サクラ
イメージ
原産地
東アジア・樺太
科
バラ科
高さ
2~25m(種類による)
花期
3~5月(種類による)
【結実】5~6月
【紅葉】9~11月
形態
落葉低木~高木
別名等
セラスス(属名)/プルヌス(旧属名)/桜
ヤエザクラ/八重桜/ボタンザクラ/牡丹桜(八重咲き品種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。
水やり
土の表面が乾けば与える。
【補足】病気のもとなので、花や葉に水をかけない。
肥料
2月、花後すぐ、9月に、固形肥料の置き肥。
植え替え
11月中旬~3月中旬(厳寒期と開花中は避けたほうがよい)。
【補足】2~3年に一度行う。根の再生力がやや弱く、地植えの移植は、やや難しい。
整姿
【剪定】剪定の際は、残す芽の7~8mm上で切る。剪定に弱く、切り口に必ず癒合剤を塗る。
冬剪定…植え替えと同時期。
深切りすると花芽がなくなるため、不要な枝を間引く程度。枝の途中で切り残しても芽吹かないので、不要枝は付け根から切る。
夏剪定…5月下旬~7月上旬。
徒長枝の先端を、6~7月頃に切り縮める(あまり必要ない)。
繁殖
【挿し木】2月中旬~3月中旬か、6月上旬~8月上旬(発根しにくいが、鉢植え向きの小型種なら成功率が高いようである)。
【接ぎ木】2月上旬~3月中旬か、8月上旬~9月上旬(普通は早春に行う)。
【取り木】2~4月。
【タネまき】採ってすぐにまくか、乾かないよう保存して2~3月にまく(湿らせたタネを冷蔵庫のチルドに入れ、2ヵ月ほど冷やしてからまく)。
耐暑性
強い。
耐寒性
とても強い(-20~-30℃)。
【カンヒザクラ】最低0℃を保つとよい。
解説
- 今さら説明の必要もない、日本を代表する花木である。品種が大変多く、性質も微妙に異なるが、ここでは基本的な事柄をまとめてみた。
- 春の花として知られるが、中には、「四季桜」「十月桜」(いずれもマメザクラとエドヒガンの血を引く交雑種)、「冬桜」(マメザクラとオオシマザクラの血を引く交雑種)のように、春と秋の二回開花する種類もある。
- 有名なソメイヨシノ(オオシマザクラとエドヒガンの交雑種)や、エドヒガン、ヤマザクラなど、花見でおなじみの種類は、いずれも大木に育つ。もともと強い剪定を嫌う木なので、よほど広い庭でない限り地植えしないほうがよい。これらの類種は鉢植えにも向かない。
- 小さな庭に植えるなら、カンヒザクラ、マメザクラ系の品種、サトザクラ(オオシマザクラやヤマザクラの血を引く園芸品種群の総称)、カワヅザクラ(オオシマザクラやカンヒザクラの血を引く交雑種)、カンザクラ(カンヒザクラとヤマザクラの交雑種)、クマノザクラ、チョウジザクラ、「十月桜」「陽光」「みやび」などが適する。
- カンヒザクラは、中国南部~台湾・東南アジア原産。最も開花が早いことで知られ、沖縄では年明けから咲き始める。濃紅色の花が下向きに咲く。やや寒さに弱く暖地向き。
- マメザクラ系の品種には、コヒガン(マメザクラとエドヒガンの血を引く交雑種)、トウカイザクラ(コヒガンやカンヒザクラ、暖地桜桃の血を引く交雑種)、「オカメ」(カンヒザクラとマメザクラの交配種)、「鴛鴦桜(おしどりざくら)」「緑萼桜(りょくがくざくら)」「御殿場桜」などがある。
- サトザクラ系品種には、「旭山(あさひやま)」「天の川」「欝金(うこん)」「関山(かんざん)」「御衣黄(ぎょいこう)」「兼六園菊桜」「松月(しょうげつ)」「白妙」「泰山府君(たいざんふくん)」「普賢象(ふげんぞう)」などがある。なお、サトザクラ系品種の多くは八重咲き。
- 枝が枝垂れるシダレザクラは、エドヒガンの変種である。花色によって、ベニシダレ~ウスベニシダレ~ハクシダレまである。
- 近くに別品種のサクラがあると、花後に、サクランボのような実が付くことがある。そもそも食用の果樹ではないため、食べてもおいしくないらしい。
注意点・病害虫
- 鉢植えにするなら、最低でも7~8号鉢に植えたい。ただし例外的に、「旭山(別名「一歳桜」)」は、5号鉢でも開花する。その他、鉢植えに向く品種には、マメザクラ系の品種や、「十月桜」「高砂(別名「早生都」)」「冬桜」などがある。
- 剪定の際は、腐朽菌の侵入を防ぐために、できるだけ傷口が小さく、きれいになるように切る。それでも癒合剤は必要。
- それほど土質にうるさくないが、腐植質の肥沃な土を好む。酸性の土は嫌う。
- 天ぐ巣病にかかった枝があれば、冬の剪定時に基部から切り落としておく。ウイルス病にもかかる。
- 新梢や幼果に黒褐色の病斑ができ、急激に腐ることがあれば、幼果菌核病である。枯れた枝葉や果実を全て取り除かないと毎年発生する。薬剤は、トップジンMやベンレート、ロブラールなどを散布する。
