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素人園芸解説 -私はこう育てる-

アリウム

イメージ

原産地

東アジア・ヨーロッパ南部~中東・北アフリカ・北アメリカ

ヒガンバナ科(またはネギ科・ユリ科)

高さ

20~150cm(種類による)

花期

4~6月

形態

秋植え球根

休眠期の管理

鉢のまま乾かすか、掘り上げて乾いた土に埋める

別名等

アリアム/ハナネギ/花葱/オーナメンタルアリウム/オーナメンタルオニオン


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

10月中旬~6月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
休眠期は、日光に当てなくてよい。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。休眠期は、断水する。

肥料

秋の元肥の他、2月と、6月に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。

植え替え

10月上旬~11月中旬、5号鉢に3~5球(大球性種は8~10号鉢に1球)。

【補足】深さ3~5cm、地植えは深さ5~8cmで5~10cm間隔。(大球性種は深さ6~8cm、地植えは、深さ10~15cmで20~30cm間隔。)

整姿

特に無し。

繁殖

【分球】植え付け時。

【タネまき】10~12月か、3~4月。(原則として採りまきする。嫌光性のため、覆土を忘れない。種類によって、発芽適温が全然違うので厄介。)

耐暑性

わりと強い。

【大球性種】弱いので、過湿に特に注意。

耐寒性

とても強い(-20~-25℃)。

解説

  1. アリウム属の植物はとても多く、タマネギやネギ、ニラ、ニンニクなども同じ仲間である。そのうち、花の観賞価値が高い、球根性の種類が、属名の「アリウム」の名で出回っている。近年、この仲間は改良が進み、美しい園芸品種が増えている。
  2. ひと口に「アリウム」といっても、草丈や株姿、花型はさまざまである。球根の大きさにもかなりの差がある。
  3. 扱いやすいのは、小球~中球性の種類である。主な種類を挙げると、青花を球状に咲かせるアズレウム、ギガンチウムを小さくしたような雰囲気のカラタビエンセ、赤い花を下向きに咲かせるシクラム、線香花火のような花のシューベルティー、赤紫色の花が丹頂鶴(タンチョウヅル)の頭を思わせるスファエロセファロン、緑色の筋が入る白花を下向きに咲かせるトリクェトルム、白花のネアポリタナム、黄花のモーリー、桃色花のユニフォリウム、淡桃色花のロゼウム、緑色の髪の毛を思わせる奇妙な花が咲く「ヘアー」などがある。
  4. 上記のうち、シクラムは、アリウム属からネクタロスコルドゥム属に移されたが、今でも「アリウム・シクラム」の名で売られている。
  5. 大球性の種類は、代表種のギガンチウムのほか、アフラチュネンセ、クリストフィー、スティピタツムなどがある。いずれも、赤紫色のネギ坊主を咲かせ、切り花によく用いられる。球根は、まるでタマネギのように大きい。
  6. 植え付け後すぐに葉が出る種類と、春になってから葉が出る種類に分かれており、多くは前者である。春まで葉が出ない種類は、アフラツネンセ、オレオフィラム、カラタビエンセ、ギガンティウム、クリストフィー、シューベルティー、モーリー、ローゼンバキアナム、などが該当する。
  7. ネギの仲間だけに、どの種類もネギ臭いにおいがする。
  8. 日本に自生するイトラッキョウや、その変種キイイトラッキョウ、ヤマラッキョウやミヤマラッキョウなどは、3~4月に球根を植え付ければ、8~11月頃に開花する。小球性で草丈が低いものの、暑さ寒さに強く、丈夫な種類。山野草として扱われることが多いが、栽培は容易。なお、ラッキョウと付いていても、食用の種類ではない。

注意点・病害虫

  1. 小球~中球性の種類は、水はけのよい場所なら、2~3年くらい植えっ放しにできる。が、夏に土中の水分が多いと腐ることがあり、大切な球根なら毎年掘りあげる。なお、大球性の種類は、とても腐りやすいので、植えっ放しにしないほうがよい。
  2. 秋植え球根の中では比較的花期が遅く、そのぶん、生育期も長い。そのため、種類によっては、花が咲く頃には、すでに葉が枯れ込んでいたりする。その影響で花後の球根肥大がうまくいかず、年々やせ細ることが結構ある。どちらかというと、寒地のほうが生育がよい。
  3. 生育期間中でも、葉先から枯れこみやすい性質がある。見苦しければ、枯れた部分だけをはさみで切り取る。
  4. 冬に土が乾燥すると、ウイルス病にかかりやすい。特に大球性種は要注意。なお、深植え(深さ20~30cmくらい)にすると、ウイルス発生率が下がるようである。
  5. 害虫は、アブラムシが付きやすい。
  6. 他のネギ類と同様、犬猫にとって危険な有毒植物である。

余談

  1. 切り花の水あげは良いほうである。

各種の和名・異名

  1. カエルレウム/コエルレウム(いずれもアズレウム)
  2. カロスコルドゥム・イヌティレ(異名)/ステゴビル(いずれもイヌティレ)
  3. コシキイトラッキョウ(ウィルグンクラエ変種コシキエンセ)
  4. イトラッキョウ(ウィルグンクラエ変種ウィルグンクラエ)
  5. キイイトラッキョウ(ウィルグンクラエ変種キイエンセ)
  6. オストロウスキアヌム(オレオフィルムの異名)
  7. ギガンティウム/ギガンチューム(いずれもギガンチウム)
  8. アルボピロスム(クリストフィーの異名)
  9. スファエロセファラム/スファエロセファルム/丹頂(いずれもスファエロセファロン)
  10. シロウマアサツキ(スコエノプラスム変種オリエンタレ)
  11. ハナラッキョウ(スコエノプラスム変種シビリクム)
  12. シブツアサツキ(スコエノプラスム変種シブツエンセ)
  13. ミヤマラッキョウ/チシマラッキョウ(いずれもスプレンデンス)
  14. ヤマラッキョウ/ヤブラッキョウ(いずれもツンベルギー)
  15. カンカケイニラ(トガシイ)
  16. トリケトラム(トリクェトルム)
  17. ペデモンタヌム(ナルシッシフロルムの異名)
  18. コワニー/コーワニー(いずれも異名)/ネアポリタナム(いずれもネアポリタヌム)
  19. アフラチュネンセ(ホランディクムの異名)

アリウム属以外の種類。

  1. アリウム・シクラム/ネクタロスコルドゥム・ディオスコリディス(いずれもネクタロスコルドゥム・シクルム亜種ブルガリスの異名)

(※データ:大阪市基準)