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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ウメ

イメージ

原産地

東アジア・中国中部~南部

バラ科

高さ

1~10m

花期

1~3月(種類による)

形態

落葉小高木~高木

収穫期

6~7月

結実特性

多くの品種が自家結実しないため、受粉樹を用意する。


前年枝に開花結実する。

別名等

プルヌス・ムメ(学名)/アルメニアカ・ムメ(異名)/梅/ムメ/好文木/コノハナ/ニオイザクラ/ジャパニーズアプリコット/チャイニーズプラム

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

水やり

土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。

肥料

【花ウメ】2月、花後すぐ~5月中旬、10月に、固形肥料の置き肥。

【実ウメ】2月、7月、10月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

11月中旬~3月下旬。(厳寒期と開花中は避ける。根の活動開始が早いため、晩秋~初冬に行うとよい。)

【補足】2~3年に一度行う。

整姿

【剪定】剪定に弱いので、大きな切り口には癒合剤を塗る。

冬剪定・花後剪定…開花前に剪定すると花芽が減るので、花後すぐに行う。(ただし、新芽が伸び出す前に済ませる。)
前年枝を、花ウメは5~15cm、実ウメは10~20cm残して切るが、必ず葉芽を2~3個残しておく。

夏剪定…6月上旬~7月中旬。
新梢がよく伸びるので軽く摘芯し、その後、二度伸びしたら、再度摘芯する。20cm以下の短い枝に花芽が多く付くので大切にする。(弱い新梢を強めに剪定すると、短枝がよく発生する。)


【摘果】4月下旬~5月上旬(実ウメのみ)。

葉10~15枚につき実1個、結果枝1本につき実1~2個とする。(果実が小さいので、特に摘果をしなくても支障はない。)

繁殖

【挿し木】2月中旬~3月中旬か、6月上旬~7月上旬(可能なのは一部の品種のみで、発根率は非常に低い)。

【接ぎ木】2~3月。

【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して3月にまく(タネから育てると、開花まで10年ほどかかる)。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

強い(-20℃)。

【補足】早咲きの品種は、花期の低温・凍霜害に弱い。

解説

  1. かの「万葉集」にも多く詠まれた、非常に歴史のある花木である。園芸上は、花の観賞が目的の「花ウメ」と、果実の収穫が目的の「実ウメ」に分けられる。
  2. とはいえ、花ウメでも果実は成るし、実ウメでも花は美しい。もっとも、実ウメには、濃紅色の花を咲かせる品種や、二色が咲き分ける品種が無いらしい。
  3. 古くから親しまれてきただけに、地方ごとに、さまざまな品種が存在する。大雑把に言って、南方系の品種ほど早咲きで、北方系の品種ほど遅咲きである。
  4. ウメの品種は、花ウメ・実ウメを問わず、三つの系統(ウメの世界では「性(しょう)」と呼ぶ)に分かれる。ただし、ウメの系統分類には諸説あり、一定しないので注意が必要。
    • 野梅系(やばいけい)…原種に近く、花色は白~桃色が多い。この系統はさらに、白花でガクが緑色の「青軸性」、桃花で八重咲きの「難波性(なにわしょう)」、桃色~紅色花でつぼみの先が尖る「紅筆性(べにふでしょう)」などの系統に分かれる。花ウメの主な品種は「田毎の月」「冬至」「難波紅(なにわこう)」「道知辺(みちしるべ)」「八重野梅(やえやばい)」など。
    • 紅梅系(緋梅系・ひばいけい)…幹や枝の髄(木質部)が赤い。紅色花が多いが、白~桃色花もある。「紅梅系」と「緋梅系」を別系統に分ける向きもある。花ウメの主な品種は「大盃」「緋の司」「緋梅(ひばい)」「紅千鳥」など。
    • 豊後系(肥後系)…アンズとの交雑種。寒さに強く、花期が遅い。この系統はさらに、「豊後性」と「杏性」に分ける向きもある。花ウメの主な品種は「白牡丹」「武蔵野」「楊貴妃」など。
  5. 花ウメのうち、「思いのまま(「輪違い」とも)」という品種(野梅系)は、一株で、白や桃~紅色の花が咲き分け、絞り咲きの花も混じって咲く。非常に華やかなためか人気があり、よく見かける。
  6. 実ウメの主な品種には、「玉英」「白加賀」「玉梅」「梅郷」「豊後」「南高」などがある。その他、弁当の小さな梅干でおなじみの「甲州最小」や、「稲積(いなづみ)」「鶯宿(おうしゅく)」「月世界」「露茜」「藤五郎」「花香実(はなかみ)」「養老」「竜峡小梅」などもある。
  7. 「梅郷」「豊後」は上記の「豊後系」で、もっとも花期の遅い部類に入る。その代わり、寒さに強い。寒地でウメの豊作を目指すならこの系統を。
  8. 実ウメの品種は、果実の用途によって、三つの系統に分けられる。
    • 梅酒に向く「青ウメ用品種」…「鶯宿」「古城(こじろ)」「梅郷」など。
    • 梅干しに向く「漬ウメ用品種」…「小梅」類、「八郎」「紅さし」など。
    • 両方の兼用品種…「白加賀」「豊後」「南高」など。

