ブラックベリー/ラズベリー
イメージ
原産地
ヨーロッパ・アフリカ・西アジア・南北アメリカ
科
バラ科
高さ
1~2m
花期
3~5月・7~9月(種類による)
形態
落葉~半落葉小低木または半低木
収穫期
【一季成り種】6~7月
【二季成り種】6~10月
結実特性
自家結実。
前年枝の中間付近から伸びた新梢の先端に開花結実。
別名等
ルブス(属名)/キイチゴ/木苺
セイヨウヤブイチゴ/ヨーロッパキイチゴ(西洋種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
西日を避けた戸外の直射日光下。
【補足】耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。
水やり
土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。
肥料
3月、6月、9月に、固形肥料の置き肥。できれば、4~6月に、10~14日に一度、1500~2000倍の薄い液肥も施す。
【補足】多肥にしすぎない。秋の施肥は、窒素を含まないものを用いる。
植え替え
11月下旬~3月上旬(厳寒期は避けたほうがよい)。
【補足】1~2年に一度行う。
整姿
つる性の種類は、つるを適宜誘引する。
【剪定】
冬剪定…植え替えと同時期。
いずれも、残したシュートから伸びる側枝を、1~3節(10~20cm)残して切り詰める。シュートが多すぎると混み合うため、5本程度に制限するとよい。
- 一季成り種…春に結実したシュートが残っていれば、株元から切り捨てる。
- 二季成り種…秋に実を付けたシュートは、翌春に新梢を伸ばし、再度結実するので、株元で切ったりせず、枯れこんだ部分だけを切る。
夏剪定…6月。
収穫の終わったシュートを株元で切り捨てる。新しく発生したシュートは先端を切り戻し、分枝を促す。
(特に勢いの強いシュートは、1/2程度まで切り戻してよい。)混み合った部分や、弱いシュートを間引き、通風を確保する。
- 株立ち性種…15~25節残して切り戻す。
- つる性~半つる性種…30~40節残して切り戻す。
繁殖
【挿し木・取り木】3月か、6月上旬~7月中旬。(ラズベリーの挿し木は、やや発根しにくい。つる性~半つる性の種類は、新梢の途中を土に埋めて発根させる「盛り土法」で取り木が可能。)
【根伏せ・根挿し】2~3月。
【株分け】植え替えと同時期(早春に行うとよい)。
耐暑性
【ラズベリー】やや弱い。
【ブラックベリー】わりと強い。
耐寒性
【ラズベリー】強い(-20~-30℃)。
【ブラックベリー】わりと強い(-10℃)が、寒地では室内が無難。
解説
- 木イチゴの仲間では、ラズベリーとブラックベリーの二種類がよく知られている。いずれも、トゲのある品種と無い品種がある。
- ラズベリー…木立性または半つる性。やや暑さを嫌う反面、きわめて寒さに強い(-35℃が限界)。一季成り種(初夏のみ結実)と二季成り種(初夏と秋に結実)がある。
赤実種のほか、黄実種、黒実種、紫実種があり、赤実種は、特に耐寒性が強い。主な品種に、「インディアンサマー」「サマーフェスティバル」「スキーナトップ」「セプテンバー」「ヒンボートップ」「ヘリテージ」などがある。(いずれも二季成り種。)「ファールゴールド」は一季成り種で黄実種。 - ブラックベリー…半つる性。暑さに強い反面、ラズベリーより寒さに弱い(-20℃が限界)。一季成り種しかない。
品種は少なめで、「ウォシュタ」「ソーンフリー」「マートンソーンレス」などがある。現在は、トゲ無し、または、トゲのごく小さな品種が主流。
なお、「デューベリー」はブラックベリーの仲間で、育て方はブラックベリーと同じだが、さらに寒さに弱い傾向がある。
- ラズベリー…木立性または半つる性。やや暑さを嫌う反面、きわめて寒さに強い(-35℃が限界)。一季成り種(初夏のみ結実)と二季成り種(初夏と秋に結実)がある。
- 大雑把にいって、ラズベリーは寒地向き、ブラックベリーはそれ以外の地域にむく。が、耐暑性のあるラズベリー(「インディアンサマー」など)なら暖地でも育つ。ブラックベリーにしても、耐寒性は十分あるので、極寒地でない限り栽培できる。
- 「ローガンベリー」はブラックベリーとラズベリーの種間交雑種で、それに、さらにデューベリーを掛け合わせたものが「ボイセンベリー」である。いずれもつる性で、性質や育て方はブラックベリーに準じる。
- 秋になると黄葉する。
