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素人園芸解説 -私はこう育てる-

サルスベリ

イメージ

原産地

日本(屋久島以南)~台湾・中国南部~中部

ミソハギ科

高さ

0.3~9m(種類による)

花期

6~10月(種類による)

【紅葉・結実】10~11月

形態

落葉小低木~小高木

別名等

ラゲルストロエミア・インディカ(学名)/ヒャクジツコウ/百日紅/紫薇/サルナメリ/サスリノキ/クスグリノキ/クレープマートル


百日白(白花品種の総称)
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

水やり

土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。

肥料

2~3月、5~6月、8~9月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

3月上旬~4月中旬か、9月下旬~11月下旬。

【補足】なるべく毎年行う。移植を好まないので、なるべく根を切らない。

整姿

【剪定】いずれの剪定も、節のすぐ上で切る。同じ場所を何度も剪定すると、切り口がコブ状に盛り上がる。直径1cm以上の大きな傷口が出来たら、癒合剤を塗って保護しておく。
新枝の先端によく開花する性質があるため、なるべく伸びるに任せる。

冬剪定…12月上旬~3月上旬(厳寒期は避ける)。
太めの枝を切っても芽吹くので、好みの場所で剪定する。(とはいえ、あまり強く切り下げると、春以降、徒長枝ばかり発生し、その年の花が咲きにくくなる。)
コブが見苦しければ、コブのすぐ下で切り戻す。(コブの切除は数年に一度とし、毎年行ってはいけない。)

夏剪定…5月下旬~7月中旬。
特に行わなくても支障はない。新梢が伸びすぎて樹形を乱していれば、基部1~2節を残して切り戻す。(ただし、太い枝を切るのは危険。)

繁殖

【タネまき】採ってすぐにまくか、保存して4~5月にまく。

【挿し木】2月上旬~4月上旬か、5~9月。(開花期間中は発根率が落ちる。発根まで約2ヵ月かかるため、鉢上げは翌年に行う。)

【接ぎ木】3月下旬~4月上旬か、7月中旬~9月中旬。

【取り木】4~8月。

【根伏せ・根挿し】3~4月か、5~6月。

【株分け】3月上旬~4月中旬か、6~7月(株立ち樹形の場合のみ可能)。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

わりと強い(-5~-15℃)が、寒地では室内が安全。

解説

  1. 夏花木の定番のひとつ。樹皮がはげやすく、幹がツルツルしているため、この名がある。
  2. 暑さに強く、長期間、白~桃・紅色などをした小さな花を多数咲かせる。一日花だが、次々に開花する。「ペパーミントレース(別名「夏祭り」)」のように、紅色の花に白覆輪が入る、美しい品種もある。
  3. サルスベリの仲間には、シマサルスベリ、ヤクシマサルスベリ、ムラサキサルスベリがある。シマサルスベリは南西諸島~台湾に自生し、サルスベリより小さな、白い花を咲かせる。葉柄があり、うどんこ病にかかりにくいのが特徴。ヤクシマサルスベリは、シマサルスベリの変種で、屋久島~奄美大島に自生する。ムラサキサルスベリは、サルスベリとシマサルスベリの交雑種とされる。
  4. 多くの園芸品種があり、開花期によって、6~9月に咲く早生種、7~10月に咲く中生種、8~10月に咲く晩生種の三つに分かれる。また、樹高の低い矮性種と、大きく育つ中木性種~高性種がある。
  5. 矮性種の「一歳サルスベリ」は、春にタネをまけば、その年の夏から開花するほど生長が早い。夏に小さな鉢植えで出回るのは、この系統である。主な品種に、「サマー」シリーズや「ペティーテ(プティート)」シリーズ、「あすか」「白雪」「東京紅」「トント」「パープルクイーン」などがある。
  6. 「チカソウ」は、最も矮性の品種で、高さ50cm以下。その近縁にあたる「チカピンク」「チカレッド」も同様で、大きく育ったところで1~1.5mにしかならない。その他、サルスベリとヤクシマサルスベリの交配種である「ポコモーク(ポコモック、ポコモコとも)」も、同様に矮性である。
  7. 矮性種を地植えしても大きくならないので、庭木にする場合は、中木~高木になる品種を選ぶ。中木性の品種には、「ディア」シリーズの他、「ペパーミントレース(「夏祭り」)」がある。
  8. 高性種には、「ハーディー」シリーズや、「カントリーレッド」「タスカローラ」「ナチェス(ナチェズ)」「マスコギー」などがある。こちらは10m近くに育つので、広い庭向き。(※ここに挙げた四品種のうち、後ろの三品種はヤクシマサルスベリの血が入っており、やや低木性である。)

注意点・病害虫

  1. 耐寒性はそこそこあるが、-5℃より下がると傷む。品種によって耐寒性に大きな差があり、「タスカローラ」「チカソウ」「ペパーミントレース」のように、弱めの品種も存在する。寒冷地では鉢植えにし、室内で越冬させたほうが安全。
  2. 水切れを防ぐため、やや大きめの鉢に植えるとよい。
  3. やや砂質の土を好む。粘土質の土は避ける。
  4. うどんこ病に非常に弱いのが欠点。ジマンダイセンやトップジンM、ベンレートなどを散布し、予防する。ただし、うどんこ病耐性品種も作られており、「ディア」シリーズや「ペティッド」シリーズ、「タスカローラ」「チカソウ」「トント」「ナチェ」「ペパーミントレース」「ポコモーク」「マスコギー」などが該当する。
  5. 幹にテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)が入りやすいので注意。駆除が遅れると、木が枯れる。

余談

  1. 滑らかな幹や枝は、床柱として好まれる。

各種の和名・異名

  1. ムラサキサルスベリ/コサルスベリ(いずれもアマビリス)
  2. シマサルスベリ/島百日紅(スブコスタタ)
  3. フォーリエイ(異名)/ヤクシマサルスベリ/屋久島百日紅(いずれもスブコスタタ変種フォーリエイ)
  4. オオバナサルスベリ/大花百日紅/プライドオブインディア/クイーンフラワー/クイーンズクレープマートル(いずれもスペシオサ)

(※データ:大阪市基準)