いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

オリーブ

イメージ

原産地

北アフリカ・地中海沿岸~中東・小アジア

モクセイ科

高さ

2.5~10m

花期

5~7月

形態

常緑小高木~高木

収穫期

10~12月

結実特性

自家結実しにくいので、二品種以上用意したほうがよい。


前年枝の中間部分から伸びた新梢の葉腋に開花結実。

別名等

オレア・エウロパエア(学名)/オリバ/オレイフ/コモンオリーブ/エディブルオリーブ

日照

戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避けたほうがよい)。

水やり

土の表面が乾けば与える。

【補足】乾き気味を好むと思われがちだが、意外と水好き。収穫前に水切れすると落果する。病気のもとなので、なるべく雨に当てない。

肥料

3~4月、6月、10月に、固形肥料の置き肥。

【補足】春と秋の生育期間中、少なめの肥料がじわじわ効き続けている状態が望ましい。肥料が切れると葉が黄ばみ、枝枯れすることがある。

植え替え

3月上旬~5月下旬か、9月下旬~10月中旬(早春に行うとよい)。

整姿

風に煽られやすいため、支柱を立てた方が安定する。


【剪定】2月上旬~4月上旬。

小枝が密生しやすいので、不要な枝、弱々しい枝、混み合った枝などを間引く。新梢の勢いが強ければ、先端1~2節を摘芯する。伸びすぎた枝は、基部2~3節残して切り戻し、側枝の発生を促す。
樹形を整えることを優先したい場合は、8月にも剪定できるが、翌年の花芽が減る。


【摘果】6~7月(果実が多すぎる場合のみ)。

葉8~10枚につき果実1個が目安。

繁殖

【接ぎ木】3月上旬~4月上旬。

【挿し木】3~4月か、6月上旬~7月上旬。

【タネまき】採ってすぐにまく(硬実種子なので、先端部に傷を付けてからまく)。

耐暑性

強い。

耐寒性

やや弱く(-3~-10℃)、寒地では室内が無難。

【補足】花芽形成に低温(平均気温10℃以下)が必要なので、高温にあわせない。

解説

  1. 言わずと知れた平和の象徴である。日本へは、文久年間に渡来した。日本で様々な品種が出回るようになったのは、比較的最近のことである。
  2. 主な品種は、「セビラノ」「ネバディロ・ブランコ」「マンザニロ」「ミッション」「ルッカ」などがある。
  3. 「アルベキーナ」「シプレッシノ」「セビラノ」「ミッション」「ルッカ」などは、少し自家結実性がある。が、少しでも多くの果実を収穫するには、二品種以上を用意した方が確実。他品種への授粉樹としては、花粉が多く、他品種と花期が合いやすい「ネバディロ・ブランコ」が最も適する。
  4. キンモクセイなどと同じモクセイ科の植物だけに、花にかすかな芳香がある。なお、不完全花が多く、結実率は悪い。
  5. 潮風に強い。

注意点・病害虫

  1. 多湿を嫌う傾向があり、地植えより鉢植えのほうが育てやすい。耐暑性はそこそこ強い。耐寒性は、成木で-10~12℃とされるが、なるべく-3℃を割り込まないよう注意する。
  2. 若木のうちは根が浅いため、苗を地植えにする場合は、しっかり根付くまで数年間、風除けをし、支柱を添えておく。成木になったら根が深く張る。
  3. ややアルカリ性の土を好む。生育期間中も、何となく生育が悪くなったら、石灰を与えてみると回復することがある。
  4. 病気は少ないが、炭疽病にかかることがある。
  5. 害虫は、カイガラムシ、ハマキムシなど。また、4~10月にかけて断続的に発生するオリーブアナアキゾウムシが幹の中に食入すると、木全体を枯らされることがある。

収穫・利用

  1. 収穫した果実は、渋み成分(オリューロペイン)を抜いて塩漬けやピクルスなどに加工したり、オリーブオイルを採ったりする。ピクルスは、色付き始めたばかりの未熟果を使う場合と、黒い完熟果を使う場合とがある。
  2. 果実の渋みを抜くには、劇物の苛性ソーダが必要で、かなり危険を伴うので、一般家庭で気軽にできるものではない。渋抜きの方法は下記。
    1. 果実をよく洗い、しっかり水気を切る。
    2. 苛性ソーダ2%液を作り、果実をつけ込む。果実が浮き上がらないよう、フタをして重しをのせる。
    3. ときどきかき混ぜながら、6~10時間ほどおく。皮膚や衣服が溶液に絶対に触れないよう、細心の注意を払う。
    4. 溶液を捨て、果実を水に浸ける。果実がなるべく空気に触れないよう、手早く行う。果実を取り出さずに蛇口から直接水を入れ、溶液を押し流せば、空気に触れさせずに済む。
    5. 2~3時間で水が褐色になるので、そのたびに水を換える。果実を空気に触れさせないのは上と同じ。
    6. 水に褐色が出なくなったら、その日の作業は終わり。その後数日~一週間、毎日、一日一回水を換える。
    7. その後、きれいな水に、果実と、2%の塩を入れ、1日目の下漬けを開始する。
    8. 2日目は水を換え、4%の塩水を作って漬け込む。3日目は6%、4日目は8%、と段階的に塩水の濃度を上げ、残りのアクを抜く。
    9. 最後に8~10%の塩水に本漬けして、そのままおく。食用にできるのは、それより10日後から。
    10. 2~3週間経つと発酵が始まるので、ガス抜きをする。
    11. さらに半年以上、冷蔵庫で貯蔵を続ければ、よく発酵して、食味が良くなる。
  3. わざわざ苛性ソーダを使わずとも、果実のタネを取り除いて塩漬けにし(塩の分量は、果実の重量の一割程度)、密閉して1ヵ月ほど冷蔵庫に入れておけば、渋が抜けて食べられるようになる。
  4. オリーブオイルも、本来は一般家庭で搾れるものではない。しかし、収穫した果実を粉砕し、流れ出る果汁を集めてろ過すると、似たようなものが得られる。(ただし渋みが残る。)この場合は、果実が黒っぽく完熟する初冬まで待ってから収穫するとよい。

余談

  1. 一年中温暖で乾燥した地中海性気候に適応した植物のため、日本では、似た地形・気候の瀬戸内海沿岸地域に生産地がある。
  2. オリーブのタネを取るための、専用の器具(タネ抜き器)が市販されている。果実をよく加工するなら、ぜひ備えておきたい。

(※データ:大阪市基準)