- 日本各地にも、同属のキイチゴの仲間が多数自生しており、同様に食用になる。
注意点・病害虫
- いずれも茎が細く、つる状に伸びるので、あんどん仕立てにするか、トレリスやフェンスなどを立てて誘引する。ブラックベリーは特に枝が長く伸び、大きく広がるため、鉢植えなら7号以上の大鉢を用い、庭植えなら、十分に広い場所を確保する。
- 株元から毎年発生するシュートは、二年目には枯れる。そのため、古いシュートの剪定は、収穫の有無に関わらず行う。
- ラズベリーは一季成り種と二季成り種で剪定の仕方が異なるが、品種が不明確で、どちらの系統かわからなければ、冬に枯れた部分だけを剪定するようにする。切りたい枝が枯れているかを判別するには、樹皮を縦方向に少しだけ傷付けてみる。傷口に瑞々しい白~淡緑色が見えれば生きている。淡褐色になっていたら枯れている。
- 毎年シュートが発生しては枯れる性質上、年々、株の位置が微妙に移動する。さらに、年数が経った株はサッカー(親株から離れた場所に発生するシュート)が出て、次第にはびこる。そのような性質は、地下茎を盛んに伸ばすラズベリーの赤実種に顕著なので、定期的に植え替えや株分けを行う。
- グラウンドカバーにも使える。ただ、隣家との境界に植えると、地下茎が隣家の敷地に入り込む可能性がある。
- 根頭がんしゅ病にかかる。苗を購入する際は、できれば、根や株元にコブがないか観察したい。
収穫・利用
- ブラックベリーと、ラズベリーの黒実種は、果実が一度赤く色付き、次に黒く熟するので、赤くなったからといって急いで収穫しない。
- ラズベリーの果実は、熟すと簡単にヘタ(果托)から外れる。果托の大部分が外れ、果実が中空になるが、そういうものなので気にしない。ブラックベリーやデューベリーの果実は、熟しても外れないため、ハサミで切って収穫し、ヘタの緑色の部分を取り除いて食べる。
- 果実は市販されているが、流通量が少なく、鮮度が落ちるのが早い。自分で育てて収穫するほうがよい。
各種の和名・異名
- ゴヨウイチゴ/五葉苺/トゲゴヨウイチゴ(いずれもイケノエンシス)
- ラズベリー/レッドラズベリー/フランボワーズ(いずれもイダエウス)
- エゾイチゴ/蝦夷苺(イダエウス変種アクレアティッシムス)
- バライチゴ/薔薇苺/ミヤマイチゴ/深山苺(いずれもイレセブロスス)
- ブラックラズベリー(オシデンタリス)
- クマイチゴ/熊苺(クラタエギフォリウス)
- リュウキュウイチゴ/琉球苺/シマアワイチゴ(いずれもグレイアヌス)
- オオバライチゴ/大薔薇苺/リュウキュウバライチゴ/琉球薔薇苺(いずれもクロセアカンサス)
- ホウロクイチゴ/焙烙苺(シーボルディー)
- カジイチゴ/構苺/梶苺/エドイチゴ/江戸苺/トウイチゴ(いずれもトリフィドゥス)
- ハチジョウクサイチゴ/八丈草苺/シマミツバキイチゴ(ニシムラヌス)
- ミヤマフユイチゴ/深山冬苺(ハコネンシス)
- ナワシロイチゴ/苗代苺/サツキイチゴ(いずれもパルビフォリウス)
- ナガバモミジイチゴ/長葉紅葉苺(パルマツス)
- モミジイチゴ/紅葉苺/キイチゴ/木苺/サガリイチゴ/ゴールデンメイベリー(いずれもパルマツス変種コプトフィルス)
- クサイチゴ/草苺/ワセイチゴ/ナベイチゴ(いずれもヒルストゥス)
- エビガライチゴ/海老柄苺/ウラジロイチゴ/裏白苺/ミヤマアシクダシ/ワインベリー(いずれもフォエニコラシウス)
- フユイチゴ/冬苺(ブエルゲリ)
- ミヤマモミジイチゴ/深山紅葉苺(プセウド-アセル)
- ヒメゴヨウイチゴ/姫五葉苺/トゲナシゴヨウイチゴ(いずれもプセウド-ジャポニクス)
- アレゲニエンシス(異名)/ブラックベリー/ブランブル(いずれもフルティコスス)
- サナギイチゴ/猿投苺(プンゲンス)
- コバノフユイチゴ/小葉冬苺/マルバフユイチゴ/丸葉冬苺(いずれもペクティネルス)
- ハスイチゴ/蓮苺/ハスノハイチゴ/蓮葉苺(いずれもペルタツス)
- ベニバナイチゴ/紅花苺(ベルヌス)
- ニガイチゴ/苦苺/ゴガツイチゴ/五月苺(いずれもミクロフィルス)
- ヒメバライチゴ/姫薔薇苺(ミヌスクルス)
- ミヤマニガイチゴ/深山苦苺(いずれもミクロフィルス変種スブクラタエギフォリウス)
- クロイチゴ/黒苺(メソガエウス)
- シマパライチゴ/島原苺(ランベルティアヌス)
- ヤクシマキイチゴ/屋久島木苺(ヤクモンタヌス)
- シナノキイチゴ/信濃木苺(ヤベイ品種マルモラツス)
(※データ:大阪市基準)