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素人園芸解説 -私はこう育てる-

サルビア

イメージ

原産地

アジア~ヨーロッパ・南北アメリカ・シベリア

シソ科

高さ

20~200cm(種類による)

花期

4~12月(種類による)

形態

多年草または常緑半低木

別名等

サルビア・スプレンデンス(学名)/ヒゴロモソウ/緋衣草/スカーレットセージ


宿根サルビア(多年草種の総称)
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

3月下旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。

【補足】多少の日陰なら耐えるが、なるべく日光に当てる。パテンスや日本原産種は、7月上旬~9月上旬は50%遮光したほうがよい。日本原産種は耐陰性が強く、多少の日陰なら問題ない。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】ウリギノサは湿地性なので、水切れは厳禁。

肥料

【春咲き種】3月、5月、10月に、少量の固形肥料を置き肥。

【夏~秋咲き種】4~7月と、9~10月に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥(肥料が切れると開花も途切れる)。

【秋咲き種】4~7月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

3月上旬~5月下旬か、9月中旬~11月上旬(春のほうがよい)。

【補足】一年草扱いする苗の植え付けは、4月中旬~7月上旬に行う。

整姿

6~7月頃、摘芯と枝透かしをかねて、腋芽のすぐ上で切り戻す。秋咲き種は、7月下旬以降に切り戻すと開花しにくくなる。

繁殖

【挿し芽】5月上旬~7月中旬か、9月中旬~10月中旬(水挿しも可能)。

【株分け】植え替えと同時期(春のほうがよい)。

【タネまき】4月下旬~7月上旬か、9月上旬~11月上旬(春まきが一般的)。

耐暑性

わりと強いが、蒸れに注意。

【パテンス】やや弱い。

耐寒性

強い(-10~-25℃)が、必ず防寒する。

【一~二年草扱いの種類】最低0℃を保つ。

【秋咲き種の大半】やや弱い(-5~-7℃)。

解説

  1. ひと口に「サルビア」といっても、種類が大変多く、世界の広範囲に分布する。日本では、南北アメリカ原産の種類がよく栽培される。シソ科植物なので、茎葉に香りのある種類が多い。
  2. ハーブとして有名なオフィシナリス(コモンセージ)もサルビアの一種である。別ページで解説済み。
  3. サルビアの仲間は本来、全て多年草だが、スプレンデンスやコクシネア、ファリナセア、ホルミナム(ビリディス)のように、園芸上、一~二年草扱いする種類もある。(タネからの栽培が容易で、生長が早いため。)
  4. 一~二年草扱いする種類のうち、コクシネア、ファリナセア、ホルミナム(ビリディス)は比較的耐寒性が強く、暖地なら簡単な防寒で越冬する。スプレンデンスは室内で越冬させる。
  5. 単に「サルビア」というと、スプレンデンスを指すことが多い。ファリナセアと並んで、夏花壇の定番中の定番となっている。花が終わっても、美しい苞が長期間残り、長く観賞できる。
  6. 大きく分けて、4~6月に咲く春咲き、5~11月に咲く夏~秋咲き、8~12月に咲く秋咲きがある。
    • 春咲き … アルゲンテア、オフィシナリス、クレベランディー、ジュリシチー、スクラレア、スペルバ、トランシルバニカ、バーティシラタ、パテンス、フォルスカオリー、プラテンシス、ネモロサ、ミルティオリザ、メルヤミー、ラバンデュリフォリアなど。
    • 夏~秋咲き … ウリカ、ウリギノサ、カカリアエフォリア、カマエドリオイデス、グアラニティカ、グレッギー、コクシネア、シナロエンシス、シルベストリス、スプレンデンス、セミアトラタ、ファリナセア、ブキャナニー、ブレファロフィラ、ホルミナム(ビリディス)、ミクロフィラ、ミニアタ、ヤメンシス、「インディゴ・スパイアーズ」など。
