バラ
イメージ
原産地
アジア~ヨーロッパ~北アフリカ・北アメリカ
科
バラ科
高さ
0.2~3m(種類による)
【つる性種】.2~7m
花期
4~6月・9~11月(種類による)
【結実】10~12月
形態
落葉~半落葉低木
別名等
ロサ(属名)/茨/薔薇/ソウビ/ショウビ/玫瑰
木バラ(木立性品種の総称)
つるバラ(つる性品種の総称)
ミニバラ(矮性の小~中輪系品種の総称)
スイートブライアー(エグランテリア系品種の総称)
フレンチローズ(ガリカ系品種の総称)
キャベッジローズ/百弁バラ/西洋バラ(いずれもセンティフォリア系品種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
【補足】一部、耐陰性のある品種も存在する。
水やり
土の表面が乾けば与える。
【補足】花や葉に水をかけない。剪定の前日は水やりを控える。
肥料
2~3月と、春の花後すぐ~10月に、固形肥料の置き肥。(小さな鉢植えは、2~10月に、週に一度の液肥を施すだけでも育つ。)
【補足】開花時に肥料分が残ると、うまく花が開かないことがあるので、一時的に施肥を控える。剪定後に液肥を与える場合は、新芽が伸び出すのを待ってから施す。
四季咲き系統は特に肥料食いだが、たくさんの肥料を一度に施すのではなく、弱めの肥料成分が長期間、じわじわと効き続けるのが望ましい。
植え替え
11月中旬~4月上旬(厳寒期は避けたほうがよい)。
【補足】9号以下の鉢植えは毎年、大鉢植えは2~5年に一度行う。深植えは禁物。
根の傷みが目に付くようなら、土を全て落とし、新しい土で仕立て直す。(とはいえ、健全な根まで傷付けることになるので、あまり行わないほうが無難。)新苗の植え付けは、遅くとも6月までに済ませる(生育期間中の植え付けなので、根鉢を崩さない)。
カニナを台木に使った株(主に輸入苗)は、細根が少ないので、地植えの移植はなるべく避ける。
整姿
病気の原因となる、泥の跳ね上がりを防ぐため、株元をマルチングする。高温期(最高気温28℃以上)に出たつぼみは、よい花にならないので、全て摘み取り、咲かせない。
【花後の切り戻し】花が盛りを過ぎた頃。
四季咲きの系統は、花をいつまでも付けておくと養分を取られ、二番花以降にひびくので、花の付いた枝の、付け根から3~5枚の五枚葉(5枚の小葉がひとかたまりになった葉)を残して、上部を切る。
(少し早めに切って、切り花にするとよい。)
【剪定】(木立性・半つる性・つる性、の三系統に分けて記述した。)
切り口の角度は、斜め40~45℃(芽・葉の方向と平行になるように)を理想とし、必ず、節の5~8mm上で切る。直径5mm未満の弱い枝や、枯れ枝、病虫害のひどい枝、老化した枝、その他不要な枝は、基部から切り捨てる。
生育期間中、つぼみが出ずに伸びが止まった枝(ブラインドシュート)は、基部から2~3枚の五枚葉を残して切ると、よい枝が出る。
【木立性の系統】ハイブリッド・ティーは強め、その他の系統は、やや弱めの剪定を心がける。オールドローズは、強剪定してはいけない。(いずれも、充実した外芽(外側を向いた芽)の5mm上で斜めに切る。)
冬剪定…1月中旬~3月上旬。
木全体を1/2~1/3にするのが目安。前年に伸びた枝(前年枝)を、1/3の長さに切り戻す。(ただし、前年に花が咲いた枝は、基部から2~3節を残して切る。)前年の秋以降に伸び出した貧弱な枝があれば、元から切る。
木が大きくなりすぎたら、高さ30cm程度まで強く切り縮めると、木が若返る(もちろん危険はあるので、覚悟して行う)。
ミニバラは、枝先を少し切る程度の、弱い剪定でも支障はないが、老化枝が多くなったら、充実した前年枝だけを残し、それより古い枝を全て切る。
夏剪定…8月下旬~9月上旬。
木全体を2/3~3/4にするのが目安だが、無理に行う必要はない。春~初夏に伸びた新枝の先端付近の、充実した五枚葉のすぐ上で切る。(だいたい、伸びた部分が15~20cmくらい残るように。)
