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素人園芸解説 -私はこう育てる-

西洋シャクナゲ

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原産地

東アジア~ヒマラヤ・ネパール・ブータン・インド・北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・ニュージーランド・ニューギニア

ツツジ科

高さ

1~6m

花期

4~6月(種類によっては9~10月にも咲く)

形態

常緑小低木~低木

別名等

ロードデンドロン(属名)/西洋石楠花/洋種シャクナゲ/ローディー


ミニシャクナゲ(有鱗片シャクナゲの矮性品種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

西日を避けた戸外の直射日光下(7月中旬~9月上旬は50%遮光したほうがよい)。

【補足】耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。株元に日光を当てない。

水やり

土の表面が乾けば与える。

【補足】過湿と水切れの両方に弱い。病気の元なので、花に水をかけない。

肥料

2月、花後すぐ、10月に、固形肥料の置き肥。

【補足】根が弱いので多肥にしない。窒素(N)は控えめに。

植え替え

2月下旬~4月中旬、花後すぐ、9月下旬~10月下旬のいずれか。

【補足】幼苗は毎年、成株は2年に一度行う。根が空気に触れるのを好むため、深植えは禁物。地植え株の移植は難しい。

整姿

地温の上昇と乾燥から根を守るため、株元をマルチングするとよい。花が終わったらすぐに花がらを摘み取らないと、良い新枝が出ない。


【剪定】花後すぐ。

樹形が乱れにくいので、あまり剪定の必要はない。他のツツジ類とは違い、枝の途中で切っても芽吹きにくいため、強剪定してはいけない。


【花芽摘み(摘蕾)】7月下旬~3月上旬の間に適宜行う。

木全体のバランスを見て、花芽の数を、1/2~2/3程度に減らす。一箇所から三本以上の枝が伸び、かつ、全ての枝に花芽が付いていれば、一番悪い枝を基部から切る。(ただし、大きく育った成木のみ可能な作業。)
枝分かれの少ない部分があれば、先端の花芽を摘み取り、翌春の分枝を促す。
花芽が複数付いた枝があれば間引き、枝一本につき花芽一つにする。(隔年開花の性質が強いため、これを怠ると、開花が一年おきになりやすい。)


【芽かき(摘芯)】4月下旬~7月中旬(花が終わり次第、なるべく早く済ませる)。

枝の先端から新芽が一つしか出なかった場合、すぐにその芽を摘み取れば、すぐ下の節々から数本の新芽が伸び出し、こんもりした良い樹形になる。

繁殖

【挿し木】3月、6月上旬~8月上旬、9月上旬~10月中旬。(挿し穂の切り口を赤玉土の団子で包む「団子挿し」にする。発根率が非常に低いため、さらに密閉挿しにし、発根促進剤も併用したい。)

【接ぎ木】2月上旬~4月上旬か、9月中旬~10月下旬。(春のほうがよい。台木はアカボシシャクナゲを用い、割り接ぎか合わせ接ぎ、鞍接ぎ、舌接ぎとする。)