    • 秋咲き … アズレア、インボルクラタ、エレガンス、グラブレッセンス、ゲスネリーフローラ、コヤマエ、ジャポニカ、チアペンシス、ディスコロール、ドリシアナ、ニッポニカ、マドレンシス、メキシカナ「ライムライト」、レウカンサ、レプタンス、「パープルマジェスティー」など。
  7. 春咲きの種類は、ヨーロッパ・地中海沿岸~西アジア原産が多い。高温多湿を嫌う反面、耐寒性が強い。やや短命なので、暖地では、ときどき、タネまきや挿し芽で株を更新する。花後に切り戻すと、秋に再度開花することがある。水・肥料は控えめに。
  8. 夏~秋咲きの種類は、メキシコ~中南米原産の種類が多い。どの種類も丈夫。越冬の際は、一部の種類を除き、半耐寒性として扱ったほうが無難。
  9. 秋咲きの種類は、アズレアやインボルクラタ、日本原産種を除き、耐寒性の無い種類が多い。短日植物なので、夜間に街灯が当たる場所で栽培しない。
  10. 日本の暖地に自生する、アキギリ、アキノタムラソウ、キバナアキギリ、ミツバコトジソウ、シナノアキギリなども、サルビアの仲間である。キバナアキギリとミツバコトジソウ、シナノアキギリは、黄色の花を咲かせる。これらは秋咲きで、やや草丈が高い。ただ、アキノタムラソウ、タジマタムラソウ、ハルノタムラソウ、ヒメタムラソウなどは矮性。
  11. 日本原産のサルビアは、山野草扱いされることが多いが、気難しさは無く、栽培は容易。他のサルビア類と違い、強い直射日光を嫌うので注意する。斑入り葉の品種もある。
  12. 最近は、原種だけでなく、交配種も増えている。交配種は、交配親が明らかでないことが多いが、とりあえず、シルベストリスはネモロサとプラテンシスの交雑種、スペルバはシルベストリスとビリカウリスの交雑種、「インディゴ・スパイアーズ」はファリナセアとロンギスピカタの交配種らしい。なお、あまりにも種類が多すぎて、原種なのか交配種なのか、今ひとつ明らかでない種類が未だにある模様。
  13. 外国産のサルビアは草丈の高い種類がほとんどで、最低でも50cm以上になり、多くは1m前後に達する。中には、イエローマジェスティー(マドレンシス)のように、2mにも育つ種類さえ存在する。初夏に一度刈り込んで分枝を促し、草丈を低く抑えておきたい。
  14. 多くの種類は、赤や紅色、桃、白、青紫などの、華やかな花色だが、ディスコロールは、濃黒紫色の花を下向きに咲かせ、しかも茎葉やガクが白い毛で覆われているため、かなり異彩を放っている。
  15. グアラニティカは、地中にイモを作って養分を貯めている。が、球根植物ではないので、イモだけを切り取って植え付けても枯れる。株分けの際は、必ず芽を付けて分ける。
  16. パテンスは、サルビアの中でもかなり暑さに弱い種類で、暖地では夏に枯れやすい。一方、寒さに弱い種類の筆頭はディスコロールである。暖地でも冬は室内へ。
  17. 耐寒性の強い種類は、インボルクラタ、ウリギノサ、グアラニティカ、グレッギー、クレベランディ、シルベストリス、スペルバ、トランシルバニカ、ネモロサ、バーティシラタ、プラテンシス、ブレヤナ、ベルトロニ、ミクロフィラ、ミルティオリザ、ヤメンシス、「インディゴ・スパイアーズ」などである。土をひどく凍らせたり、強い霜に当てたりしなければ、寒地でも戸外で越冬するらしい。
  18. 秋咲き種に、「チェリーセージ」というサルビアがある。が、単に「チェリーセージ」というと、グレッギー、ミクロフィラ、そして両種の交雑種であるヤメンシス、この三種類全てを指す。本来はミクロフィラだけの名前だったが、他の二種類も慣習上、この名で呼ばれる。
  19. 「メドーセージ」という名前も、正しくはプラテンシスの英名だが、一般的には、グアラニティカを指す。さらに、「ブルーセージ」とは、アズレアだけでなく、クレベランディのことも指す。このように、サルビア類の呼び名は、結構、混乱が見られる。

注意点・病害虫

  1. サルビアの仲間はタネの寿命が約一年と短いため、古いタネを買わない。
  2. 病気はあまりないが、ウイルス病にかかることがある。
  3. 害虫は、ハダニやコナジラミ、ホコリダニ、ヨトウムシの被害を受けるほか、バッタに葉をかじられる。

