カシ
イメージ
原産地
日本(東北南部以南)・中国・朝鮮半島南部・ヒマラヤ・インドシナ
科
ブナ科
高さ
5~20m
花期
4~5月(ただし、シリブカガシは9~10月)
【結実】10~11月
形態
常緑低木~高木
別名等
クエルクス(属名)/樫
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下。
【補足】アラカシとシラカシは耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。幼木のうちは、夏の強い直射日光を避けてやる。
水やり
土の表面が乾けば与える。
肥料
2月と、4月に、固形肥料の置き肥(多肥にする必要はない)。
植え替え
3月上旬~4月上旬か、5月上旬~7月中旬、9月上旬~11月上旬のいずれか(春か5月頃に行うとよい)。
【補足】地植え株の移植は難しい。
整姿
【剪定】2月下旬~4月上旬、6月中旬~7月上旬。
伸びすぎた不要枝を切り戻す程度。ドングリが欲しければ、春~収穫まで、一切剪定を行わない。
生垣などで樹形を優先する場合は、10月中旬~11月中旬にも刈り込む。
繁殖
【タネまき】採ってすぐにまく(種皮に傷をつけてからまくとよい)。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
わりと強いが、極寒地では室内へ。
解説
- 漢字で「樫」と書くように、堅く丈夫な材のとれる木である。いくつか種類があるが、葉裏に毛があり、枝の付き方が粗いアラカシと、葉に毛が無く材が白っぽいシラカシ、そして、備長炭でおなじみのウバメガシが一般的。生長は速め。
- その他、材が赤っぽいアカガシや、神社によく植栽されるイチイガシもある。葉の裏が白っぽいウラジロガシは、最も耐寒性が強く、宮城と新潟以南に自生する。
- 巨大なドングリで知られるオキナワウラジロガシは、奄美以南に自生する日本固有種らしい。
- アラカシは西日本に多く、耐寒性の強いシラカシは東日本に多いとされるが、両種の生息域は、かなり被っている。ちなみに、アラカシは宮城と石川以南、シラカシは福島と新潟以南に自生するという。
- 九州・四国ではウバメガシがよく植栽されるらしい。が、最近は、紀州備長炭のせいで、和歌山県の木というイメージが強い。ウバメガシは神奈川以西に自生し、カシの仲間としては樹高が低く、5m以下の低木。
- 庭のシンボルツリーや、背の高い生垣(高垣)などに利用される。生垣には、刈り込みに強いウバメガシやシラカシが向く。防風・防火林にも使われる。木材としても優れる。
- ウバメガシは公害や潮風に強く、防風樹として適する。
- 秋にはドングリができる。アラカシ、シラカシ、イチイガシのドングリは、開花した年の秋に完熟するが、それ以外の種類は翌年の秋にようやく完熟する。
注意点・病害虫
- かなり大きくなるので、鉢植えにはあまり向かないが、秋にドングリをまいて幼木を育てるのも楽しい。幼木は耐陰性に優れ、観葉植物のように扱うこともできる。
- 水はけさえよければ、土質は選ばない。ただし連作は嫌うので、前作にカシ類が植わっていた跡の土に、またカシを植えるのは避ける。
- うどんこ病が発生しやすいので、定期的に殺菌剤散布を行う。一度発病するとかなりしつこい。
- カシやシイの仲間には、葉膨病という病気がある。発病すると、葉に、円形で淡紅色をした光沢のある膨らみを生じ、症状がひどいと葉全体がでこぼこになる。大発生することはないので、被害葉を摘み取っておく。
- 春、アブラムシが大発生し、木の下が排泄物でベトベトになることがあるので、殺虫剤で駆除する。
余談
- ドングリを水にさらし、しっかりアクを抜けば食用になる。なお、イチイガシとシリブカガシのドングリは渋みが無いらしい。
- シリブカガシは名前に「カシ」と付くが、実際はマテバシイの仲間であり、カシ類ではない。が、見た目は、カシの仲間にそっくりである。
各種の和名・異名
- アカガシ/赤樫/オオガシ/大樫/オオバガシ/大葉樫(いずれもアクタ)
- セイヨウヒイラギガシ/ホルムオーク/エバーグリーンオーク(いずれもイレックス)
- イチイガシ/一位樫(ギルバ)
- アラカシ/粗樫(グラウカ)
- ウラジロガシ/裏白樫(サリシナ)
- ツクバネガシ/衝羽根樫(セッシリフォリア)
- オオツクバネガシ/大衝羽根樫(タカオヤメンシス)
- ウバメガシ/姥目樫/イマメガシ/ウマメガシ(いずれもフィリラエオイデス)
- チリメンガシ/縮緬樫(フィリラエオイデス変種クリスパ)
- ハナガカシ/葉長樫(ホンダエ)
- オキナワウラジロガシ/沖縄裏白樫(ミヤギイ)
- シラカシ/白樫/クロカシ(いずれもミルシニフォリア)
カシとは別属の種類。
- シリブカガシ/尻深樫(パッサニア・グラブラ)
(※データ:大阪市基準)