晩春~夏に出た新しいシュート(ベーサルシュート)は、そのまま伸ばすが、勢いが強すぎるようなら、早めに先端を5cmほど切る。(8月中旬以降に出たシュートは、元から切除する。)
秋にも剪定を行う際は、葉が一枚もない枝を作らないよう注意する。(剪定すれば葉がなくなってしまうような枝は、貧弱でも切らず、冬剪定まで待つ。)
葉がたくさん残っているほど、剪定後の経過が良好。
【半つる性の系統】基本的に、木立性の系統に準じるが、全体的に弱剪定にとどめる。(いずれも、充実した外芽(外側を向いた芽)の5mm上で斜めに切る。
冬剪定…1月中旬~3月上旬。
前年に伸びた枝を、3/4~2/3の長さに切り戻す。木立性に近く枝が直立する品種なら、1/3程度まで強めに切り戻せる。ただし、前年に花が咲いた枝は、基部から2~3節を残して切る。
3年目を迎えた古いシュートは根元から切り、新しいシュートに更新する。(ただし、品種によっては古枝にもよく花が咲くので、品種特性をよく知っておく必要がある。)
夏剪定(四季咲きの系統のみ)…8月中~下旬。
一季咲きの系統は秋剪定を行わない。四季咲き系統も無理に行う必要はない。
春~初夏に伸びた新枝を、3/4の長さに切り戻すが、強く切りすぎると、秋の花が咲かなくなる。晩春~夏に出た新しいシュートは、そのまま伸ばすが、勢いが強すぎるようなら、先端を5cmほど切る。
秋剪定を行う際は、葉が一枚もない枝を作らないよう注意する。(剪定すれば葉がなくなってしまうような枝は、貧弱でも切らず、冬剪定まで待つ。)
【つる性の系統】いずれも、充実した外芽(外側を向いた芽)の5mm上で斜めに切る。夏剪定は行わない。
冬剪定…1月中旬~3月上旬。
不要な枝や古い枝を切り捨てる作業を中心とする。長く伸び、充実した枝は、先端を10~30cmほど切り戻す。(ただし、前年に花が咲いた枝は、基部から2~3節を残して切る。)
3年目を迎えた古いシュートは根元から切り、新しいシュートに更新する。
初夏の手入れ…晩春~夏。
晩春~夏に出た新しいシュートはそのまま伸ばすが、勢いが強すぎるようなら先端を5cmほど切り戻す。
【つる性~半つる性系統の誘引】冬剪定と同時期。
なるべく水平につるを誘引しないと、花付きが悪くなる。
前年に伸びた若い枝(翌年にたくさん開花する枝)を中心にして配置を考える。(古い枝は、誘引を後回しにして、補助的に配置する。)
だいたい等間隔に枝を誘引・配置し、ヒモなどでしっかり留めるが、枝の伸びている方向をよく見て行い、逆方向に無理矢理曲げたりしない。
繁殖
【挿し木】3月、5月下旬~10月中旬。
【取り木】5月下旬~7月上旬(「高取り法」で行うとよい)。
【接ぎ木】2~3月(台木はノイバラが最適)。
【芽接ぎ】8~10月。
【根伏せ・根挿し】2~3月か、5~6月(接ぎ木された株だと、台木の根を挿すことになるので注意)。
【株分け】植え替えと同時期(あまり一般的でない)。
【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して3~4月にまく(皮に傷を付け、一晩水に浸けてからまくとよい)。
耐暑性
わりと強い。
【ペルシカ系】弱い。
耐寒性
強い(-10~-25℃)が、寒地では防寒する。
解説
- この花を知らない人はほとんどいないと思われる。あらゆる園芸植物の中で別格の地位を占めており、バラだけを集めて愛培する人も数多い。品種・系統が凄まじく多く、性質や扱い方もそれぞれ異なるが、ここでは基本的な事柄をまとめてみた。本気で取り組みたい人には専門書をおすすめする。
- 原種だけでも約150~200と結構な数があり、北半球の寒帯~亜熱帯域に広く分布する。それらが長年に渡って交配・選抜が盛んに行われてきた、歴史ある植物である。また、枝変わり(ある枝だけ、他と違う色の花が咲くなどの現象)や斑入りなどの変異を起こしやすいため、園芸品種の数が半端ではない。