【取り木】4~6月(「高取り法」で行うが、発根率が悪い)。

【タネまき】採ってすぐにまくか、保存して2~3月にまく(品種によるが、タネから育てると5~6年後の開花となる)。

耐暑性

わりと強い。

耐寒性

強い(-10~-15℃)が、極寒地では防寒する。

【日本産種】とても強い(-15~-30℃)。

【補足】いずれも、高温にあわせない。

解説

  1. 日本では、ツツジ科の常緑樹のうち、革質のやや硬い葉を持ち、多数の花を枝先に固めて咲かせるものを、「シャクナゲ」と称する。(より正確には、下記の「無鱗片シャクナゲ」である。)が、ツツジもシャクナゲも、同じツツジ属(ロードデンドロン属)の植物であるため、海外では、それほど厳密には区別されないらしい。
  2. シャクナゲの仲間のうち、主にアジア原産で、欧米で品種改良された園芸品種群を、「西洋シャクナゲ」と称する。シャクナゲは日本にも自生するが、高山性のため耐暑性が弱く、暖地で育てにくい。西洋シャクナゲは比較的暑さに強い。
  3. 西洋シャクナゲは、育種が大変進んでおり、きわめて品種が多い。花色も豊富で、白~桃~紅、赤、青紫、黄などがある。「プレジデント・ルーズベルト」のように、葉に斑が入る品種もある。
  4. 比較的耐暑性がある外国産シャクナゲには、次のようなものがある。原種ではアカボシシャクナゲ、交配種では「茜」「アメリカ」「アンジェリカ」「アンナ・ローズ・ホイットニー」「ウェディングブーケ」「貴婦人」「クリスマスチアー」「紅炎」「越の炎」「サー・ロバート・ピール」「さきがけ」「桜狩」「ジーン・マリー・ド・モンタギュー」「紫炎」「ジョイフルデイ」「シルビア」「太陽」「ドクター・アーノルド・エンズ」「ナンシー・エバンス」「ネリアーブ」「初雪」「バルカン」「ビビアニ」「ピンクドール」「プレジデント・ルーズベルト」「マーキータズ・プライズ」「マダム・マッソン」「ミセス・テレサ」「明星」「モーニング・マジック」など。
  5. 上記の中でも、「太陽」は最も強健といわれ、地植えにすると、暖地でも見事な大株に育つ。
  6. 鮮やかな深紅の花を咲かせるアルボレウムは、ネパールの国花である。高山植物だが、日本でも栽培される。
  7. 日本に自生するシャクナゲには、アズマシャクナゲ、アマギシャクナゲ、キバナシャクナゲ、ツクシシャクナゲ、ネモトシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、ホソバシャクナゲ、ホンシャクナゲ、ミマタシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲなどがある。多くは高山性で暑さに弱く、育てにくいため、山野草扱いされることが多い。(耐寒性は-15~-30℃。)ただし、ホソバシャクナゲとヤクシマシャクナゲは比較的性質が強く、交配親に用いられる。
  8. 「ミニシャクナゲ」と呼ばれる小型のシャクナゲは、屋久島に自生するヒメハイヒカゲを交配した品種群である。耐暑性の弱いものが多い。
  9. シャクナゲの仲間は、冬になると、葉が少し筒状に巻き込む。これは、葉肉内の水分が減っているためらしい。そうすることで細胞内の糖の濃度を高め、凍結を防いでいるという。厳しい冬を乗り切るための知恵らしい。

有鱗片シャクナゲについて

  1. 普通は「シャクナゲ」というと、西洋シャクナゲや日本シャクナゲのような「無鱗片シャクナゲ」のことを指す。無鱗片シャクナゲの仲間は葉が厚く、表面が革質なのが特徴で、品種によって、葉裏に毛を持つものと持たないものがある。
  2. しかし、シャクナゲの仲間には、葉に、ごく小さな鱗片(鱗状毛…茶色っぽい斑点のようなもの)を持つ、「有鱗片シャクナゲ」と呼ばれる系統も存在する。この系統は、無鱗片シャクナゲやツツジ類と違い、青紫や黄色の花を咲かせる品種が多い。また、姿が全体的にツツジに似ており、しばしば、「○○ツツジ」という和名が付けられている。
  3. 有鱗片シャクナゲの原種には、外国産ではアウグスティニー、クリソドロン、スピヌリフェルム、ファスティギアツム、ラセモスム、日本産ではエゾムラサキツツジ、カラムラサキツツジ、ゲンカイツツジ、サカイツツジ、サクラゲンカイツツジ、シロバナゲンカイツツジ、タンナゲンカイツツジ、ナカハラツツジ、ヒカゲツツジ、ヤクシマハイヒカゲツツジなどがある。これらは名前に「ツツジ」と付くが、ツツジとは区別される。(ツツジ類は、葉が薄く、葉裏にたくさん毛が生えているのが特徴。)
  4. 有鱗片シャクナゲのうち、ゲンカイツツジは落葉性で、比較的育てやすく、交配種が作られている。
  5. 有鱗片シャクナゲの園芸品種には、青紫花を咲かせる「クレーターレイク」「黒潮」「さざなみ」「紫水晶」や、黄花種の「サフロンクイーン」「西山ヒカゲ」「レン」、桃花種の「ときめき」「吉野」などがある。
  6. 有鱗片シャクナゲの育て方は、基本的に西洋シャクナゲに準じる。耐寒性は-20℃限界。ただし、寒さに弱い種類も混じる。
  7. 最近見かけるビイレア(マレーシアシャクナゲ)も、有鱗片シャクナゲの一種である。主に東南アジアの高地に自生し、四季咲き性。南国の花らしく花色が派手で、芳香を持つものもある。暑さ寒さの両方に弱く、夏は遮光して涼しく過ごさせ、冬は最低0℃を保つ。

