シャクヤク
イメージ
原産地
中国北部・朝鮮半島北部・モンゴル・シベリア南東部・ヨーロッパ南部~西部
科
ボタン科
高さ
50~100cm
花期
5~6月
形態
宿根草
別名等
パエオニア(属名)/芍薬/花相/エビスグサ/夷草/カオヨグサ
和シャク/日本シャクヤク(いずれも日本系品種の総称)
洋シャク/西洋シャクヤク(いずれも欧米系品種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
水やり
土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。
肥料
3月、花後すぐ、10月、12月に、固形肥料の置き肥。
植え替え
9月下旬~10月下旬(なるべく早く行う)。
【補足】鉢植えは2~4年、地植えは5~10年に一度行う。植え替えを好まないので、根を切らない。
整姿
花が重く、花茎が曲がることがあるので、開花期に支柱を立てる。花が終わったら、花がらだけを切る。生育中に株元が露出してきたら、土寄せしておく。
【摘蕾】つぼみが節ごとに出る品種のみ行う。先端の一番大きなつぼみだけを残し、他を切り取る。(咲かせて良いのは、一本の茎につき、つぼみ一個だけ。)
繁殖
【株分け】植え替えと同時期(3~5芽ずつとし、あまり細かく分けない)。
【タネまき】採ってすぐにまく(あまり一般的でない)。
耐暑性
わりと強い。
耐寒性
とても強い(-25~-30℃)が、芽を地表に露出させない。
【ヨーロッパ原産種】強い(-10℃)。
解説
- ボタンと同属の植物で、姿がよく似るが、こちらは宿根草で、冬に地上部が全部枯れる。(ボタンは落葉樹で、葉が落ちるだけ。)ボタンが「花王」と呼ばれるのに対し、シャクヤクは「花相」(花の宰相)である。
- 一般的なのは、アジアに分布する原種のラクティフローラから改良された園芸品種群(和シャク)である。開花期によって、4月中旬から開花する早生種、5月上旬から開花する中生種、5月下旬から開花する晩生種に分かれる。
- 花の形が多様で飽きない。花型は下記のように分類されている。
- 一重咲き(単弁咲き)…花弁が8~18枚。雄しべは花弁化していない。
- 金しべ咲き…一重咲きで、雄しべが太く、少し花弁化しており、黄金色になる。江戸時代に肥後地方で改良された「肥後シャクヤク」系品種は、ほとんどがこの花型である。
- 翁咲き…雄しべが細長く花弁化する。花弁と違う色になることが多く、美しい。
- 冠咲き…翁咲きより雄しべの花弁化が進み、丸く盛り上がっている。
- 手まり咲き…冠咲きよりさらに雄しべの花弁化が進み、本当の花弁との区別が付きにくい。完全な雄しべがない。
- 半バラ咲き…雄しべが花の中心部だけでなく、花の中段にも見られる。大きな花の中心に、もう一つ、小さな花が咲いているような形。
- バラ咲き(八重咲き)…半バラ咲きより雄しべの花弁化が進み、花全体がバラの花のようになったもの。完全な雄しべがない。
- 半八重咲き…一重咲きより花弁の数が多い。雄しべは花弁化していない。
- 従来は、白~桃~赤の花色しかなかったが、最近は品種が増え、黄色やオレンジピンクの花色まで登場した。また、ヨーロッパで改良された品種群(洋シャク)のほか、オランダシャクヤクやホソバシャクヤクなど、ヨーロッパ原産のシャクヤクも出回るようになった。
- ボタンとの交配種も作られている。黄色い花の「オリエンタル・ゴールド」が代表種。宿根草と落葉樹の交配種なので、冬、地上部が全部枯れたり、茎が一部残ったり、状況によって変化がある。
- 日本(北海道~九州)~朝鮮半島に自生するヤマシャクヤクも、同属の植物である。草丈は30~40cmと低く、花色は白で、一重咲き。見慣れた華美なシャクヤクとは違い、楚々とした花で、一日で散ってしまう。半日陰を好み、やや耐暑性・耐寒性が弱い。秋になると果実が割れ、中から濃紺のタネと、赤い「しいな」を出す。濃紺と赤のコントラストが美しいため、生け花などに用いる。タネを採ってすぐにまくと、容易に殖やせる。(赤い「しいな」には発芽能力がない。)
- ヤマシャクヤクによく似て花が紅色のベニバナヤマシャクヤクは、草丈60cm程度とやや大型で、ヤマシャクヤクよりは日光を欲しがる。
注意点・病害虫
- 苗の植え付け後、最初の年はつぼみを摘み取って、株に体力を付けさせ、二年目から咲かせる。ただ、根を切りつめられた苗の場合、株の体力が回復するまで数年を要することがある。
- ゴボウのような太い根が長く伸びるので、鉢植えは、最低でも7~10号鉢に植える。が、なるべく地植えとする。
- 高温多湿に弱く、冷涼な気候を好むため、寒地のほうが育てやすい。暖地では、うどんこ病や炭疽病などの病気にかかりやすい。
- シャクヤクの根は、よくボタンの台木に使われる。接ぎ木の適期は9月下旬頃で、接ぎ木法は「割り接ぎ」とする。
- 地際部分や根に、ややへこんだ黒褐色の病斑ができて亀裂を生じる「根黒斑病」は、ボタンとシャクヤクに特有の病害である。発病初期なら腐敗部分を削り取ればよいが、普通は抜き取り処分する。同じ土で連作すると再発する。
- まれにウイルス病にかかる。ウイルスは、土中のセンチュウによって媒介されるらしい。
- ネコブセンチュウの被害によくあうので、清潔な土を用い、鉢植えは地面に直接置かないようにする。草丈の低いマリーゴールドを根元に混植するのもよい方法である。
余談
- 切り花でもよく見かけるが、水あげが悪く、固いつぼみは開きにくい。また、鉄を嫌うので、鉄の花器や剣山は使わないほうがよい。
各種の和名・異名
- オランダシャクヤク(オフィシナリス)
- ベニバナヤマシャクヤク/紅花山芍薬(オボバタ)
- マジョルカンピオニー(カンベッセデシー)
- ヤマシャクヤク/山芍薬(ジャポニカ)
- ホソバシャクヤク/細葉芍薬/イトバシャクヤク/糸葉芍薬(いずれもテヌイフォリア)
- ロバタ(ペレグリナの異名)
- アリエティナ(マスクラ亜種アリエティナの異名)
- コラリナ(マスクラ亜種マスクラの異名)
- アルビフローラ/シネンシス(いずれも異名)/シャクヤク/芍薬/チャイニーズピオニー/コモンガーデンピオニー(いずれもラクティフローラ)
(※データ:大阪市基準)