- 気難しそうな印象があるが、いざ育ててみると、かなりしたたかで、生命力の強い植物である。(ごく一部の、弱い品種を除く。)しかし、最高の状態で美しく咲かせるには、やはり緻密な管理が必要となる。
- バラには、大きく分けて、下記の三系統がある。モダンローズとオールドローズは、さらに細かい系統に分かれるため、その下に列記した。なお、その分類とは別に、三系統それぞれに、「木立性」「つる性」「半つる性」といった樹形の区分、「一季咲き」「四季咲き」といった花期の区分がある。
- モダンローズ…1867年以降に誕生した、比較的新しい園芸品種や系統。
- オールドローズ…それ以前に誕生した、古い園芸品種や系統。
- ワイルドローズ…交配種の元となった原種や、人の手が加わっていない野生種。
- モダンローズは、今日、最も一般的なバラとなっている。大まかな系統を書き連ねてみたが、正確な系統図ではないのであしからず。
- ハイブリッド・ティー(HT)…オールドローズのティー系と、同じくオールドローズのハイブリッド・パーペチュアル系の交雑系統。最も一般的なモダンローズ。大輪で、四季咲き。木立性。
- フロリバンダ(Fl)…ハイブリッド・ティー系と、ポリアンサ系などの交雑系統。中~大輪・房咲きで、四季咲き。木立性。
- グランディフローラ(Gr)…ハイブリッド・ティー系と、フロリバンダ系の交雑系統。大輪・房咲きで、四季咲き。木立性。ハイブリッド・ティー系に含められることが多い。
- ラージフラワードクライマー(Lcl)…ハイブリッド・ティー系、フロリバンダ系、ハイブリッド・ウイクラナ系などの交雑系統。大輪で、主に一季咲きだが、秋に少し返り咲く四季咲き種もある。つる性。
- ミニチュア(ミニアチュア)(Min)…シネンシス変種ミニマと、ポリアンサ系の交雑系統。小輪で、四季咲き。木は矮性で、葉も小さい。木立性。
- パティオ(Patio)…ミニチュアのうち、花が中輪・房咲きになる系統。ミニチュアより大きく育つことが多い。
- ポリアンサ(Pol)…小輪・房咲き。四季咲きだが、一季咲き種もある。木は矮性。木立性。
- ミニフローラ(Minfl)…新しい分類系統で、詳細不明。フロリバンダ系とミニチュア系の中間系統らしい。
- シュラブ(S)…大型の半つる性系統の総称。所属する品種は変化に富む。四季咲き種と一季咲き種がある。
- イングリッシュローズ(Eng)…シュラブ系の最重要品種群。モダンローズとオールドローズの長所を併せ持ち、人気が高い。主に四季咲きだが、一季咲き種もある。木は半つる性~つる性。
系統というよりは、イギリスの育種家デイビッド・オースチン氏が作ったブランドといったほうがよく、品種ごとに形状・性質のばらつきがある。
- イングリッシュローズ(Eng)…シュラブ系の最重要品種群。モダンローズとオールドローズの長所を併せ持ち、人気が高い。主に四季咲きだが、一季咲き種もある。木は半つる性~つる性。
- ハイブリッド・コルデシー(HKor)…ルゴサ系のコルデシーという種類から育成された系統。系統名はドイツの育種家コルデスにちなむ。木は木立性~つる性まで変化に富む。
- ハイブリッド・モエシー(HMoy)…モエシーという種類から育成された系統。
- ハイブリッド・ムスク(HMsk)…モスカタという種類から育成された系統。房咲きで、大きな花房となる。四季咲き。花にムスク(麝香)の香りがある。木立性に近いが、半つる性~つる性として扱う。
- ハイブリッド・ルゴサ(HRg)…ルゴサという種類から育成された系統。花によい香りがあるが、枝にトゲが多い。耐寒性が強い。
- ハイブリッド・ウイクラナ(HWich)…ウイクラナ(ルシアエ)という種類から育成された系統。つる性。
- オールドローズ(Old)は、さらに多くの系統に分かれる。四季咲き種も結構あるが、返り咲きの花は、最初の花ほど華やかではないことが多い(例外あり)。なお、オールドローズは、同じ系統に属するからといって、同様の性質を持つとは限らない。
