いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

イチョウ

イメージ

原産地

不明(中国ともいわれる)

イチョウ科

高さ

20~45m

花期

4~6月

【結実・黄葉】10~11月

形態

落葉高木

別名等

ギンクゴ・ビロバ(学名)/銀杏/公孫樹/鴨脚樹/ギンキョウ/ギンギョウ/メイデンヘアーツリー


実成りイチョウ(雌株の別名)

日照

戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避けたほうがよい)。

水やり

土の表面が乾けば与える。

肥料

2~3月に、固形肥料の置き肥(多肥にする必要はない)。

植え替え

2月上旬~4月上旬か、10月上旬~11月中旬(葉の無い時期に行ったほうが安全)。

整姿

【剪定】2月上旬~3月中旬か、11~12月。

ひこばえなど、不要な枝を切り除く剪定を主体とする。剪定に強く、芽吹きがよいので、適当に切っても、それなりの樹形になる。

繁殖

【挿し木】2~3月、6~7月。

【取り木】4~8月。

【接ぎ木】2~3月。

【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して2~4月にまく。(発芽まで1~3ヵ月かかる。タネは、尖ったほうが上だが、わからなければ横向きにまく。)

耐暑性

とても強い。

耐寒性

強い。

解説

  1. 公害に強く、街路樹としておなじみ。日本に渡来したのは6世紀頃とされる。春の新緑や秋の黄葉が美しく、よく盆栽に使われる。斑入り葉の品種「バリエガタ」もある。
  2. 放任していても、自然な円錐形の樹形に育つが、かなりの大木になる。よほど広い庭でない限り、地植えするべきではない。どうしても地植えする場合は、早めに主幹の芯を止め、毎年きちんと剪定する。
  3. 鉢植えにすると非常に生長が遅くなり、ある程度の期間、小さな木のまま楽しめる。とはいえ、鉢植えで長く付き合いたいなら、矮性の「一歳イチョウ」のほうが向いている。
  4. 雌雄異株で、両方が揃わないと結実しにくい。ギンナンがなるのは雌木のみ。なお、イチョウは風媒花なので、雄木を一緒に栽培しなくても、どこからか花粉が飛んできて受粉することが多いらしい。
  5. 若木の生長はかなり早いが、開花結実までは20年以上の歳月を要する。「一歳イチョウ」は普通種より早く開花結実するが、それでも鉢植えだと期待できない。
  6. ギンナンが食用になることから、果樹として扱われることもある。が、高さ10m程度の大木にならないと開花結実が望めない特性を考えると、観賞用としての扱いが無難と思われる。
  7. 老木になると、幹や枝から、氷柱(つらら)のような物体を垂らし、木の雰囲気ががらりと変わる。これは「乳(ちち)」と呼ばれ、乳を多く持つイチョウは、「乳イチョウ」と呼ばれて珍重される。なお、この乳が何のために出るのか、いまだに分かっていないらしい。
  8. 材に水分が多く、燃えにくいので、防火林にも使われる。潮風にも強い。

注意点・病害虫

  1. 開花するまでは、木の雌雄を見分けるのは至難の業である。タネの形で見分けられる(「タネが三角形に近いと雌木」)という俗説があるが、根拠は無い。挿し木が容易なので、近くに性別が判明している木があれば、枝をもらって来て挿し木したほうが確実。
  2. 市販のタネをまく前に、湿らせた土に埋めて1~2ヵ月ほど冷蔵庫に入れておくと、発芽率がよくなる。拾ってきたギンナンをまく場合は、秋のうちにまき、そのまま戸外で冬を越させると、春に発芽する。もちろん、外種皮(果肉のような部分)は全て取り除いておく。なお、タネから育てると、ほとんど雄木ばかりになるらしい。
  3. やや砂質の土を好む。
  4. ギンナンは、食用にするほか、砕いて煎じ、薬用や洗髪料に用いる。抗利尿作用もある。薬効が比較的強く、素人療法は禁物。
  5. ギンナンの外種皮(果肉のような部分)は、とても臭く、食べられない。人によっては、触れるとかぶれるので注意する。食用になるのは、外種皮の中に入っている種子だけである。
  6. 日本では、昔から「ギンナンは歳の数より多く食べてはいけない」と言われてきた。この言葉通り、ギンナンを一度にたくさん食べると中毒を起こす。たとえ大好物でも20個以下、できれば10個未満で。
  7. イチョウの葉のティーや健康食品が人気だが、葉に毒性があるため、一般家庭で自己流のティーを作ったりしない。市販品は有害成分が低減されている。

余談

  1. 属名の「ギンクゴ(Ginkgo)」は、「銀杏」の音読み「ギンキョウ(Ginkyo)」を誤記したものらしい。
  2. イチョウは一科一属一種の裸子植物で、約一億五千年前から存在していたとされる。ソテツと並び、「生きた化石」として知られる。イチョウの仲間は、中生代中期(ジュラ紀)には数百種以上もあり、世界中に広く分布していたらしい。が、現在はイチョウ一種類しか残っていない。そのイチョウが再発見されたのが中国だったため中国原産とされるものの、正確な原産地は不明。
  3. イチョウは、シダ植物と同様に、精子を作って卵(らん)まで泳がせる性質を持つ。(普通、種子を作る植物は、花粉管を使って精核を直接卵に届ける。)雄花で花粉が作られ、その花粉が雌花に届くと、雌花の内部で精子が作られるらしい。

(※データ:大阪市基準)