クスノキ
イメージ
原産地
日本(関東南部~九州)・中国・台湾・済州島
科
クスノキ科
高さ
15~30m
花期
5~6月
【結実】10~12月
形態
常緑高木
別名等
シンナモムム・カンフォラ(学名)/楠/樟/楠木/クス/カンファーツリー
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下(越冬中は霜除けする)。
【補足】少し耐陰性があり、多少の日陰なら耐える。
水やり
土の表面が乾けば与える。
肥料
3月、5月、7月に、少量の固形肥料を置き肥。
植え替え
2月上旬~4月中旬か、6月下旬~8月上旬。
【補足】地植えの若木を移植するときは、枝と幹を切り捨て、切り株だけを植えたほうが成功しやすいらしい。
整姿
【剪定】2月中旬~3月下旬か、花後すぐ~10月上旬。
伸びすぎた枝を切る程度で、あまり必要ない。
繁殖
【挿し木】6月上旬~7月下旬か、9月(やや発根しにくいので、団子挿しにするとよい)。
【タネまき】採ってすぐにまく。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
やや弱く、暖地以外では室内へ。
解説
- 温暖地の寺や神社でよく見かける。寿命の長い木で、日本各地に巨大な名木が存在する。
- アカクス、アオクス、サンショウクスの三種類があるらしい。アカクスは名前の通り新芽が赤みを帯び、アオクスは緑色の芽を持つ。庭などに植栽されるのは、萌芽の美しいこの二種類である。サンショウクスについては詳細不明。
- 鉢植えにすると、観葉植物のように扱える。しかし、そもそも大木になる性質なので、あまり鉢植え向きではないと思われる。
- 葉に三本の葉脈が目立つ。灰褐色の樹皮には縦方向の亀裂が無数に入る。木全体に樟脳の成分を含むため、枝葉を傷つけると、芳香がする。
- 属名から想像できるように、ニッケイ(シナモン)と同属の植物である。ニッケイは沖縄・中国南部~インドシナ原産で、「桂皮(根の皮)」を採るために栽培される。仲間のヤブニッケイやマルバニッケイも、薬用に使われることがある。なお、スパイスの原料になるのは、インド南部~セイロン島原産のセイロンニッケイである。
注意点・病害虫
- 春、新葉が展開するのとほぼ同時に、前年の葉を一斉に落とす性質があり、周囲をひどく散らかして困る。常緑樹とはいえ葉の寿命が短く、毎年新しく入れ替わっているらしい。(縁起木として知られるユズリハと似た性質である。)
- 強い風が吹くと、葉や小枝が簡単にもげて、周囲に散らばる。末端の枝葉を捨て石にすることで風を受け流し、太枝や幹が折れないよう守っているという。
- 酸性土壌に強い。土質にはそれほどこだわらない。
- クストガリキジラミが付き、葉に褐色の虫こぶができることがある。4月にスミチオンなどを散布するが、虫こぶを作られてからでは、駆除が難しい。放っておいても大して害はない。
- 春~初夏に、クスサンの幼虫が大発生し、木が丸裸にされることがある。老齢幼虫は8cmにも達し、全身が白い毛で覆われている。殺虫剤で容易に駆除できる。
余談
- クスノキの葉をよく見ると、三本の太い葉脈の分岐部に、小さな袋状のふくらみが二つある。これは「ダニ室」と呼ばれ、ダニの住み家らしい。ここに暮らすダニはクスノキを加害しないという。クスノキがダニに住まいを提供する理由は未だ不明らしいが、一説によると、このダニは肉食性で、さまざまな害虫からクスノキを守っている、ともいわれる。
各種の和名・異名
- アカクス/赤楠(カンフォラ「レッドモンロー」)
- オキナワエンセ(異名)/ニッケイ/肉桂(いずれもシーボルディー)
- ヤブニッケイ/藪肉桂/クスタブ/クロダモ/マツラニッケイ(いずれもジャポニクム)
- マルバニッケイ/丸葉肉桂/コウチニッケイ/高知肉桂(いずれもダフノイデス)
- ゼイラニクム(異名)/セイロンニッケイ/シナモン/セイロンシナモン(いずれもベルム)
(※データ:大阪市基準)