/カクミノスノキ/角実酢の木/角実酸の木(いずれもヒルツム)
  16. イワツツジ/岩躑躅(プラエスタンス)
  17. シャシャンボ/小小ん坊/子子ん坊/ワクラハ/サシブノキ(いずれもブラクテアツム)
  18. セイヨウスノキ/西洋酢の木/西洋酸の木/ビルベリー(いずれもミルティルス)
  19. アクシバモドキ(ヤクシメンセ)
  20. ヒメウスノキ/姫臼の木/アオジクスノキ/青軸酢の木/青軸酸の木/ヒメスノキ/姫酢の木/姫酸の木(いずれもヤタベイ)

(※データ:大阪市基準)