いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

ハエマンサス/マユハケオモト

イメージ

原産地

熱帯アフリカ~南アフリカ

ヒガンバナ科

高さ

10~90cm(種類による)

花期

【春植え種】6~9月

【夏植え種・マユハケオモト】8~11月

形態

春植え球根または夏植え球根

休眠期の管理

【春植え種】鉢のまま乾かす

【夏植え種・マユハケオモト】鉢のまま控えめに水やりを続ける

別名等

ハエマンタス


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

【春植え種】4月上旬~10月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、日光に当てなくてよい。


【夏植え種・マユハケオモト】7月下旬~5月下旬の生育期は、西日を避けた戸外の直射日光下(酷暑期は50~70%遮光)
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。
葉がなければ日光に当てなくてよいが、常緑性のマユハケオモトだけは、戸外で50~70%遮光下に置く。

【補足】いずれも少し耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。

水やり

【春植え種】生育期は、土の表面が乾いて1~2日後に与える。越冬中は、断水する。


【夏植え種・マユハケオモト】生育期は、土の表面が乾いて1~2日後に与える。休眠期は、ごく控えめに。


【補足】いずれも一貫して乾き気味に管理し、雨に当てない。

肥料

【春植え種】春の元肥の他、6月に、固形肥料の置き肥。


【夏植え種・マユハケオモト】秋の元肥の他、1月と、3月に、固形肥料の置き肥。


【補足】いずれも、やせ作りを心がけ、多肥を避ける。窒素(N)は控えめに。

植え替え

【春植え種】3月下旬~5月上旬、4~5号鉢に1球。

【補足】球根の上部が出るよう浅植え、地植えは深さ3cmで、20~30cm間隔。(過湿を嫌うので、地植えはなるべく避ける。)


【夏植え種・マユハケオモト】7月下旬~9月上旬、4~5号鉢に1球。

【補足】球根の上部が出るよう浅植え、地植えは深さ3cmで、20~30cm間隔。(過湿を嫌うので、地植えはなるべく避ける。)
マユハケオモトのみ、4月下旬~5月下旬にも植え替え可能。

整姿

特に無し。

繁殖

【分球・株分け】植え付け時。

【タネまき】採ってすぐにまく(開花まで最低3~5年かかる)。

【鱗片挿し】6~7月(球根の鱗片を外して清潔な土に挿し、子球を出させる)。

耐暑性

わりと強いが、強光と過湿に注意。

耐寒性

最低5℃を保つ。

【ムルチフロルス】最低8℃を保つ。

解説

  1. いずれもハエマンサス属に属する。この仲間は種類が多く、春植え種・夏植え種・常緑性種の三つの形態に分かれる。このうち、夏植え種と常緑性種は、夏に葉が枯れるか否かの違いはあるものの、扱い方はほぼ同じ。
    • 春植え種…晩春~夏に開花、夏~秋に生育、冬~春に休眠する。葉が薄く、主脈(葉の中央を通る太い葉脈)が明確である。葉柄を持ち、葉が螺旋状に展開する。主な種類は、カナリナエ、ムルチフロルスなど。
    • 夏植え種・常緑性種…晩夏~秋に開花、晩夏~冬に生育、晩春~夏に休眠する。葉がやや多肉質で、主脈がはっきりしない。葉柄を持たない。主な種類は、マユハケオモト、コクシネウス、ロツンディフォリウスなど。
  2. 春に、「ハエマンサス」の名で売り出される球根植物は、春植え種のムルチフロルスである。現在はスカドクサス属の植物だが、今でもハエマンサスの名で呼ばれる。巨大なネギ坊主に似た、鮮やかな赤い花を咲かせ、「線香花火」とも呼ばれる。この種類は、大きな球根を植えると見事な花が楽しめる。
  3. この仲間で最も一般的なのは、常緑性種のマユハケオモトである。名前の通り、化粧道具の眉刷毛に似た白い花を咲かせる。毎年、新しい葉が二枚ずつ増える性質がある。この仲間では最も栽培容易で、耐寒性も強く、暖地なら戸外の霜除け下で越冬する。とはいえ、早く大株に育てければ室内に入れる。
  4. 常緑性種は数が少ない。マユハケオモト以外には、マイナーな数種類(デフォルミス、パウクリフォリウスなど)がある程度。
  5. コクシネウスは夏植え種で、マユハケオモトに似た赤い花を咲かせる。晩夏~初秋に球根を植え付けると、まず花が咲き、その後、葉が出てくる。この葉は夏に枯れる。

注意点・病害虫

  1. この仲間は茎葉が多肉質で、形状がかなり個性的なため、多肉植物として扱われることが多い。育て方も、多肉植物の基本的な管理に準じる。
  2. 植え付け後、水やりが多いと、球根が腐りやすい。最初に軽く水やりしたら、次回の水やりは7~10日ほど経ってからにする。その後、発芽してきたら、徐々に水やりの間隔を狭くする。
  3. どちらかというと、砂質の土よりも、腐食質の多いやわらかな土を好む。また、やや石灰分も好むので、植え付け前に施しておく。
  4. 生育期は、幅広の葉を大きく広げ、かなり場所を取る。特にマユハケオモトは、子株を出してよく殖えるので、定期的に株分けしないと、大きくなりすぎて困る。
  5. 過湿や夏の強光による失敗に注意。

各種の和名・異名

  1. アルビフローラ/マユハケオモト/ペイントブラシ(いずれもアルビフロス)
  2. スカドクサス・ムルチフロルス亜種カサリナエ(カサリナエの異名)
  3. 赤花マユハケオモト/コッキネウス/ブラッドリリー(いずれもコクシネウス)
  4. プラセウス/スカドクサス・プニセウス/スカドクサス・ナタレンシス(いずれもマグニフィクスの異名)
  5. スカドクサス・ムルチフロルス(異名)/ムルチフローラ/ムルティフローラ/ムルティフロルス/線香花/線香花火/センコウハナビ/ブラッドリリー/フットボールリリー(いずれもムルチフロルス)

(※データ:大阪市基準)