- アルバ(A)…ダマスク系と、カニナ系のコリーフォリア変種フロエベリーの交雑系統。房咲き、一季咲きで、名前の通り、白~淡桃色の花が多い。木は大型でトゲが少なく、葉が灰緑色。
- エアシャー(Ayr)…原種アルベンシスの系統で、スコットランドのエアシャーで育成された。ほふく性でグラウンドカバー向き。
- ブルボン(B)…ダマスク系のダマスケナ変種ビフェラ(オータム・ダマスク)と、チャイナ系(コウシンバラなど)の交雑系統。名は、「オータム・ダマスク」が発見されたブルボン島(レユニオン島)にちなむ。房咲きで花はカップ型。主に四季咲き(返り咲き)だが、一季咲き種もある。半つる性で、木は横に広がる。
- ブールソール(Bslt)…シネンシスと、ペンデュリナ(キンナモメア「プレナ」説、ブランダ説も有り)の交雑系統。トゲがほとんど無い。
- センティフォリア(プロヴェンス)(C)…名前の通り、センティフォリア(別名「キャベッジローズ」)から育成された系統。カニナ、ガリカ、フォエニシア、モスカタの交雑系統でもある。一季咲きで、丸い花弁が多く重なり、カップ咲きとなる。花の香りがよい。木は半つる性に近く、トゲが多い。
- チャイナ(Ch)…ギガンテアとシネンシスから育成されたもののうち、初期の古い系統をこう呼ぶ。四季咲き。トゲが少ない。
- ハイブリッド・チャイナ(HCh)…チャイナ系、ガリカ系、ダマスク系、ノアゼット系、ブルボン系などの交雑系統。
- ダマスク(D)…ガリカとフォエニシアの交雑種であるダマスケナ(サマー・ダマスク)から育成された系統と、ガリカとモスカタの交雑種であるダマスケナ変種ビフェラ(オータム・ダマスク)から育成された系統の総称。主に一季咲きだが、オータム・ダマスク系の品種は四季咲き(返り咲き)。花の香りが強く、香料用に栽培される。木は横に広がる。
- ハイブリッド・ブラクテアタ(HBc)…ブラクテアタから育成された系統。四季咲きで、暑さに強く丈夫。つる性。葉は照り葉である。
- ハイブリッド・エグランテリア(スイートブライアー)(HEg)…エグランテリアから育成された系統。トゲが多く、葉に青リンゴのような香りがある。
- ハイブリッド・フォエチダ(HFt)…フォエチダから育成されたもののうち、初期の古い系統をこう呼ぶ。黄~橙色の花が多い。性質が弱い。
- ガリカ(G)…ガリカから育成された系統。房咲き・一季咲き。濃紅~淡紅色の花が多く、花型は変化に富む。花の香りがよい。木は小型で、横に広がる。半つる性種もある。
- ハイブリッド・ムルチフローラ(HMult)…ムルチフローラから育成された系統。花が大きな房状になる。半つる性~つる性。
- ハイブリッド・パーペチュアル(HP)…ハイブリッド・チャイナ系、ブルボン系、ポートランド系などの交雑系統。花は大輪。主に四季咲きだが、一季咲き種もある。
- ハイブリッド・センペルヴィレンス(HSem)…センペルヴィレンスから育成された系統。一季咲き。木はつる性で、半常緑である。
- ハイブリッド・セティゲラ(HSet)…セティゲラから育成された系統。つる性。
- ハイブリッド・スピノシッシマ(HSpn)…スピノシッシマ(ピンピネリフォリア)から育成された系統。耐寒性が強く、早咲き。半つる性。
- モス(M)…センチフォリア系の枝変わりから育成された系統、一季咲き。花梗やガクに、苔のような細かい腺毛が密生するためこの名がある。木は半つる性に近い。
- ノアゼット(N)…チャイナ系の「オールド・ブラッシュ」、ティー系、モスカタ系の交雑系統。主に四季咲きだが、一季咲き種もある。房咲きで、花にスパイシーな香りがある。半つる性~つる性で、トゲが少ない。
- ポートランド(P)…ガリカ、ダマスク系の「オータム・ダマスク」、チャイナ系の交雑系統とされるが、起源が不明確。遅咲き、房咲き。四季咲きだが、一季咲き種もある。木は小型で立ち性、一部に半つる性種もある。
