いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

グラジオラス

イメージ

原産地

地中海沿岸・小アジア・南アフリカ~熱帯アフリカ・マダガスカル

アヤメ科

高さ

【春植え種】60~150cm

【秋植え種】10~80cm

花期

【春植え種】7~10月

【秋植え種】3~5月

形態

春植え球根または秋植え球根

休眠期の管理

掘り上げて乾燥保存

別名等

トウショウブ/唐菖蒲/オランダアヤメ/オランダショウブ/ソードリリー


春咲きグラジオラス(秋植え種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

【春植え種】4月上旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(日光不足になると開花しない)。
休眠期は、日光に当てなくてよい。


【秋植え種】10月上旬~5月下旬の生育期は、戸外の直射日光下(越冬中は霜除けする)。
休眠期は、日光に当てなくてよい。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。休眠期は、断水する。

肥料

【春植え種】4~10月に、10~14日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

【秋植え種】秋の元肥の他、12~5月に、7~10日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

植え替え

【春植え種】4月上旬~6月上旬、6号鉢に3球。

【補足】深さ3cm、地植えは深さ8~10cmで15~20cm間隔。毎年植え替える。


【秋植え種】9月下旬~11月中旬、5号鉢に3球。

【補足】深さ3cm、地植えは深さ5~10cmで5~10cm間隔。毎年植え替える。

整姿

草丈が高いので、支柱を立てないと倒れる。

繁殖

【分球・木子採取】植え付け時(木子とは、親球の周りにできる、ムカゴ状の子球のこと)。

耐暑性

わりと強い。

耐寒性

【春植え種】最低5℃を保つ。

【秋植え種】やや弱く(-5℃)、暖地以外では防寒する。

【補足】いずれも、高温にあわせない。

解説

  1. 春植え夏咲きの球根植物として知られるが、一部、秋植え春咲きの種類もある。大雑把に言って、春植え種は派手で、秋植え種は楚々とした雰囲気を持つ。
  2. 春植え種は、品種改良が大変進んでおり、花型・花色ともに、とても豊富。特に花色は、漆黒と澄んだ青以外、ほぼ揃っている。
  3. 秋植え種は、春植え種に比べて草丈が低く、茎葉も細く、繊細な雰囲気である。花に芳香がある原種のトリスティスや、その園芸品種が出回る。春植え種の血が混じっている品種もあるらしい。花色はクリーム色や淡桃色など、中間色が多い。

注意点・病害虫

  1. 春植え種は、植え付け時期をずらすと開花期もずれるので、8月上旬頃まで順次植え付けを続ければ、晩秋まで花が楽しめる。ただし、これが可能なのは暖地のみ。遅く植え付ける球根は、時期が来るまで冷蔵庫で貯蔵しておく。なお、高温期に球根を植え付けると腐敗しやすいことを書き添えておく。
  2. 春に売り出される春植え種の球根は、大きく重いものを選ぶとよいが、小さなものでも支障はない。秋植え球根と異なり、最初から内部に花芽を持つわけではなく、植え付け後の管理次第で花芽ができるかどうかが決まるためである。グラジオラスの花芽は、およそ2枚目~6枚目の葉が出る頃までの間に形成され、その後順次発達するらしい。従って、小さめの球根でも、栽培管理がよければ開花する。逆にいえば、大きな球根を植えても、管理が悪ければ開花しない。
  3. ただし、球根を低温で貯蔵し、遅い時期に植え付ける場合は、大きな球根ほど開花率が高い。従って、貯蔵するのは大球だけにしておく。
  4. 秋植え種は、半耐寒性でありながら、植え付け後すぐに葉が出る。そのため、寒さの害を受けやすい。越冬中は、霜に当てないようにする。
  5. 秋植え種は、春植え種とは異なり、植え付け時期をずらすことはできない。しかし、葉の伸びを遅らせる目的で、11月下旬頃まで植え付けを遅らせることは可能。厳寒期に葉があまり伸びていなければ、寒さの害を軽減できる。
  6. いずれも酸性土を嫌うので、石灰を施してから植える。連作も嫌うため、1~2年ごとに植え替える。なお、秋植え種は、3年くらい据え置き栽培しても大丈夫。
  7. 葉に、やや角型で暗褐色をした水浸状病斑ができ、その部分が薄くなるのは、角斑病である。サンボルドーやバリダシン、ヒトマイシンなどで防除する。
  8. 連作すると硬化病が発生し、葉に、不整形の褐色水浸状病斑ができて枯れこむ。また、球根にも、円形で黒褐色の病斑ができてへこみ、腐敗して干からびる。ダコニール1000、トップジンMなどを散布・土壌灌注するが、球根の植え付け前に、これらの薬剤に浸して消毒しておく。
  9. ウイルス病にかかると、花や葉が萎縮・変形したり、変な縞模様が入る。治療法はないので処分する。

余談

  1. 水あげがとてもよく、切り花に最適。手持ちの株を切る場合は、なるべく葉を多めに残し、球根肥大への悪影響を避ける。

各種の和名・異名

  1. イタリクス(セゲツムの異名)
  2. ブランドゥス(カルネウスの異名)
  3. ビザンティヌス(コンムニス亜種ビザンティヌスの異名)
  4. ナタレンシス/プリムリヌス/プシッタシヌス(いずれもダレニーの異名)
  5. プルプレオオーラツス(パピリオの異名)
  6. カルネウス(ブランドゥスの異名)

(※データ:大阪市基準)