いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

フジ

イメージ

原産地

日本(関西以西~九州)・中国・北アメリカのフロリダ州・テキサス州

マメ科

高さ

2~10m(つる性)

花期

4~6月

【結実】9~10月

形態

落葉つる性木本

別名等

ウィステリア(属名)/藤/フジヅル/藤蔓/フジナミ/藤波


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

水やり

土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。

【補足】5月中旬~8月上旬のみ腰水にすると、つるの伸びを抑え、花付きがよくなる。(木が弱るので、生育の悪い株では行わない。)

肥料

2月、花後すぐに、固形肥料の置き肥。

【補足】窒素(N)は控える。

植え替え

11月下旬~3月上旬(厳寒期は避けたほうがよい)。

【補足】移植を嫌うので、根を切らない。(特に、太い根を傷つけないよう注意。)地植え株の移植は難しい。(強行すると、何年も開花しなかったり、休眠したり、時には枯死したりする。)

整姿

【剪定】いずれも、節の3cm上で切るようにする。

冬剪定…植え替えと同時期。
つる状になっていない、短い太めの枝(短花枝)は、花芽が多いので切らない。春に伸びたつるを、基部3~10節を残して切るが、花芽をなるべく残す。(花芽は、春に伸びたつるの基部5~6節までの部分に付く。花芽は丸くて大きく、葉芽は細長いので見分けがつく。)

夏剪定…花後すぐ~7月上旬。
新しいつるを5節残して切り詰め、その後も腋芽が伸びるたびにひたすら摘芯し、できる限り伸びを抑える。(摘芯は、芽が伸び始めて、つる状になるのを待って行う。)
強剪定すると、逆に徒長枝の大発生を招き、翌年咲かなくなる。
8~9月に強剪定すると、狂い咲きしやすい。

繁殖

【挿し木】3月か、5月下旬~7月中旬。

【取り木】4月中旬~8月下旬。

【接ぎ木・根伏せ・根挿し】2月下旬~4月上旬か、5~6月。(穂木は、1~2月に採取し、適期まで乾かないよう保存する。根伏せと根挿しは、接ぎ木された株だと、台木の根を挿すことになるので注意。)

【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かさないよう保存して2~3月にまく。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

とても強い(-25~-30℃)

解説

  1. フジの仲間は、つるが右巻きのノダフジの系統と、左巻きのヤマフジの系統に大別される。前者は花房が長く、ときに2mにも達し、とても見事である。後者は花が大きいが、花房は短く、花数も少ない。単に「フジ」というと、ノダフジを指す。
  2. ノダフジ系の園芸品種には、「口紅」「九尺」「黒龍」「八重黒龍」、ヤマフジ系には、「カピタン」「昭和紅」などがある。外国産のフジには、アメリカフジやシナフジがあるが、日本ではあまり栽培されない。
  3. 花色は、藤色の他、白や桃、淡紅色などがある。八重咲き種もある。
  4. 鉢植えには、ヤマフジ系品種や、花つきのよい一歳フジ系品種が適する。しかし、鉢植えでは、毎年豪華な花を楽しむのは難しい。
  5. 藤棚には、花房の長いノダフジ系の品種を用いる。棚の形式には決まりごとがあり、高さは2.4mが標準となっているらしい。もちろん、形式にとらわれる必要はなく、個人の好みで仕立てるとよい。
  6. 一般に、落葉樹の花芽分化期は6~7月上旬である。が、フジは、9月にもう一度、花芽分化期を迎える。フジは、盛夏に剪定したり根を傷めたりすると、しばしば狂い咲きするが、これは、花芽分化期が二回あることと関係しているらしい。

注意点・病害虫

  1. 品種によるが、地植えではつるばかり伸び、なかなか開花しない傾向がある。地植えを早く開花させるには、つるをしっかり誘引しつつ、一切剪定をしないのが一番である。(開花するようになったら、以降はきちんと剪定する。)
  2. 鉢植えは、とかく咲きにくい。そのため、花付きをよくするために、夏に腰水をし、生育を抑える方法がよくとられる。わざと小さな鉢に植え、大きく生長させないのも手。(フジに限らず、植物は、生長を抑制されると老熟し、開花に向かう。)
  3. また、春の萌芽前、枝に太い針金を螺旋状にきつく巻き付け(巻く長さは10cmほど、枝に食い込むくらい)、7月下旬頃に外せば、翌春、針金をまいた枝に開花する。
  4. やや粘土質の土でよく育つ。乾燥地は嫌う。
  5. フジ特有の病気として、こぶ病がある。梅雨時から夏にかけて、枝にこぶができて次第に大きくなり、やがて腐敗して空洞化する。見つけ次第こぶを削り取り、癒合剤を塗布した上、ストレプトマイシン(ストマイ)などを散布する。
  6. 害虫は、アブラムシとハマキムシがよく付く。

余談

  1. 花、若い葉、ともに食用になる。秋になると豆サヤができ、中の豆(タネ)も食べられる。ただし、タネを多食すると食中毒を起こすことがある。特に、子供が食べると危険だという。
  2. ナツフジやニワフジ、サッコウフジの仲間は、名前に「フジ」と付いているが、ここで取り上げているフジとは別属の植物である。

各種の和名・異名

  1. シナフジ(シネンシス)
  2. ヤマフジ/山藤/カビタン/カピタン/花美短(いずれもブラキボトリス)
  3. ムラサキカピタン(ブラキボトリス「アトロプルプレア」)
  4. ブラキボトリス「アルバ」/ベヌスタ/ベヌスタ「アルバ・プレナ」(いずれも異名)/シロバナヤマフジ/白花山藤/シロカピタン/シルキーウィステリア(いずれもブラキボトリス品種アルバ)
  5. ノダフジ/野田藤/ナガフジ/長藤/ジャパニーズウィステリア(いずれもフロリブンダ)
  6. ショウワシロフジ/昭和白藤(フロリブンダ「アルバ」)
  7. 一歳フジ(フロリブンダ「ナナ」)
  8. ヤエコクリュウ/八重黒竜(フロリブンダ「ビオラセオプレナ」)
  9. ノダナガフジ/野田長藤(フロリブンダ「マクロボトリア」)

(※データ:大阪市基準)