- ティー(T)…ギガンテアやコウシンバラから育成された系統。ノアゼット系、ブルボン系も関わっている。四季咲き。花に紅茶に似た香りがあるため、この名がある。モダンローズの最重要品種群「ハイブリッド・ティー」の元祖。木は、やや横に広がる。つる性種もある。
- ミサレイニアス・オールドローズ(Misc.OGR)…来歴に分からない点が多く、どの系統に属するのか不明な品種群。
- ワイルドローズ(Sp)は、ヨーロッパ~アジア原産の種類が多い。日本に自生するものでは、どこにでも生えているノイバラを始め、ツクシノイバラ、サンショウバラ、テリハノイバラ、ハマナスなどがある。サンショウバラは、バラの仲間としては珍しく、小高木に育つ。ハマナスは、「浜梨」がなまってついた名前とされる。
- イザヨイバラ、コウシンバラ、ナニワバラ、モッコウバラは中国原産だが、日本でも古くから親しまれている。コウシンバラは完全な四季咲き性で、現在の四季咲き系バラの改良親となった、重要な原種である。
- ナニワイバラは常緑性で、きわめて生育旺盛。花の大きい個体が「ブータンナニワバラ」、紅花品種が「ハトヤバラ」という名前で売られている。
- モッコウバラの仲間は白花と黄花があり、それぞれ一重咲き種と八重咲き種がある。白花種は一重・八重を問わず、花に強い芳香がある。黄花種は、一重咲き種のみ芳香を持つ。モッコウバラの仲間はトゲがほとんど無いので扱いやすいが、白花の一重咲き種(バンクシアエ変種ノルマリス)にはトゲがある。
- その他の主な外国産原種には、エグランテリア、カニナ、ガリカ、ニチダ、フォエチダ、ブルノニー、ムリガニー、モスカタなどがある。多くは半つる性で、初夏のみ開花する一季咲き。
- 樹形は、大きく分けて下記のような分類がある。正確かどうかは不明。
- 木立性(B)…枝が直立し、ブッシュ状に茂る。
- 直立性…枝が上方に立ち上がるため、樹高が高い。
- 横張り性…枝が横に広がる。樹高はやや低くなる。
- 半横張り性…直立性と横張り性の中間タイプ。
- つる性~半つる性
- クライミング(Cl)…完全なつる性で、大型。四季咲きだが、一季咲き種もある。下記のように、木立性の系統から枝変わりで生じたものもある。ただし、枝変わりのつるバラは、もとの木立性に戻りやすい品種がある。
- クライミング・ハイブリッド・ティー(Cl.HT)…つる性のハイブリッド・ティー。
- クライミング・フロリバンダ(Cl.F)…つる性のフロリバンダ。
- クライミング・ミニチュア(Cl.Min)…つる性のミニチュア。
- クライミング・ポリアンサ(Cl.Pol)…つる性のポリアンサ。
- クライミング・チャイナ(Cl.Ch)…つる性のチャイナ。
- クライミング・ティー(Cl.T)…つる性のティー。
- ランブラー(R)…つる性。一季咲きで、小~中輪・房咲き。オールドローズでは、ハイブリッド・ウイクラナ系、ハイブリッド・セティゲラ系、ハイブリッド・ムルチフローラ系などが該当する。
- シュラブ(S)…木立性に似るが、枝がより長く伸び、半つる状となる。
- モダン・シュラブ…1990年以降に作出された、オールドローズの流れをくむ系統。四季咲きだが、一季咲き種もある。
- 修景バラ…非常に大型。木は這い性で、横に広がる。主に四季咲きだが、一季咲き種もある。グラウンドカバーに向く。
- クライミング(Cl)…完全なつる性で、大型。四季咲きだが、一季咲き種もある。下記のように、木立性の系統から枝変わりで生じたものもある。ただし、枝変わりのつるバラは、もとの木立性に戻りやすい品種がある。
- 木立性(B)…枝が直立し、ブッシュ状に茂る。
- バラの花型は、次のようなものがある。
- 一重咲き…花弁が5~9枚。
- 半八重咲き…花弁が10~19枚。
- 八重咲き…花弁が20枚以上。