注意点・病害虫

  1. 耐寒性は強いが、実ウメは、花が寒害を受けると、その後の結実がうまくいかないので、防寒したほうがよい。早咲きの品種ほど被害を受けやすい。
  2. 鉢植えの場合は、土ごと凍らせたりしないよう注意する。
  3. ウメは、古い木であっても、比較的、植え替えが容易である。庭のウメの木を移植したければ、冬の落葉中に一気に掘り上げ、すぐに植え付ければ活着することが多い。よほど古い木でない限り、根回しは不要。
  4. 腐食質に富む肥沃な土を好む。
  5. 挿し木は難しく、発根促進剤を使用しても活着率は低い。野梅系品種の中には、一部、発根しやすいものもある。(例、「一重野梅(ひとえやばい)」「難波紅」「八重野梅」など。)
  6. ウメは基本的に、他品種の花粉がないと結実が悪い。例外的に、「小梅」類と、「稲積」「織姫」「甲州最小」「古城」「八郎」「花香実」「豊後」「紅さし」などは自家結実性がある。
  7. 授粉樹を選ぶ際は、開花期がずれないよう注意する。例えば、花期が早めの「南高」「花香実」などには「甲州最小」「古城」などを、花期が遅めの「白加賀」「梅郷」「豊後」などには、「鶯宿」などを。暖地ほど、品種ごとの開花期のずれは大きくなる。「鶯宿」と「甲州最小」は花粉が多く、開花期間も長めなので、授粉樹として優秀。
  8. 授粉樹には、花ウメの「冬至」「八重寒紅(やえかんこう)」なども使えるので、可能なら動員する。自分の家に授粉樹が無くても、近所にウメの木があれば、意外と結実する。アンズやスモモなどを授粉樹にすることもできるが、開花期がずれやすいので注意。
  9. せっかく授粉樹を用意しても、ウメの開花期が早春であるため、受粉を手助けするアブやハチなどの活動が鈍いことがある。そのようなときは人工受粉を行い、結実を助ける。
  10. 未熟な青梅は青酸配糖体を含み、多食すると食中毒を起こす。特にタネの部分が危険。
  11. 新梢の葉が赤っぽくなって縮れる症状は、縮葉病である。(アブラムシが原因のこともあるため、葉裏をよく確認する。)早春の発芽前に、オーソサイド、ビスダイセンなどを散布しておくと発病を減らせる。この病気は、一度発生すると毎年しつこい。
  12. 果実に小さな黒い斑点ができたら、黒星病である。果実の成熟前にジマンダイセンなどを散布しておく。また、褐色のへこんだ病斑ができるのは、かいよう病の被害である。こちらはストレプトマイシン系の薬剤で予防する。
  13. 寒冷地において、春先に、葉・花・芽などが異常に膨らんで変形し、表面に橙黄色のカビを点々と生じれば、変葉病の被害である。バイコラールで予防する。この病原菌は異種寄生性(時期によって寄主を次々と変える性質)のため、病原菌の中間寄主となるヤマカシュウなどを近くで栽培しない。
  14. 新梢や新葉にアブラムシがよく付くため、殺虫剤で駆除する。鉢植えなら、オルトランなどの浸透移行性殺虫剤がよい。実ウメは薬を使いたくないので、薄めた石鹸水や牛乳などで地道に駆除する。

余談

  1. 日本人になじみ深い木でありながら、原産地はよく分かっていないらしい。従来は、中国原産で、日本に帰化した植物とされてきたが、最近は、九州に自生があったとする説もある。

(※データ:大阪市基準)