モモ
イメージ
原産地
中国西南部の高原地帯
科
バラ科
高さ
2~8m
花期
3~4月
形態
落葉低木~小高木
収穫期
7~8月
結実特性
【花粉のある品種】自家結実(例、「白鳳」など)。
【花粉のない品種】花粉のある品種を一緒に植える。
いずれも、前年枝の基部付近に開花結実。
別名等
アミグダルス・ペルシカ(学名)/プルヌス・ペルシカ(異名)/桃/ピーチ
ネクタリン/アブラモモ/油桃/ケナシモモ/毛無桃/ズバイモモ(いずれもペルシカ変種ネクタリナ)
日照
戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。
【補足】真夏は西日を避ける。
水やり
土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。
【補足】過湿にとても弱いが、乾燥しすぎるのもよくない。
肥料
【花モモ】2月、4月、9月に、固形肥料の置き肥。
【実モモ】3月、5月、9~10月に、固形肥料の置き肥。
【補足】いずれも、窒素(N)が多いと徒長しやすい。
植え替え
11月中旬~3月下旬(厳寒期と開花中は避けたほうがよい)。
【補足】1~2年に一度行う。根の再生力がやや弱いため、根をいじりすぎない。
整姿
【剪定】剪定に弱いので、切り口には必ず癒合剤を塗る。
冬剪定…12月上旬~2月上旬(なるべく早く行う)。
行えば確実に花芽が減るので、枝の先端を少し切り戻す程度とする。(急ぎでなければ、花後まで待ってから剪定する。)
花後剪定…花後すぐ。
開花した枝は基部2~3節を残して切り戻すが、必ず葉芽を残す。(葉芽のない枝は枯れ込む。)
夏剪定…6月上旬~7月中旬。
新梢の勢いが強ければ、葉5~6枚を残して剪定する。
【摘花】開花前に、結実予定のない花を少し摘み取っておくと、摘果の手間が省ける。枝先の花は、よい果実になるので残す。
【摘果】5月上旬~6月上旬。
葉15~30枚につき実1個が目安。(原則として枝1本につき実2~3個。ただし、10~20cm以下の中果枝は1本につき実1個、10cm以下の短果枝は枝3~4本につき実1個とする。6号鉢植えの場合、木全体で2~3個がよい。)
すぐ近くに葉が一枚も無い果実は、全て摘果する。果実同士の間隔は、最低でも18cm以上あける。
摘果と同時に、袋かけを行うとよい。(果実の着色を促すため、収穫の1~2週間前に袋を破り、収穫の3~5日前には取り除く。)
繁殖
【挿し木】2月中旬~3月中旬か、6月上旬~7月中旬。(初夏に行うとよい。が、発根しにくい種類が多い。)
【接ぎ木】2~3月か、7月下旬~9月下旬。
【根伏せ・根挿し】2~3月か、5~6月(接ぎ木された株だと、台木の根を挿すことになるので注意)。
【タネまき】採ってすぐにまく(結実まで3~5年以上かかる)。
耐暑性
強い。
耐寒性
強い(-15~-25℃)が、極寒地では防寒する。
解説
- モモの仲間は、園芸上、花の観賞が目的の「花モモ」と、果実の収穫が目的の「実モモ」に分かれる。実モモは花も美しく、花と果実の両方を楽しめるが、花モモは、花は美しいものの、果実が今ひとつ。いずれも、園芸品種がきわめて多い。
- 花モモは、樹形によって、普通種、枝垂れ性品種、ホウキ立ち性品種の三系統がある。最近人気の花モモ、「照手」シリーズは、樹形が小さくまとまるホウキ立ち性の品種である。枝が広がらず、あまり場所を取らないので、庭木によい。鉢植えにも適する。同シリーズの枝垂れ性品種「照手水蜜」は、花モモでありながら果実もおいしい、お得な木である。もちろん自家結実する。
- その他の花モモには、キクのような花を咲かせる「菊桃」系の品種や、樹高が低い「唐桃」系、紅白に咲き分ける「源平桃」、ひな祭りの飾りでおなじみの「矢口」などがある。なお、一本の木に三色の花が咲く「南京桃」は、接ぎ木で作ったもので、枝の枝垂れも、人為的に誘引したものらしい。
- 実モモも品種が多い。多くの品種が自家結実するため、人気の「あかつき」「黄金桃」「大久保」の他、「白鳳」系の品種なども、一本で収穫が楽しめる。しかし、果肉が白い「白桃」系品種の多くと、「あきぞら」「倉方早生」「砂子早生」「西尾ゴールド」などは、花粉がほとんど無く、授粉樹が必要。なお、「白桃」系でも、「清水」系の品種は自家結実する。
- 実モモのうち、果肉が白い品種は生食用、果肉が黄色い品種は加工用とされる。が、果肉の黄色い品種も、新しい品種を中心に、生食で美味しいものが増えた。「黄金桃」「つきあかり」「ひなのたき」などが該当。
- ヨーロッパで改良されたネクタリンは、モモの変種である。果実は実モモにそっくりで、果皮に毛が無い。育て方はモモと同じだが、寒地では果実の酸味が強くなるらしい。主要品種の「秀峰」をはじめ、どの品種も自家結実する。果皮に毛が無いぶん、雨に当たると裂果しやすい。袋かけが望ましい。
注意点・病害虫
- モモの仲間は、サクラ同様、高木に育つ種類が多いので、地植えにする際は、品種をよく選ぶ。
- この仲間は、過湿・停滞水を極度に嫌うため、水はけに注意が必要。地下水位の高い場所(昔は川底だった土地など)で栽培すると、寿命が短くなる。
- 嫌地をするので、以前モモが植わっていた場所に、新たに別のモモを植えたりしない。
- モモは、古来より魔除けの木であり、庭の鬼門(北東)に植えるとよいとされていた。しかし、日照不足に弱いため、家の北側に植えるのは好ましくない。
- 有機質に富む、やや砂質の土を好む。
- タネは固い殻(「核果」という)に覆われている。かつて、タネをまく際は、この硬い殻を割って中のタネを取り出すと良い、といわれてきたが、割らずにそのまままいても、きちんと発芽する。
- 新葉が展開してくると、葉が赤く縮れて落ちてしまう縮葉病がよく発生する。萌芽前に、石灰硫黄合剤を散布しておくと発生が減る。一度かかると、毎年発病する。
- 新梢の基部に淡褐色~暗褐色をした水浸状病斑ができ、それより上部が枯れて折れ曲がれば、枝折病の被害である。春の萌芽後、トップジンM、ビスダイセン、ベンレートなどを散布する。
- 実モモの収穫前の実が腐敗したり、黒い病斑ができたり、穴があいたりするのは、全て糸状菌による病気である。果実が成熟するまでに、上記の殺菌剤を散布しておくが、比較的、薬害の出やすい木なので、試しがけを行ったほうがよい。
- ウイルス病にかかりやすい。感染源は主に接ぎ木による。購入した苗が、すでに感染していることもある。
収穫・利用
- さまざまな薬効がある植物で、たとえば、葉を入浴剤にすると、あせもに効果があるという。
(※データ:大阪市基準)