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素人園芸解説 -私はこう育てる-

カリン

イメージ

原産地

中国の山東省以南

バラ科

高さ

4~10m

花期

3~5月

形態

落葉小高木~高木

収穫期

10~11月

結実特性

自家結実するが、2本以上あるほうが確実。


2年枝(前年枝)の先端付近と、3年枝(前々年枝)についた短枝の先端に開花結実。(1年目の枝には花芽が付かない。)

別名等

【カリン】カエノメレス・シネンシス(学名)/シドニア・シネンシス/プセウドシドニア・シネンシス(いずれも異名)/花梨/キナシ/木梨/カラナシ/唐梨/アンランジュ/安蘭樹


【マルメロ】シドニア・オブロンガ(学名)/マルメロ/カマクラカイドウ/クインス

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

【補足】暖地では、真夏のみ西日を避ける。

水やり

土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。

肥料

3月、5月、10月に、固形肥料の置き肥(多肥にしない)。

植え替え

11月下旬~3月上旬(厳寒期は避けたほうがよい)。

【補足】根が粗いので、あまり強く切り詰めない。

整姿

【剪定】

冬剪定…植え替えと同時期。
新梢の先端は、なるべく切らない。短い枝によく開花結実するため、大切にする。徒長枝は、3~7節ほど残して切り縮める。

夏剪定…7月。
長い徒長枝の先端を切り詰めると、短枝が出やすい。


【摘果】5~6月。

葉50~100枚につき実1個とする。果実が大きい上に、熟すのが遅いため、たくさん成らせると木が弱る。

繁殖

【接ぎ木】2月下旬~3月中旬。

【挿し木】3月か、6~7月(春のほうがよい)。

【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して3月にまく。

耐暑性

わりと強い。

耐寒性

とても強い。

解説

  1. 学名がよく変わるが、現在は、花木のボケと同じ属に分類されている。淡紅色の花が美しく、昔から盆栽として使われてきた。
  2. 耐暑性はあるものの、冷涼な気候を好むため、やや寒地向きの果樹である。

注意点・病害虫

  1. 果実は石のように硬く、木から落ちたものが車などを直撃すると、凹むことがある。人に当たると問題なので、地植えする際は、場所をよく考える。
  2. やや湿り気のある、腐食質の多い砂礫土を好む。
  3. 赤星病によくかかる。近くにビャクシン類(カイヅカイブキなど)の木が生えていると、病原菌を互いに融通しあう。一度発生すると毎年しつこい。
  4. 白かび斑点病にかかると、葉に、葉脈で区切られた、角ばった暗褐色の病斑が多数できる。ダコニールを散布する。

収穫・利用

  1. 果実は硬すぎて生食に適さない。しばしば果実酒に使われる。咳止めの効果があることで有名。マーマレードにも。なお、果皮に茶色い斑点が出るまで放置すれば、少し軟らかくなり、包丁で切りやすくなる。
  2. 果実の表面がロウ質で覆われており、磨くと光る。強い芳香があり、室内に置いておくと臭い消し代わりになる。

余談

  1. ヨーロッパ~西アジア原産のマルメロは、カリンによく似るが、花が薄桃色で、果実の表面に微毛があるのが特徴。落葉低木または小高木。園芸品種の「スミルナ」が一般的。育て方はカリンと同じだが、自家結実が期待できないため、二品種用意する。
  2. マルメロの果実はカリンより軟らかく、新鮮な果実でも包丁が入りやすい。マルメロの果実にも咳止めの効果があるため、カリンを切るのが嫌なら、こちらで代用を。
  3. なお、マルメロという名前はマーマレードの語源である。もちろん、マーマレードへの加工に最適。
  4. 長野県の諏訪地方では、カリンを「マルメロ」、マルメロを「カリン」と呼ぶらしい。(呼称が入れ替わっている。)そのような混乱があるためか、最近は、カリンを「本カリン」と呼び、マルメロとは厳密に区別することが多い。

(※データ:大阪市基準)