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素人園芸解説 -私はこう育てる-

クリ

イメージ

原産地

日本(北海道西南部~屋久島)・朝鮮半島南部

ブナ科

高さ

10~20m

花期

4~7月

形態

落葉高木

収穫期

9~10月

結実特性

他家結実。


前年枝の先端2~4節から伸びた新梢に開花結実。

別名等

カスタネア・クレナタ(学名)/栗/ノグリ/野栗/シバグリ/柴栗/日本グリ/チェストナッツ

ヨーロッパグリ/コモンチェストナッツ/スイートチェストナッツ/スパニッシュチェストナッツ(いずれもサティバ)
アメリカグリ/アメリカンチェストナッツ(いずれもデンタタ)
中国グリ(モリッシマ)

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

水やり

土の表面が乾けば与える。

肥料

4月、6月、9月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

12月上旬~3月上旬(厳寒期は避けたほうがよい)。

【補足】1~2年に一度行う。

整姿

【剪定】胴枯病予防のため、必ず、傷口に癒合剤を塗って保護する。

冬剪定…植え替えと同時期。
不要な枝を除き、樹幹内の日当たりを確保する。枝の先端に花芽があるため、大切にする。

夏剪定…6月。
不要な枝を除く程度に、軽く剪定する。徒長枝は、先端を軽く切り返す。


【摘果】7月。

あまり必要ないが、行う場合は、枝1本につき、実1個とする。(鉢植えの場合、鉢の大きさにもよるが、全体で3~8個程度。)

繁殖

【接ぎ木】2~3月。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

とても強い(-25℃)。

解説

  1. クリという名は「黒実(くろみ)」からきているらしい。一般的な日本グリと、天津甘栗にする中国グリ、マロングラッセに使うヨーロッパグリがある。一般家庭で栽培できるのは、日本グリか、日本グリと中国グリの雑種。
  2. シダレグリは日本グリの変種で、枝が枝垂れ性になった、非常に珍しいものである。天然記念物に指定されている。
  3. ヨーロッパグリには、斑入り葉の品種もある。
  4. イガ(総苞)のトゲ(鱗片)はかなり危険だが、最近は、トゲの少ない「トゲナシクリ」も出回る。トゲが全く無いわけではないが、基本種に比べると、はるかに安全。

注意点・病害虫

  1. 雌雄異花。前年枝の先端付近から伸びた新梢には雄花と雌花が咲くが、それより下の花穂には、雄花しか咲かない。要するに、日当たりのよい部分にだけ雌花が咲く。
  2. 花に、塩素系漂白剤に似た強い異臭がある。庭に植えると、開花期に近所迷惑になることがある。
  3. ブナ科植物だけに、かなり大きな木に育つため、本来は地植え向きである。鉢植えでは、7号以上の大鉢に植える。寒さには強く、-15℃程度が限界。
  4. 根が菌根菌と共生するため、腐植質に富む、肥沃な弱酸性土を好む。乾燥地や、やせ地は適さない。
  5. 病気は、胴枯病の被害が深刻である。この病気があるために、日本のクリは輸出ができないらしい。カミキリムシの被害にあったり、幹が日焼け・凍害などで傷むと、その傷口から高確率で発病する。若い木ほど発生しやすいので注意。
  6. せっかくできた果実が黒褐色になって腐るのは、実炭疽病または黒色実腐病である。いずれもビスダイセンかベンレートを散布して予防する。
  7. 比較的、虫害が多く、葉にクスサンという大きな毛虫が付いたり、果実にクリシギゾウムシやネスジキノカワガ、モモノゴマダラノメイガなどの幼虫が入り込む。果実の虫は、7~8月にスミチオンなどを散布すると防げる。このほか、カミキリムシにも注意。
  8. クリタマバチが最大の害虫である。被害にあうと、新梢の基部が虫こぶになって、著しく生育が悪くなり、最悪の場合、枯死する。防除方法はないが、品種によっては抵抗性を持つ。「石鎚」「伊吹」「岸根(がんね)」「銀寄(ぎんよせ)」「国見」「鹿爪」「紫峰」「丹沢」「筑波」「日向」「森早生」などが該当するが、最近のクリタマバチは、これらの抵抗性品種にも寄生することがあるらしいので、油断しない。

収穫・利用

  1. 果実(タネ)が完熟すると、イガごと自然に落果するので、拾って収穫する。冷蔵庫で二週間ほど貯蔵すれば、果実の甘みが増す。
  2. 果実は生でも食べられる。しかし消化が悪い。
  3. 乾燥したイガを焼いて炭にし(蒸し焼き説もあり)、砕いてゴマ油で練ったものを頭に塗ると、育毛に効くといわれる。また、葉の煎じ液は、あせもや湿疹、虫さされなどの、肌の軽微なトラブルに効く。
  4. 材がとても堅く、腐りにくいので、昔から、線路の枕木に利用されてきた。

(※データ:大阪市基準)