球根アイリス
イメージ
原産地
小アジア~地中海沿岸・ヨーロッパ
科
アヤメ科
高さ
5~60cm(種類による)
花期
2~6月(種類による)
形態
秋植え球根
休眠期の管理
鉢のまま乾かすか、掘り上げて乾いた土に埋める
【ミニ系、ジュノー系】鉢のまま控えめに水やりを続ける
別名等
イリス・ホランディカ(学名)/球根性アイリス/非根茎アイリス/ダッチアイリス/オランダアヤメ
ミニアイリス(矮性種の総称)
イングリッシュアイリス(ラティフォリア系品種の総称)
ジュノーアイリス(アヤメ科スコルピリス亜属に属する種の総称)
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
10月上旬~6月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
休眠期は、日光に当てなくてよい。
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。休眠期は、断水する。
【補足】ミニ系とジュノーアイリスは、休眠中も完全に乾かしてはいけない。
肥料
秋の元肥の他、2~3月と、花後すぐに、固形肥料の置き肥。
【補足】ミニ系の元肥は控えめに。ジュノーアイリスは窒素(N)を控え、カリ(K)を多めに与える。
植え替え
10月上旬~11月上旬、5号鉢に3球。
【補足】深さ3cm、地植えは深さ5~10cmで5~15cm間隔。ミニ系の地植えは、深さ5~10cmで5~8cm間隔。
整姿
高性種は倒れやすいので、支柱を立てる。
繁殖
【分球】植え付け時。
【タネまき】植え付けと同時期(開花まで3年かかる)。
耐暑性
わりと強い。
耐寒性
強い(-15~-25℃)が、寒地では防寒しないと傷む。
解説
- 「球根アイリス」という名は、イリス属クシフィウム亜属に属する原種と園芸品種群を指す総称である。この仲間は、他のアイリス類とは異なり、地表付近を這う根茎を持たず、地下に小さな球根を作るのが特徴。
- 切り花でおなじみの「ダッチアイリス」が最も一般的。原種ティンギタナとラティフォリアの交雑系統とされ、「イリス・ホランディカ」という学名が与えられている。名前からわかるようにオランダで改良された品種群で、とても丈夫。他の原種、クシフィウムやフォンタネシー、フィリフォリア、ボイッシエリなども交配に使われている。高性種で、花色が豊富。
- 「ミニアイリス」には、黄花のダンフォルディアエや、青紫花のレティクラタの血を引く品種がある。「ハーモニー」がよく出回る。どんなに大きくなっても高さ20cm以下。いずれも、深さ10~20cmと、かなり深植えで育てる。ダンフォルディアエは、やや性質が弱い。この系統は、ダッチアイリス系とは違い、休眠中も、控えめに水やりを続ける。
- 「ジュノーアイリス」は、葉を左右対称に広げる面白い種類で、白~青紫の花を付けるアウチェリ、黄花のオルキオイデスやブカリカ、淡紫花のグラエベリアナ、白~単青色花のマグニフィカなどがある。多肉質の根を持ち、休眠期も根が活動しているので、球根植物というより宿根草に近い。そのため、休眠期も水やりを止めてはいけない。草丈は15~30cm程度と比較的小型。クセがあり、栽培難易度が高い。中には、耐暑性が全く無く、高山植物として扱う種類も混じっている。
- 「イングリッシュアイリス」は、名前の通りイギリスで改良された系統だが、日本ではあまりなじみが無い。やや栽培方法が異なり、夏でも湿り気を好むため、球根を掘り上げる必要がない。高温多湿を嫌うことから、寒冷地のほうが作りやすい。
注意点・病害虫
- この仲間は寒さに強いが、植え付け後、すぐに葉が出るので、寒地では防寒したほうが無難。
- 酸性土を嫌うので、石灰を施してから植え付ける。
- 連作を嫌うので、毎年違う土に植え替えたほうがよい。ダッチアイリスは、暖地なら植えっ放しにできるが、あまり長期間放任すると、球根が消えてなくなる。
- ウイルス病にかかりやすい。花や葉に不規則な縞模様が入ったり、萎縮したりしたら要注意。治療法がなく、他の株にも伝染するので処分する。市販の切り花でもよく見かける。
余談
- 黒褐色と黄緑色をした、独特な雰囲気の花を咲かせるツベロサは、現在は別属のヘルモダクティルス属に分類されている。寒さに強い。
各種の和名・異名
- スパニッシュアイリス(クシフィウム)
- モウニングアイリス(スシアナ)
- クシフィオイデス(ラティフォリアの異名)
- コマチアヤメ(レティクラタ)
イリス属以外の種類。
- ツベロサ(異名)/クロバナイリス/ウィドウイリス(いずれもヘルモダクティルス・ツベロスス)
(※データ:大阪市基準)