ナンテン
イメージ
原産地
日本(茨城以西~九州)・中国・インド
科
メギ科
高さ
1~3m
花期
5~7月
【紅葉・結実】11~2月
形態
常緑低木
別名等
ナンディナ・ドメスティカ(学名)/南天/南天燭/南天竹/サシブ/ヘブンリーバンブー/セイクリッドバンブー
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
西日を避けた戸外の直射日光下。
【補足】耐陰性が強く、かなりの日陰でも耐える。
水やり
土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。
【補足】開花中は雨に当てないほうがよい。
肥料
3月、6月、9月に、固形肥料の置き肥(多肥にすると、実付きが悪くなる)。
植え替え
2月下旬~3月下旬、花後すぐ、9月中旬~11月上旬のいずれか(春に行うとよい)。
【補足】1~2年に一度行う。
整姿
地植えの株の樹勢が強すぎて結実しない場合、3月頃、株元の土にスコップを入れて根を切れば、樹勢が一時的に落ち、結実しやすくなる。
【剪定】3月上旬~4月中旬。
株元から新枝が次々に発生するので、不要な枝を間引く。一度結実した枝は、その後数年間実を付けないので、強めに切り戻し、新しい枝を出させる。萌芽力が強く、全ての枝を切っても、また芽吹くが、その年は開花結実しない。
繁殖
【挿し木】2月下旬~4月上旬、5月下旬~9月下旬(直接土に挿してもつく)。
【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して3~4月にまく(発芽は秋になってから)。
【株分け】植え替えと同時期。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
わりと強い(-8~-15℃)が、極寒地では室内へ。
解説
- 一属一種。「難を転ずる」とされ、縁起の良い木である。果実の色は、赤実のほか、白実と黄実がある。(ただし、黄実といっても、鮮やかな黄色ではなく、桃色を帯びている。)「滝の川南天」のような、斑入り葉の品種もある。
- 矮性種に、高さ10~70cmほどで葉幅の広いオタフクナンテン、高さ10~50cmほどで葉が糸のように細いキンシナンテンがある。これらは生長が遅く、実付きも悪い。
- キンシナンテンには、「赤縮緬」「祝鶴」「遠州錦糸」「折鶴筏」「織姫」「玉獅子」「千羽鶴」「曽我筏」「千鳥」など、昔から伝わる園芸品種が存在する。が、品種名を明示して売られることは少ない。なお、昔は、もっと多くの品種があったが、現在はほとんど失われているらしい。
- オリヅルナンテンは、葉や葉軸が著しく奇形化し、一見、ナンテンに見えない。キンシナンテンとは別系統らしいが、キンシナンテンの一種として扱われるようである。チモトナンテンは、株元に、多数の低い枝が茂り、数本の枝だけが、普通種と同じように伸び上がる性質がある。
- 生け花で使われるササバナンテンは、普通のナンテンより葉が小さく、密に茂る。また、イカダナンテンは、枝が石化(帯化)し、平べったく変化したものである。シナナンテンは、普通のナンテンに似るが、果穂が枝垂れずに立ち上がる。(普通種は、果実の重みで果穂が枝垂れる。)
注意点・病害虫
- とても丈夫で、切り株だけにされてもすぐに芽を出し、葉を茂らせる。おかげで木の大きさを調節しやすい。ただし、果実を楽しみたい場合は、そのような強剪定をしてはいけない。
- 自分の花粉だけでは実付きが悪いので、二株以上用意する。なお、開花中に雨に当て放題にすると、花粉が流されて受粉しにくい。
- 紅葉を楽しみたいときは、春以降、しっかり日光に当てて育てると、鮮やかに発色する。赤実種と黄実種は紅葉、白実種は黄葉する。(白実種でも、一部、紅葉する種類があるらしい。)
- 夏の前後に、葉先や葉の縁から褐色の斑点が広がり、その周囲が紅色になることがある。これは紅斑病の症状。場合によっては、鮮やかな紅葉を見せることがあり美しいが、れっきとした病気なので、Zボルドー、エムダイファー、トップジンMなどで予防する。
- この他、ウイルス病にかかりやすい。罹病株は、葉が萎縮・変形するが、治療方法はない。気になる場合は、タネをまくなどして、別の株に更新する。(種子感染はしない模様。)
- のど飴で知られるように、咳止めなど、さまざまな薬効のある植物だが、素人療法は危険。なお、果実の色に関わらず、薬効は同じ。
余談
- 祝儀に添えるときは、葉を表に向け、不祝儀のときは、葉を裏返して添えるという。
各種の和名・異名
- ウルミナンテン(ドメスティカ品種オーランティアカ)
- キンシナンテン/琴糸南天/錦糸南天/金糸南天(ドメスティカ変種カピラリス)
- シナナンテン/支那南天(ドメスティカ品種パルビフォリア)
- フジミナンテン/藤実南天(ドメスティカ品種ポルフィロカルパ)
- オタフクナンテン/お多福南天/ゴシキナンテン/五色南天/オカメナンテン/阿亀南天(いずれもドメスティカ「ラティフォリア」)
- ササバナンテン/笹葉南天(ドメスティカ「ルブロバンブサナ」)
- ドメスティカ品種レウコカルパ(異名)/シロナンテン/白南天/シロミナンテン/白実南天(いずれもドメスティカ「レウコカルパ」)
- 千本南天/浜本千本(チモトナンテン)
(※データ:大阪市基準)