いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

ボタン

イメージ

原産地

中国北西部・ブータン

ボタン科

高さ

1~2m

花期

4~5月・11~2月(種類による)

【結実】6~9月

形態

落葉低木

別名等

パエオニア・スフルティコサ(学名)/牡丹/花王/花神/富貴草/名取草/ハツカグサ/廿日草/フカミグサ/深見草/ツリーピオニー/モウタン


シボタン/紫牡丹(デラバイー)
デラバイー変種ルテア(異名)/キボタン/黄牡丹(いずれもルテア)
冬ボタン(寒ボタンの別名)

日照

戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。

水やり

土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。

【補足】できれば雨に当てない。

肥料

2月、花後すぐ、9月、11月に、固形肥料の置き肥(結構な肥料食いなので注意)。

植え替え

9月中旬~11月上旬。

【補足】3~5年に一度行う。移植を嫌うので、根を傷めない。地植え株の移植は難しい。新しい苗を植え付ける際は、接ぎ木部が3cmほど埋まるようにする。
早春にも植え替え可能だが、根頭がんしゅ病の危険性が高まる。

整姿

シャクヤクを台にして接ぎ木された株は、台木から芽が出ると、接がれているボタンが弱るため、早めにかき取る。(市販のボタン苗は、ほとんどがシャクヤク台である。)
生育中に土が流れて、株元の接ぎ木部が露出したら、土寄せしておく。


【剪定】よい花を咲かせたければ、なるべく剪定をしない。

花後剪定…花後すぐ~6月上旬。
花が終わったら、すぐに花がらを切らないと、翌年開花しにくくなる。
春に伸びた新梢の各節に付く翌年用の芽は、基部から2~3芽だけを残し、他は全てかき取る(芽かきの作業は、6月中に済ませる)。寒ボタンには、芽かきの必要はない。

秋剪定…植え替えと同時期。なるべく、落葉を待ってから行う。
花後に芽かきをしておいた部分(=翌年用の芽がない部分)を切り除く程度。花芽の数は、一本の枝に二つまでとする。


【寒ボタンの摘葉】10月。

寒ボタンを冬に咲かせるために、全ての葉を付け根から切り取る。(普通種のボタンでは行わない。)

繁殖

【接ぎ木】8月下旬~10月上旬(台木はシャクヤク)。

耐暑性

わりと強いが、病気が発生しやすい。

耐寒性

とても強い(-25℃)が、寒風にさらさない。

【寒ボタン】強いが、防寒しないと花が傷む。

解説

  1. 「百花の王」と呼ばれ、花が非常に豪華なことで知られる。高温多湿を嫌う傾向があり、どちらかというと寒地向きの植物。
  2. 品種がとても多く、花色は、白~桃~紅、赤、濃赤、黄緑、黄色などさまざま。「島錦」のような、赤白の絞り咲き品種もある。花型は、一重咲き(花弁数5~15程度)~八重咲き(花弁数20~40程度)~千重咲き(花弁数45~100程度)~万重咲き(花弁数100以上)、まである。また、原種ルテアのように、花に芳香を持つ種類もある。
  3. シャクヤクとよく似ているが、ボタンは落葉樹、シャクヤクは宿根草である。また、葉の形も違っており、ボタンの葉には切れ込みが多く入るが、シャクヤクの葉は、ほとんど切れ込みがない。とはいえ、ボタンとシャクヤクは近縁であるため、両者の交配種も作られている。
  4. 普通のボタンは春しか咲かないが、寒ボタンは、初冬と春の二回開花する。冬の花は寒さで傷みやすいので、冬囲いをして保護する。

注意点・病害虫

  1. 生長は遅いほうだが、かなりの肥料食いである。施肥の時期が来たら、忘れずに置き肥する。
  2. 太い根が長く伸びるため、鉢植えは、なるべく8~10号以上の大鉢に植える。ただし、木が小さいうちは、いきなり大鉢に植えると過湿になりがちなので、根がやっとおさまるくらいの小鉢(5号~)から出発するとよい。
  3. 市販の苗木は、ほとんどがシャクヤクに接ぎ木したものである。苗の植え付けの際は、接ぎ木部が3cmほど土に埋まるようにし(極端な深植えは禁止)、早めにボタン自身の根(自根)を出させるようにする。いつまでもシャクヤクの根に頼り、自根が全くないと、ボタンは数年で枯れてしまう。
  4. やや砂混じりの粘質土を好む。石灰分も忘れずに。
  5. 炭疽病など、葉の病気にかかりやすい。病気で9月までに落葉させてしまうと、翌年の開花は望めなくなるので、定期的に殺菌剤を散布する。
  6. 地際部分や根に、ややへこんだ黒褐色の病斑ができて亀裂を生じる「根黒斑病」は、ボタンとシャクヤクに特有の病害である。発病初期なら腐敗部分を削り取ればよいが、普通は抜き取り処分する。連作すると再発するので注意。
  7. ウイルス病にかかると、葉にモザイク状の斑模様が出るので処分する。

(※データ:大阪市基準)