いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

オモダカ

イメージ

原産地

東アジア

オモダカ科

高さ

30~80cm(水上部分)

花期

7~10月

形態

春植え球根

別名等

サジッタリア・サジッティフォリア(学名)/サジッタリア・トリフォリア(異名)/面高/ヤジリ/矢尻/ハナグワイ/アローヘッド/コモンアローヘッド/オールドワールドアローヘッド


(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。

水やり

一年中、鉢を水に沈めておくか、水の漏れない容器に直接土を入れて植える(水深は、5~10cm程度)。

【補足】最初から水深が深いと生育が悪くなるので、まず3cm程度から始め、葉の生長とともに、徐々に深くする。

肥料

春の元肥の他、7~9月に、固形肥料の置き肥(土中に埋め込む)。

【補足】水中では肥料の分解が早いので、一度に施す量は少なめとし、回数を多くするのがコツ。有機質肥料は、施しすぎると腐敗し、根を傷めるので注意。施肥が過剰になると、アオミドロなどがはびこり、水が汚れる。

植え替え

3月上旬~4月中旬、4~5号鉢に一球。

【補足】深さ3~5cm。1~2年に一度行う。

整姿

枯れた下葉は、まめに取り除く。

繁殖

【分球】植え付け時。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

とても強い(-25℃)が、強く凍らせない。

解説

  1. 日本各地の水田に生える雑草だが、観賞用に栽培されることもあり、八重咲きの品種がある。なお、おせち料理でおなじみのクワイは、オモダカの変種である。オモダカの塊茎はえぐみが強く、食用にならない。
  2. 花序の上部に咲くのが雄花、下部に咲くのが雌花らしい。地植えの株は、非常に長い花茎を伸ばすが、鉢植えでは、ごく短いものとなる。
  3. 葉幅がとても狭いアギナシや、葉が線形で細長いウリカワも、同じ属(オモダカ属)の植物である。
  4. 食用種のクワイは、オモダカよりも立派な塊茎を持ち、おせち料理の定番になっている。塊茎の表面が青い「京クワイ(青クワイ)」、白っぽい「白クワイ」、小型種の「吹田クワイ(姫クワイ)」の三種類があり、主に埼玉県南東部で生産されている。育て方はオモダカに準じるが、タネ球の入手が難しいので、12月に出回る、おせち料理用の塊茎を植える。栽培する鉢は、10号程度の大型のものを用いる。見た目はよくないが、ポリバケツに直接土と水を入れ、一株だけ(小型種の吹田クワイなら三株)栽培するとよくできる。収穫までに独特な作業があるので、下にあげておくが、一般家庭で少量栽培する場合は、こだわる必要はないと思われる。なお、クワイは、寒さにやや弱いため、タネ球を保存する場合は、5℃程度を保てる場所に置く。連作はできないので注意。オモダカとは異なり、花は咲きにくい。
    • 植え付け…6月下旬~7月上旬頃、株間15~25cmほどで、芽を上にして植え付ける。大球を狙う場合は株間を広く取り、小球を狙う場合は密植する。
    • 芽かき…植え付け後に腋芽が出たら、全てかき取り、一本の芽だけを育てる。
    • 葉かき…葉数が増えてきたら、古い下葉から順次かき取り、常に葉数が6~8枚になるよう調整する。これにより、地下のほふく茎の発生が促される。
    • 根まわし(はしり切り)…9月上旬頃、株から30cmほど離れた場所にスコップを入れ、水田の畝に沿って、深さ15~20cmの溝を掘り、古いほふく茎を切る。これにより、塊茎の肥大が促される。容器栽培では、この作業は不要。
    • から刈り(渋抜き)…11月上~中旬頃、地上部を全て刈り取り、塊茎の渋を抜く。その後、水を張ったまま、1ヵ月ほど経てば収穫できる。11月下旬頃から収穫の最盛期となる。

注意点・病害虫

  1. 水生植物なので、鉢ごとバケツなどの容器に沈めて栽培するか、睡蓮鉢などに直接土を入れて植える。植える鉢の大きさは、4~5号鉢に一球が目安。
  2. よく分球するので、植えっ放しにすると、すぐに鉢の中が窮屈になってしまう。
  3. 茎葉が真上に伸び上がり、横に広がるようなことはないので、スイレンと違い、口の大きな容器を用いる必要はない。水深は、5cmもあれば育つ。
  4. 植える用土は、荒木田土が最適だが、水に浸けても浮かばない、粘土質の重い土なら何でもよい。赤玉土なども使える。(その場合、腐葉土を2割ほど混ぜて手でこね、土の粒をよく潰す。)
  5. 水が腐ったり、ボウフラが発生したりするので、夏は頻繁に水を入れ替える。また、アオミドロが発生したら、すぐに取り除く。
  6. 珪酸塩白土(商品名「ミリオン」)を網袋などに詰めて沈めておくと、水が腐りにくい。
  7. アブラムシが付きやすいが、なるべく薬剤は使わず、ホースの水圧で虫を吹き飛ばすようにする。特に、魚を一緒に飼っている場合は、絶対に薬剤を使ってはいけない。

余談

  1. 葉がサジ(匙)のような形をしたサジオモダカと、葉がヘラのような形のヘラオモダカは、同じオモダカ科でも、サジオモダカ属(アリスマ属)に属しており、別種である。

各種の和名・異名

  1. アギナシ(アギナシ)(※和名と学名が同一)
  2. トリフォリア変種エデュリス(異名)/クワイ/慈姑(いずれもサジッティフォリア変種エデュリス)
  3. ジャポニカ(サジッティフォリア「フロレ・プレノ」の異名)
  4. ウリカワ/瓜皮(ピグマエア)
  5. タイリンオモダカ/アメリカンアローヘッド/ダックポテト(いずれもラティフォリア)

(※データ:大阪市基準)