ビワ
イメージ
原産地
日本(千葉以南の太平洋側~九州)・中国の四川省・浙江省・湖北省
科
バラ科
高さ
4~10m
花期
11~1月
形態
常緑高木
収穫期
5~6月
結実特性
自家結実。
前年枝の先端付近から伸びた新梢の先端に開花結実。
別名等
エリオボトリア・ジャポニカ(学名)/枇杷/ロークァット/ジャパニーズロークァット/ジャパニーズメドラー/ジャパニーズプラム
日照
戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
【補足】耐陰性があるが、日陰ではよい果実ができない。
水やり
土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。
【補足】過湿にとても弱い。
肥料
3月、6月、9月に、固形肥料の置き肥。
植え替え
2月下旬~4月上旬、6月、9月中旬~10月上旬のいずれか(春に行うとよい)。
整姿
【剪定】剪定の最適期は9月。
春剪定…3~4月。
行うと、確実に果実の数が減る。
収穫後剪定…収穫直後。
結実した枝を切り戻す程度とする。
秋剪定…8月下旬~9月下旬。
つぼみを持った中心の枝と、翌年に結実させる予定の副梢の1本を残し、それ以外は切り捨てる。
木を小さくしたい場合は、9月に強剪定する。(強剪定後は、幹が日焼けするので、石灰乳やペンキなどを塗って保護する。)
【摘房】10月上旬~11月中旬頃、開花直前に行う。
勢いのない枝の花房を取り除く。(花房の出た新梢に、8枚以上の葉がなければ、その花房を取り除き、咲かせない。)
【摘蕾】摘房と同時に行う。(花房がかなり小さくなるが、気にしない。)
花房の先端1~3段と、基部1~2段のつぼみを全て取り除き、真ん中の2~5段を残す。(小さな花房なら、先端1~3段のつぼみを摘み取るだけとする。)
さらに、残った部分のつぼみの数を1/2にしておくと、摘果の手間が軽減できるが、行わなくても支障はない。
【摘果】3月上旬~4月中旬。
1房に1~5個とする(果実の大きい品種は1~2個、小さい品種は3~5個)。果実1個につき葉25枚が目安。
袋かけをすると、果実が汚れずにすむ。
繁殖
【挿し木】3月か、6~7月(発根率はきわめて悪い)。
【接ぎ木】2月下旬~3月下旬。
【タネまき】採ってすぐにまく。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
わりと強い(-10~-13℃)が、暖地以外では室内へ。
【補足】花と果実は-3℃が限界。
解説
- 初夏の到来を告げる果物である。タネがやたらと大きく、可食部分は少なめ。
- 実生を繰り返しても変異が起きにくいらしく、園芸品種は少なめ。主な品種は、「田中」「長崎早生」「茂木」など。「田中」は晩生種で、少し耐寒性がある。早生種の「長崎早生」と中生種の「茂木」は暖地向き。
- タネから育てた木でも、果実の品質が落ちにくいので、果実を食べた後にタネをまいてみるとよい。ただし、結実まで数年(7~9年程度)かかる。鉢植えがおすすめ。
注意点・病害虫
- 大きな葉を密に茂らせる常緑樹で、高木に育つため、狭い庭に植えるのはおすすめしない。どうしても植えたければ、早めに芯を止め、剪定を怠らない。
- 4~5月に伸びる「春枝」と、6~8月に伸びる「夏枝」があり、花芽は春枝の先端にできる。また、前回結実した枝から伸びる新梢には花芽ができにくく、その翌年になってから花芽をもつ性質がある。
- 開花結実期が厳寒期と重なるため、寒さに弱い。最低気温が-2~-3℃以下になる地域では、入室しないと果実が落ち、収穫が皆無になる。ただし、ビワの木自体の耐寒性は意外と強く、-13℃くらいまで。
- 冬の季節風で幼果と葉が擦れて、傷が付くことがあるため、摘果後に袋かけをしたほうがよい。収穫期が近くなったら袋を外し、日光に当てて着色させる。
- 嫌地をするので、ビワの跡地に新たにビワを植えるのは避ける。
- 葉に淡褐色の病斑ができ、次いで果実が淡い紫色になって軟化腐敗するのは、灰斑病の症状である。トップジンMやベンレートなどを散布する。
収穫・利用
- 最近、葉の薬効が注目されている。葉裏の毛をきれいに取り除き(軽く火で炙るとよい)、よく乾燥させてから、お茶や薬用酒にする。
余談
- 地域によっては、ビワを庭に植えることを不吉とする迷信がある。上記のように、鬱蒼と茂り、庭に大きな日陰を落とすことが嫌われているらしい。
(※データ:大阪市基準)