- 放任すると、猛烈に虫害にあう。特に、春~初夏にかけて樹皮の下に入り込むオビカレハと、初夏~初秋に大発生するアメリカシロヒトリ、秋に発生するモンクロシャチホコが大敵。発生初期なら、幼虫が集団生活しているので、被害枝ごと切り取って駆除する。殺虫剤を使ってもよいが、新梢の時期は薬害が出やすいので、試しがけをしたほうがよい。
余談
- 桜餅を包むのは、オオシマザクラの葉である。名前の通り、伊豆諸島近辺に自生する。
各種の和名・異名
- アペタラ変種アペタラ(異名)/チョウジザクラ/丁字桜/メジロザクラ(いずれもアペタラ変種テツヤエ)
- オクチョウジザクラ/奥丁字桜(アペタラ変種ピロサ)
- ヒナギクザクラ/雛菊桜/キクザキオクチョウジ/菊咲奥丁字(いずれもアペタラ変種ピロサ「ムルチペタラ」)
- マメザクラ/豆桜/フジザクラ/富士桜/フジチェリー/ハコネザクラ/箱根桜(いずれもインシサ変種インシサ)
- キンキマメザクラ/近畿豆桜(インシサ変種キンキエンシス)
- ヤブザクラ/藪桜(インシサ変種トメントサ)
- フタエマメザクラ/二重豆桜(インシサ品種プレナ)
- リョクガクザクラ/緑萼桜/ミドリザクラ/緑桜(いずれもインシサ品種ヤマデイ)
- オシドリザクラ/鴛鴦桜(インシサ「オシドリ」)
- ツバキカンザクラ/椿寒桜(イントロルサ)
- ヨシノザクラ/吉野桜(エドエンシス)
- ソメイヨシノ/染井吉野(エドエンシス「ソメイ-ヨシノ」)
- カンザクラ/寒桜(カンザクラ)(※学名と和名が同一)
- カンヒザクラ/寒緋桜/ヒカンザクラ/緋寒桜/ベルフラワードチェリー/タイワンチェリー(いずれもカンパヌラタ)
- クマノザクラ/熊野桜(クマノエンシス)
- ニワザクラ/庭桜(グランデュロサ)
- パドゥス・グレイアナ(異名)/ウワミズザクラ/上溝桜/ハハカ(いずれもグレイアナ)
- コシノヒガン/越彼岸(コシエンシス)
- オオヤマザクラ/大山桜/エゾヤマザクラ/蝦夷山桜/ベニヤマザクラ/紅山桜(いずれもサーゲンティー)
- タカサゴ/高砂(シーボルディー「カエスピトサ」)
- ペンデュラ変種アッセンデンス/ペンデュラ品種アッセンデンス(いずれも異名)/エドヒガン/江戸彼岸/ウバヒガン/姥彼岸/アズマヒガン/東彼岸/ヒガシザクラ/東桜(いずれもスパチアナ品種アッセンデンス)
- ペンデュラ品種プレナ-ロセア/セラスス・スパチアナ変種スパチアナ品種スパチアナ「プレナ-ロセア(いずれも異名)/ヤエベニシダレ/八重紅枝垂/エンドウザクラ(いずれもスパチアナ品種プレナ-ロセア)
- ペンデュラ品種ペンデュラ/セラスス・スパチアナ品種スパチアナ(いずれも異名)/シダレザクラ/枝垂桜/ヒガンシダレ/彼岸枝垂/シダレヒガン/枝垂彼岸/イトザクラ/糸桜(いずれもスパチアナ品種ペンデュラ)
- ペンデュラ品種ペンデュラ-ロセア/セラスス・スパチアナ品種スパチアナ「ペンデュラ-ロセア」(いずれも異名)/ベニシダレ/紅枝垂/ヤエベニシダレ/八重紅枝垂(スパチアナ品種ペンデュラ-ロセア)
- コヒガン/小彼岸/コヒガンザクラ/小彼岸桜/ヒガンザクラ/彼岸桜/チモトヒガン/ヒガンチェリー(いずれもスブヒルテラ)
- ジュウガツザクラ/十月桜(スブヒルテラ「オータムナリス」)
- シキザクラ/四季桜(スブヒルテラ「センペルフローレンス」)
- ランネシアナ変種スペシオサ(異名)/オオシマザクラ/大島桜/タキギザクラ/薪桜/モチザクラ/餅桜(いずれもスペシオサ)
- アサヒヤマ/旭山/朝日山/イッサイザクラ/一才桜/一歳桜(いずれもセルラタ「アサヒヤマ」)
- アマノガワ/天の川(セルラタ「エレクタ」)
- ウコン/鬱金(セルラタ「グランディフロラ」)
- ミネザクラ/峰桜/タカネザクラ/高嶺桜(いずれもニッポニカ)
- クモイザクラ/雲居桜(ニッポニカ品種アルピナ)
- チシマザクラ/千島桜(ニッポニカ変種クリレンシス)
- ビロードチシマザクラ(ニッポニカ品種ハヤシイ)
- エゾウワミズザクラ(パドゥス)
- フユザクラ/コバザクラ(いずれもパルビフロラ)
- カスミザクラ(ベレクンダ)
- ミヤマザクラ/深山桜(マキシモウィッツィー)
- タイブンフクン/泰山府君(ミヨシイ「アンビグア」)
- セルラタ変種スポンタネア(異名)/ヤマザクラ/山桜(いずれもヤマサクラ)(※学名と和名が同一)
- イチハラトラノオ/市原虎の尾(ヤマサクラ「イチハラ」)
- キクシダレ/菊枝垂(ヤマサクラ「プレナ-ペンデュラ」)
- カスミザクラ/霞桜/ケヤマザクラ/毛山桜(いずれもレベイレアナ)
- ナラヤエザクラ/奈良八重桜(レベイレアナ「アンティクア」)
- ウスズミ/薄墨(レベイレアナ「ニグレッセンス」)
- ショウゲツ/松月(ランネシアナ「スペルバ」)
(※データ:大阪市基準)