ボケ
イメージ
原産地
日本(関東以西~九州)・中国
科
バラ科
高さ
0.2~3m(種類による)
花期
【春ボケ】3~5月
【寒ボケ】10~3月
【結実】いずれも9~11月
形態
落葉低木~小高木
別名等
カエノメレス・スペシオサ(学名)/モケ/モッケ/木瓜/カラボケ/トウボケ/唐木瓜/放春花
マボケ(キャセイエンシス)
クサボケ/草木瓜/シドミ/ジナシ/ノボケ/山櫨(いずれもジャポニカ)
シロバナクサボケ/白花草木瓜(ジャポニカ品種アルバ)
ヤエクサボケ/八重草木瓜(ジャポニカ品種プレナ)
日照
戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
水やり
土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。
肥料
2月、4月、6月、9月に、固形肥料の置き肥。
【補足】開花中なら、花が終わってから施す。
植え替え
9月下旬~12月上旬(作業が遅れないよう注意)。
【補足】1~2年に一度行う。病虫害を受けている場合を除き、なるべく根を傷つけない。花後すぐにも植え替え可能だが、根頭がんしゅ病やネコブセンチュウの危険性が高まる。
整姿
【剪定】剪定に弱いので、切り口に必ず癒合剤を塗る。
花後剪定…花後すぐ~5月中旬。
開花した枝は、基部に最も近い葉芽のすぐ上で切る。(基本的に、枝の基部から3~4芽を残して切る。)開花しなかった枝は、基部の1~3芽を残して切る。
夏剪定…7月。
徒長枝は6~7月に摘芯すると、良い枝になる。ひこばえ(ヤゴ)は全て根元から切るが、株立ち樹形にしたければ、よいものを1~2本残し、先端を摘芯する。
秋剪定…10月。
枝先の花芽のない部分と、樹形を乱す枝を剪定する。(このとき、必ず葉芽を2~3芽残して切らないと、枝枯れする。)短い枝に花芽が多く付くので、なるべく切らないようにする。
秋に強剪定すると、狂い咲きすることがあるが、気にしない
繁殖
【挿し木】2~3月、5月下旬~10月中旬。
【取り木】2~3月、5~8月(若い枝の途中に切り込みを入れ、土に埋めて発根させる)。
【接ぎ木・根伏せ・根挿し】2~3月。(根伏せと根挿しは、接ぎ木された株だと、台木の根を挿すことになるので注意。)
【株分け】植え替えと同時期(株立ち樹形の場合のみ可能)。
耐暑性
強い。
耐寒性
強い(-15~-25℃)。
解説
- 昔からよく知られた花木である。中国原産のボケ、マボケ、日本原産のクサボケの他、ボケとクサボケの交雑種であるスペルバが栽培される。
- 品種がとても多く、晩秋~春に咲く「寒ボケ」と、春に咲く「春ボケ」がある。花色は赤、朱、紅、桃、白と豊富に揃っており、花型は一重、半八重、八重がある。「東洋錦」「安田錦」のような、紅白咲き分けの品種もある。
- クサボケは日本特産種で、どんなに大きくなっても高さ1m前後と小さい。名前に「クサ」と付くが、草ではなく木である。地下茎で広がる性質がある。斑入り葉の品種もある。
- 冬~早春によく出回る「長寿梅」「白長寿梅」は、クサボケの変種とされ、四季咲き性がある。
- 雌雄異花(雄花と両性花)のため、結実しにくいが、まれに果実を付ける。この果実はかなり大きく、木が弱る原因になるため、地植えの大株でもない限り、取り除いたほうがよい。
注意点・病害虫
- 枝にトゲがあるので、扱いに注意する。
- 花芽は、新梢の基部に近い部分ほど多く付く。花の咲いた節からは芽が出ないため、剪定時は、必ず葉芽を残すようにしないと枝枯れする。強剪定すると、葉芽まで切り捨ててしまう危険が高い。
- やや粘質で腐植質に富む土を好む。アルカリ性の土では育たないが、強酸性の土も嫌う傾向がある。
- 基本的には丈夫だが、やや気難しいところがあり、薬剤にも弱い。殺虫剤や殺菌剤の散布は、必ず試しがけを行う。
- 根頭がんしゅ病にかかりやすいのが、最大の欠点。根に黒っぽい大きなこぶができ、徐々に衰弱して枯死する。この病原菌は土壌にいるが、植物体に傷が付くと、そこから侵入する。冬は菌の活動が鈍るため、植え替え作業は必ず、秋から冬に向かう低温期に行い、その際、バクテローズか、ストレプトマイシン系殺菌剤に根を浸す。なお、挿し木も、感染の危険があるので、なるべく低温期に行う。
- 根頭がんしゅ病は、薬剤防除の難しい病気であるにも関わらず、購入した時点ですでに感染していることがある。根を見ることができなければ判らないのが困りもの。なお、一度発病した場所に、新たにボケを植えると伝染する。
- 5~6月に発生する赤星病も、ボケの重要な病害である。葉に赤い病斑を生じ、その裏に気味の悪いカビが生える。発生初期にトリフミンやバイレトンなどを散布し、ひどく発病した葉は摘み取る。一度発生するとしつこい。カイヅカイブキなどのビャクシン類が近くにあると、互いに病原菌を融通しあうので注意。
- ネコブセンチュウの被害を受けることもあり、根にごく小さなこぶができる。この場合は、こぶのある部分を切り落とし、新しい用土に植え替えればよい。
余談
- 果実は秋に熟し、生食には適さないものの、果実酒にできる。
(※データ:大阪市基準)