- 高芯咲き…重なり合った花弁の先端が反り返り、花の中心部が高く盛り上がって咲く。花弁先端の形状により、「剣弁」「半剣弁」「丸弁」の三通りがある。ハイブリッド・ティーの典型的な花型。
- 平咲き…花弁が平らに開き、花に厚みがない形状。花弁先端の形状により、「剣弁」「半剣弁」「丸弁」の三通りがある。
- ロゼット咲き…多くの花弁が、層を成すように重なりあって咲く。花弁の重なりの中心(花芯)は一つだけである。
- クォーター・ロゼット咲き…ロゼット咲きのうち、一つの花の中に花芯が二つ以上あるもの。
- カップ咲き…花弁がやや内側に丸まり、花全体がカップ型になる。
- 抱え咲き…多くの丸い花弁が重なりあい、花の中心を抱え込むように咲く。
- シャクヤク咲き…多くの花弁が不規則に並び、球状に咲く。
- ポンポン咲き…数多くの、ごく小さな花弁がかたまり、球状に咲く。
- バラの苗は、前年の夏~冬に接ぎ木し、晩秋~冬に出荷される「大苗」と、前年の秋~冬に接ぎ木し、春に出荷される「新苗」の二種類がある。大苗は、接ぎ木から一年近く経っているため、植え付け後、翌春から花を楽しめる。一方、新苗は植え付け後、その年の秋まで、つぼみを摘み取って咲かせないようにし、株作りに努めたほうが、早く成株になる。
- 大苗には、国産苗と輸入苗があり、普通は国産苗が主流である。国産苗のほうが、(輸入時の検疫の関係で)根が傷んでいない分、植え付け後の生育が良い。また、国産苗は日本原産種のノイバラを台木に使っているため、日本の気候によく順応し育てやすいが、輸入苗は、ヨーロッパ原産のカニナなどを台木にしており、日本の気候になじみにくい傾向がある。
- 新苗は、接ぎ木後、短期間で出荷された苗なので、接ぎ木部分がしっかり癒合していないことがある。心配なら、大苗を選んだ方が無難。ただ、新苗は、開花期に売られるため、開花見本を見ながら好みの品種を買えるのが大きな利点である。また、しばしば元の木立性樹形に戻ってしまう枝変わりのつるバラも、新苗で買えば、確実につる性になっている株を入手できる。(大苗だと、木立性に戻っていても判別できない。)
- ほとんどの種類は落葉~半落葉性であるが、一部、ナニワイバラ、ハトヤバラ、モッコウバラのように、常緑性の種類も存在する。常緑性種は、やや耐寒性が劣る。
- バラの仲間は普通、花が終われば切り取り、結実させない。しかし中には、ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナなどのように、果実も観賞の対象とする種類もある。その他、ウィルモッティアエ、エグランテリア、カニナ、ガリカ、キンナモメア、グラウカ、スピノシッシマ、セリセア亜種オメイエンシス、ダビディー、ニチダ、ヒベルニカ、フォリオロサ、ポミフェラ、ミクルゴサ、ロクスブルギー「ノルマリス」なども同様。
注意点・病害虫
- 鉢植えにする場合、ミニバラなら5~6号、ミニバラ以外の木立性系統は7~8号、シュラブ系は8号、つるバラは8~10号、くらいから始めるのが無難。しかし、つるバラは、地植えにしないと本領を発揮しないものが多い。
- やや酸性で粘土質の土を好む。赤玉土7+腐葉土3の基本配合で十分だが、鉢植えなら、市販のバラ専用の培養土を使えば楽ができる。植え付け時、苗の接ぎ木部分に接ぎ木テープが巻かれたままになっていたら、外しておく。
- 同じ土での連作は好ましくないので避ける。
- 樹形作りの過程において、どうしても新しいシュートが伸びて欲しい箇所がある場合、ベンジルアデニン剤(BA剤)を処理することで、シュートを発生させられることがある。シュートの欲しい付近をよく観察し、ごく小さな潜芽(休眠していて、普段は動かない芽)があれば可能。具体的には、潜芽の0.5~1mm下に小さな傷を付け、ペースト状のBA剤を小量塗り込むだけ。
