温州ミカン
イメージ
原産地
日本(栽培変種)
科
ミカン科
高さ
2~6m
花期
5~6月
形態
常緑低木
収穫期
10~12月
結実特性
単為結果。
前年の春枝と、前々年の夏枝から伸びた新梢の先端付近に開花結実。
別名等
シトルス・ウンシウ(学名)/蜜柑/温州蜜柑/サツママンダリン
日照
戸外の直射日光下。
【補足】少し耐陰性があるが、日当たりが悪いと果実の質が悪くなる。
水やり
土の表面が乾けば与える。
【補足】果実の肥大中、乾き気味に管理すると、甘く美味しくなるが、乾かしすぎると落果するので注意。収穫の近い果実は、できれば雨に当てない。
肥料
4月、6月、8月、10月に、固形肥料の置き肥。
植え替え
3月上旬~4月上旬、6月、9月下旬~10月中旬のいずれか(春が最適期)。
整姿
【剪定】不要な枝を間引く程度。
春剪定…2月下旬~4月上旬。
前年の秋枝と、前年に結実した枝は、強めに切り戻す。
夏剪定…6月中旬~7月上旬。
新梢が伸びすぎれば、初夏に切り戻せるが、翌年の花芽が減る。
【摘花】葉のない新梢に咲いた花(「直花」と呼ぶ)は結実しないので、全て取り除く。
【摘果】6月下旬~8月上旬(極早生~早生種は早めに済ませ、その他の種類は遅めに行う)。
上向きに成った果実(天成り果)は質が悪いので、全て取り除く。
極早生~早生種…葉25~35枚につき実1個とする。
普通種…葉20~30枚につき実1個とする。(だいたい、1本の枝に実1~2個が目安。6号鉢植えの場合、木全体で5個くらいまで。)
繁殖
【接ぎ木】2月下旬~4月上旬か、9月(台木はカラタチなど)。
【タネまき】採ってすぐにまく。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
やや弱く(-5℃)、寒風を避ける。
解説
- 単に「ミカン」といえば、この果物だけを指すといっても過言ではない。「温州」とは中国の地名だが、温州ミカン自体は、中国中部~南部産の個体が日本に持ち込まれ、その後、南九州で生じたものらしい。
- 冬の味覚だけに品種が多く、極早生~早生~中生~晩生まである。どれも栽培容易。
- 寒地で育てる場合は、秋のうちに収穫でき、耐寒性もそこそこ強い、極早生~早生の品種がよい。「上野早生」「興津早生」「日南1号」「宮川早生」「宮本早生」などがある。冬は室内へ。暖地なら、どの品種でも栽培できる。
- 単為結果性で、タネができなくても実が成る。近くに他の柑橘類などの授紛樹があると、タネのある果実が混じることがある。
- ポンカンの育て方も、ほぼ同様だが、ウンシュウミカンに比べて耐寒性が弱い。特に晩生品種は、収穫が年明けになるものもある。暖地向きの果樹といえる。
注意点・病害虫
- 寒さに案外強く、-5℃でも耐え、関東地方まで地植えできる。ただ、冬の乾いた寒風に当たると、枝が枯れ込んだり、葉が落ちたりするので、きちんと防風する。なお、-7~-8℃で寒害を受ける。
- 隔年結果の傾向が強く、実を付けすぎると、翌年必ず不作になる。また、冬の間に果実を観賞しようと、いつまでも木に付けておいた場合も、やはり次回の不作を招くので、早めに収穫する。
- カンキツ類なので、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニ、エカキムシ、アゲハチョウなどが発生する。
- ミカンサビダニの被害にあうと、果実が茶色くなり、硬くなって品質が悪くなる。5~7月にかけて数回、エムダイファーを散布すれば、被害を軽減できる。
- 果実のヘタの周囲に、ぐるりと取り囲むような淡い傷跡があれば、チャノキイロアザミウマの被害の跡である。市販品でも見かけることがある。
- カンキツ類はどれもウイルスに冒されやすいが、温州ミカンの場合、土壌伝染するウイルス病が存在する。そのうちの一つ、「温州萎縮病」は、茎葉が萎縮変形する病気で、庭木として植えられるサンゴジュから感染する。また、「トラミカン」も、ウイルスによる症状である。こちらは果実の表面に、淡緑色をした細かな線模様が現れ、全体が淡いまだらになるのが特徴。いずれも、土壌伝染の他、接ぎ木でも伝染する。
(※データ:大阪市基準)