注意点・病害虫

  1. この仲間は、その年に開花した枝から伸びた新梢には花芽が付かない性質がある。そのため、自然に任せていると、隔年開花の傾向が強く現れる。
  2. 市販の鉢植えは、矮化剤処理されており、小さな木でもたくさん花芽が付いている。これを全部咲かせると、翌年は一輪も咲かないことがある。
  3. ツツジ科植物なので、水はけ・水持ちのよい酸性土でよく育つ。細い根が浅く張り、適度な通気性も好むため、鹿沼土とピートモスを主体とし、赤玉土や桐生砂を等量加えるとよい。(四種類の土を等量混合。)なお、連作を嫌い、ツツジ科植物の跡地に植えるのは禁止。
  4. 気温が上がってくると、根や葉に病気が出やすい。定期的に殺菌剤を散布したほうが安全。根の病気予防には、殺菌剤の土壌灌注が有効。
  5. ハダニやツツジグンバイが付くことがある。
  6. この仲間は全て有毒植物である。決して口にしてはならない。花の蜜を吸うのも禁止。

余談

  1. 晩春に、小さな壷型の花を下向きにたくさん咲かせるヒメシャクナゲは、本州中部以北の湿地帯に自生する小低木である。同じツツジ科だが、シャクナゲとは別属(アンドロメダ属)に属する。やや寒地性のうえ、水切れに弱いので、暖地では夏越しに注意が必要。花後すぐに刈り込んでおく。施肥は花後と秋の二回。

各種の和名・異名

  1. キバナシャクナゲ/黄花石楠花(アウレウム)
  2. ビイレア/ビレア/マレーシアシャクナゲ(いずれもクラッシフォリウム)
  3. ハイヒカゲツツジ/這日陰躑躅(ケイスケイ変種オザワエ)
  4. ヒカゲツツジ/日陰躑躅/サワテラシ/沢照らし/ウラジロ/裏白(いずれもケイスケイ変種ケイスケイ)
  5. ヤクシマヒカゲツツジ/屋久島日陰躑躅(ケイスケイ変種コルディフォリア)
  6. ウラジロヒカゲツツジ/裏白日陰躑躅(ケイスケイ変種ハイポグラウクム)
  7. オキシャクナゲ/隠岐石楠花(ジャポノヘプタメルム変種オキエンセ)
  8. メッテルニヒー変種キョマルエンセ(異名)/キョウマルシャクナゲ/京丸石楠花/アマギシャクナゲ/天城石楠花(いずれもジャポノヘプタメルム変種キョマルエンセ)
  9. メッテルニヒー(異名)/ツクシシャクナゲ/筑紫石楠花(いずれもジャポノヘプタメルム変種ジャポノヘプタメルム)
  10. メッテルニヒー変種ホンドエンセ(異名)/シャクナゲ/石楠花/ホンシャクナゲ/本石楠花(いずれもジャポノヘプタメルム変種ホンドエンセ)
  11. エゾムラサキツツジ/蝦夷紫躑躅/トキワゲンカイ/常磐玄海(いずれもダウリクム)
  12. アマギシャクナゲ/天城石楠花(デグロニアヌム変種アマギアヌム)
  13. メッテルニヒー変種ペンタメルム(異名)/アズマシャクナゲ/東石楠花(いずれもデグロニアヌム変種デグロニアヌム)
  14. ヒメイソツツジ/姫磯躑躅(トメントスム変種スバルクティクム)
  15. アカボシシャクナゲ/赤星石楠花(ヒペリトルム)
  16. イソツツジ/磯躑躅(ヒポレウクム)
  17. カラフトイソツツジ/樺太磯躑躅(ヒポレウクム変種ディバーシピロスム)
  18. ハクサンシャクナゲ/白山石楠花/シロシャクナゲ/白石楠花/シロバナシャクナゲ/白花石楠花/エゾシャクナゲ/蝦夷石楠花(いずれもブラキカルプム)
  19. ネモトシャクナゲ/根本石楠花(ブラキカルプム品種ネモトアヌム)
  20. ヤクシマヌム亜種マキノイ(異名)/ホソバシャクナゲ/細葉石楠花/エンシュウシャクナゲ/遠州石楠花(いずれもマキノイ)
  21. ゲンカイツツジ/玄海躑躅(ムクロヌラツム変種シリアツム)
  22. カラムラサキツツジ/唐紫躑躅(ムクロヌラツム変種ムクロヌラツム)
  23. メッテルニヒー変種ヤクシマヌム/デグロニアヌム変種ヤクシマヌム(いずれも異名)/ヤクシマシャクナゲ/屋久島石楠花(いずれもヤクシマヌム)
  24. オオヤクシマシャクナゲ/大屋久島石楠花(ヤクシマヌム変種インターメディウム)
  25. パルビフォリウム(異名)/サカイツツジ/境躑躅(いずれもラッポニクム亜種パルビフォリウム)
  26. シロバナサカイツツジ/白花境躑躅(ラッポニクム亜種パルビフォリウム品種アルビフロルム)
学名不詳。
  1. 秀峰(「サッフォー」)

(※データ:大阪市基準)