ラミウム

解説

1. 「ラミウム」という名は、日本各地(沖縄除く)に自生する、オドリコソウの仲間の属名である。雑草のホトケノザも同属の一年草。
2. 園芸上、「ラミウム」と呼ばれるのは、ヨーロッパ原産のマクラツムである。葉の中央に銀白色の線状斑が入り、紅色の小花をたくさん咲かせる。黄金葉や銀葉を持つ品種もある。銀葉の品種は、花色が白。
3. マクラツムは茎がつる状になり、地面を這って1mほどにも伸びるので、ときどき刈り込み、形を整える。グラウンドカバーに向くが、やや暑さに弱く、株元が蒸れて枯れやすい。反面、耐寒性は非常に強い。凍っても平気。
4. 黄色い花を咲かせるガレオブドロンは、やや草丈が高い種類だが、やはり茎がつる状に伸びる。ラミウム属から分離し、ラミアストルム属に分類する向きもある。(その場合、一属一種となる。)マクラツムより耐暑性が強く、丈夫で育てやすい。
5. オドリコソウは、名前の通り、花の形が、笠をかぶった踊り子のように見える。こちらは、つる状にならないが、地下茎を伸ばして殖える。草丈はかなり高め。夏に、花の咲いた茎が枯れるが、秋になれば新芽が出る。
6. ヒメオドリコソウは、ヨーロッパ～小アジアからの帰化植物で、各地に雑草化している。オドリコソウに似るが、全体的に小さく、上の方の葉が赤みを帯びている。

余談

1. オドリコソウとヒメオドリコソウの若芽や花は、食用になる。
2. 春の七草の「ホトケノザ」は、正しくは「コオニタビラコ」という植物のことを指し、ラミウム属のホトケノザのことではない。なお、ラミウム属のホトケノザは家畜に有害らしい。

各種の和名・異名

1. オドリコソウ(アルブム変種バルバツム)
2. マネキグサ/ヤマキセワタ(いずれもアンビグーム)
3. ホトケノザ/サンガイグサ/三階草(いずれもアンプレクシカウレ)
4. ラミアストルム・ガレオブドロン(異名)/ガリオブドロン/コブラバイン/ツルオドリコソウ/キバナオドリコソウ/イエローアークエンジェル(いずれもガレオブドロン)
5. ガレオブドロン「バリエガツム」(ガレオブドロン亜種モンタヌム「フロレンティヌム」の異名)
6. モミジバヒメオドリコソウ/キレハヒメオドリコソウ(いずれもヒブリドゥム)
7. ヒメオドリコソウ(プルプレウム)
8. マクラタム/デッドネットル(いずれもマクラツム)
9. マクラツム「ゴールデンナゲッツ」/マクラツム「ゴールドリーフ」(いずれも異名)/ゴールデンナゲット(いずれもマクラツム「オーレウム」)