- 放任していると、病虫害がすさまじい。病気は、うどんこ病、黒星病、灰色かび病、根頭がんしゅ病、べと病、ウイルス病、害虫は、アブラムシ、カイガラムシ、カミキリムシ、コガネムシ、スリップス、チュウレンジハバチ、ハダニ、ハキリバチ、バラクキバチ、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)など。栽培環境さえ適切なら、そう甚大な被害を受けることはないものの、日頃から観察を怠らないようにする。
- 地際部分や接ぎ木部分に、褐色~黒褐色の大きな病斑ができてへこむのは、すそ枯病の被害である。放置すると株が枯死するので、早めに発病部分を削り取り、トップジンMペーストなどを塗っておく。希釈済みの石灰硫黄合剤を直接塗布してもよいが、葉などに付かないよう注意する。なお、根頭がんしゅ病の処置も同様である。
- ある程度大きくなった木なら、無農薬でも何とかなるが、やはり定期的な薬剤散布は行ったほうがよい。薬剤使用を少しでも減らしたければ、最初から耐病性の強い品種を選んで育てるのも手。
- 葉に黒いしみ状の斑点が出るのは、マグネシウム欠乏の症状らしい。症状だけを見ると黒星病に似ているが、黒星病は、黒い病斑の周辺が黄色く変色してくる点が異なる。
余談
- カニナの果実は「ローズヒップ」と呼ばれ、ジャムやハーブティーなどに使われる。エグランテリアの果実も同様に使えるらしい。
- ローズヒップオイルは、カニナの他、エグランテリアとモスカタから採られる。アンチエイジング効果があるといわれ、化粧品などに使われる。
- ハマナスの果実も生食やジャムなどに用いられる。また、花を乾燥したものを「玖瑰花(まいかいか)」といい、下痢止めにする。また、根から染料がとれるらしい。
- ノイバラの果実は「営実(えいじつ)」と呼ばれ、利尿・便秘薬として使われる。できものにも効果がある。ただし、多量に摂取すると下痢をする。
- バラの花弁は、ジャムや砂糖漬けにしたり、生のまま、料理の香り付けや彩りとして添える。その他、化粧水にも使える。
各種の和名・異名
- オオタカネイバラ/大高嶺茨/オオタカネバラ/大高嶺薔薇(いずれもアシクラリス)
- ダブリカ/マーレティー(いずれも異名)/カラフトイバラ/樺太茨/ヤマハマナス/山浜茄子(いずれもアンブリオティス)
- コハマナス/小浜茄子/コハマナシ/小浜梨(いずれもイワラ)
- カイドウバラ/海棠薔薇(ウチヤマナ)
- ルビギノサ(異名)/スイートブライアー/スイートブライアーローズ(いずれもエグランテリア)
- ボタンイバラ/ティーローズ(いずれもオドラタ)
- ヤブイバラ/藪茨/ニオイイバラ/匂茨(いずれもオノエイ変種オノエイ)
- ルシアエ(誤った名)アズマイバラ/東茨/ヤマテリハノイバラ/山照葉野茨/オオフジイバラ/大富士茨(いずれもオノエイ変種オリガンサ)
- ジャスミノイデス(異名)/モリイバラ/森茨(いずれもオノエイ変種ハコネンシス)
- ドッグローズ/イヌノイバラ/犬野茨/ブライアーブッシュ(いずれもカニナ)
- オフィシナリス(異名)/アポテカリーズローズ/レッドローズオブランカスター(いずれもガリカ変種オフィシナリス)
- ムンディ(ガリカ「ベルシコロール」の異名)
- マクロカルパ(ギガンテアの異名)
- ルブリフォリア(グラウカの異名)
- ヤマイバラ/山茨(サンブキナ)
- コウシンバラ/庚申薔薇/チョウシュン/長春/チャイナローズ(いずれもシネンシス)
- スズバラ/鈴薔薇/プレイリーローズ/サンシャインローズ(いずれもセティゲラ)
- オメイエンシス「プテラカンサ」(異名)/ウイングドソーンローズ(いずれもセリセア亜種オメイエンシス「プテラカンサ」)
- クレステッドモス(センティフォリア「クリスタタ」)
- コモンモス/オールドピンク/オールドピンクモスローズ(いずれもセンティフォリア「ムスコサ」)
- ヨークアンドランカスター(ダマスケナ変種ベルシコロル)
- アシクラリス変種ニッポネンシス(異名)/タカネイバラ/高嶺茨/タカネバラ/高嶺薔薇(いずれもニッポネンシス)
- ミヤコイバラ/都茨(パニクリゲラ)
- 一重咲きモッコウバラ(バンクシアエ変種ノルマリス)
- バンクシアエ変種アルバ(異名)/モッコウバラ/木香薔薇/バンクシアローズ(いずれもバンクシアエ変種バンクシアエ)
- バンクシアエ「ルテア」(異名)/キモッコウバラ/黄木香薔薇/キモッコウ/黄木香(いずれもバンクシアエ品種ルテア)
- バンクシアエ「ルテッセンス」(異名)/一重咲き黄モッコウバラ(いずれもバンクシアエ品種ルテッセンス)
- サンショウバラ/山椒薔薇/ハコネバラ/箱根薔薇/ハコネサンショウバラ/箱根山椒薔薇(いずれもヒルトゥラ)
- スピノシッシマ(異名)/バーネットローズ/スコッチローズ(いずれもピンピネリフォリア)
- ルテア(異名)/アポテカリーズローズ/オーストリアンイエローローズ/オーストリアンブライアーローズ(いずれもフォエチダ)
- オーストリアンカッパー(フォエチダ変種ビコロル)
- ペルシャンイエロー/ペルシアンイエロー(いずれもフォエチダ「ペルシアナ」)
- ルシアエ変種フジサネンシス(異名)/フジイバラ/富士茨(いずれもフジサネンシス)
- カカヤンバラ/ヤエヤマノイバラ/八重山野茨(いずれもブラクテアタ)
- モスカタ変種ネパレンシス(異名)/ヒマラヤンムスクローズ(いずれもブルノニー)
- フルテミア・ペルシカ(ペルシカの異名)
- アップルローズ(ポミフェラ)
- マイカイ/玫瑰(マイクワイ)
- ヤブテリハノイバラ/藪照葉野茨(マキノアナ)
- ヤマミヤコイバラ/山都茨(ミカワモンタナ)
- ミシマノイバラ/見島野茨(ミシメンシス)
- アデノカエタ(異名)/ツクシイバラ/筑紫茨(いずれもムルチフローラ変種アデノカエタ)
- ポリアンサ(異名)/ノイバラ/野茨(いずれもムルチフローラ変種ムルチフローラ)
- キンシイバラ/錦糸茨/ショウノスケバラ(いずれもムルチフローラ品種ワトソニアナ)
- ムスクローズ(モスカタ)
- カメリア(異名)/ナニワバラ/難波薔薇/ナニワイバラ/難波茨/チェロキーローズ(いずれもラエビガタ)
- ラエビガタ変種ロセア(異名)/ハトヤバラ/鳩谷薔薇(いずれもラエビガタ品種ロセア)
- ブータンナニワバラ(ラエビガタの大花個体)
- ハマナス/ハマナスビ/浜茄子/ハマナシ/浜梨/マイカイカ/玫瑰花/ジャパニーズローズ(いずれもルゴサ)
- ヤエシロバナハマナス/八重白花浜茄子(ルゴサ品種アルボプレナ)
- ルゴサ「アルバ」(異名)/シロバナハマナス/白花浜茄子(いずれもルゴサ品種アルバ)
- ウィクライアナ(異名)/テリハノイバラ/照葉野茨(いずれもルシアエ)
- フイリテリハノイバラ/斑入り照葉野茨(ルシアエ「バリエガタ」)
- ウィクライアナ品種エリプソイデア(異名)/トックリイバラ/徳利茨/ナガミノテリハノイバラ/長実照葉野茨(いずれもルシアエ品種エリプソイデア)
- ウィクライアナ変種グランデュリフェラ(異名)/リュウキュウテリハノイバラ/琉球照葉野茨(いずれもルシアエ品種グランデュリフェラ)
- ウィクライアナ品種プレナ(異名)/ヤエテリハノイバラ/八重照葉野茨(いずれもルシアエ品種プレナ)
- ウィクライアナ品種ロシフローラ(異名)/ベニバナテリハノイバラ/紅花照葉野茨(いずれもウィクライアナ品種ロシフローラ)
- ヨナグニテリハノイバラ/與邦国照葉野茨(ルシアエ品種ヨナグニエンシス)
- ロクスブルギー品種ロクスブルギー/ロクスバリー品種プレナ(いずれも異名)/イザヨイバラ/十六夜薔薇/チェストナッツローズ/チンカピンローズ(いずれもロクスブルギー)
学名不詳の種類。
- ゲッキカ/月季花/チョウシュンカ/長春花(いずれも「オールド・ブラッシュ」)
- 西王母(「サフラノ」)
- シネンシス変種ビリディフローラ(異名)/グリーンローズ(いずれも「ビリディフローラ」)
- シネンシス「アルバ」(「白長春」)
- レンゲローズ(「八女津姫」)
(※データ:大阪市基準)