余談

  1. スクラレア(クラリーセージ)からは精油が採れる。マスカットワインの香り付けに使われるらしい。
  2. ラベンダーに似た紫色の小花を咲かせるロシアンセージ(サマーラベンダー)や、黄色の花を段状に咲かせるエルサレムセージ(キバナキセワタ)は、「セージ」と付いていも、サルビア属の植物ではない。花期は5~9月。育て方はサルビア類に準じるが、高温多湿を嫌う。また、エルサレムセージは半耐寒性。

各種の和名・異名

  1. アングスティフォリア(異名)/ブルーセージ(いずれもアズレア)
  2. シルバーセージ/ビロードアキギリ/天鵞絨秋桐/白くま君(いずれもアルゲンテア)
  3. シマジタムラソウ/島路田村草(イセンシス)
  4. ローズリーフセージ(インボルクラタ)
  5. ボッグセージ/ソライロサルビア(いずれもウリギノサ)
  6. パイナップルセージ(エレガンス)
  7. オフィキナリス/セージ/コモンセージ/ガーデンセージ/ヤクヨウサルビア(いずれもオフィシナリス)
  8. タジマタムラソウ/但馬田村草(オメロカリックス)
  9. カカリアエフォリア/カカリアセージ(いずれもカカリーフォリア)
  10. ジャーマンダーセージ(カマエドリオイデス)
  11. アフリカンブルーセージ(カメラエアグネア)
  12. コエルラー(異名)/ガラニチカ/ガラニティカ/グァラニチカ/メドーセージ/アニスセンテッドセージ(いずれもグアラニティカ)
  13. アキギリ/秋桐(グラブレッセンス)
  14. グレイギー/ネウレピア/オータムセージ/オータムンセージ/チェリーセージ/アキノベニバナサルビア(いずれもグレッギー)
  15. ブルーセージ/ジムセージ/ムスクセージ/クレベランドセージ/クリーブランドセージ(いずれもクレベランディー)
  16. コッキネア/ベニバナサルビア/テキサスセージ/トロピカルセージ/スカーレットセージ(いずれもコクシネア)
  17. シナノアキギリ/信濃秋桐/ジャパニーズイエローセージ(いずれもコヤマエ)
  18. コスミックブルー/ブルーファンタジー/シナロアセージ(いずれもシナロエンシス)
  19. アキノタムラソウ/秋田村草(ジャポニカ)
  20. オニサルビア/クラリー/クラリーセージ/マスカットセージ/マスカテーラセージ/オクルス・クリスティ(いずれもスクラレア)
  21. バチカンクラリー(スクラレア変種トゥルケスタニカ)
  22. ローズシャンデリア/チアパスセージ(いずれもチアペンシス)
  23. ディスカラーセージ(ディスコロール)
  24. フルーツセージ/フルーツセンテッドセージ/ピーチセージ(いずれもドリシアナ)
  25. キバナアキギリ/黄花秋桐/コトジソウ/琴柱草/ムコナカセ/ヨメナカセ/カンダイナ(いずれもニッポニカ)
  26. ミツバコトジソウ/三葉琴柱草/ミツデコトジソウ/三手琴柱草(いずれもニッポニカ変種トリセクタ)
  27. ビルガタ変種ネモロサ(ネモロサの異名)
  28. パープルレイン(バーティシラタ)
  29. ソライロサルビア/ゲンチアンセージ/ゲンチアナセージ(いずれもパテンス)
  30. ヒメタムラソウ/姫田村草(ピグマエ)
  31. ホルミナム(異名)/ペインテッドセージ/ムラサキサルビア/アンニュアルクラリー(いずれもビリディス)
  32. ファリナケア/ブルーサルビア/ケショウサルビア/ミーリーセージ/ブルーセージ(いずれもファリナセア)
  33. ブキャナンズセージ(ブキャナニー)
  34. メドーセージ/メドゥセージ/メドウクラリー(いずれもプラテンシス)
  35. メキシコサルビア/カージナルセージ/カーディナルセージ(いずれもフルゲンス)
  36. アイラッシュリーブドセージ(ブレファロフィラ)
  37. ミゾコウジュ(プレベイア)
  38. ペルーブルー(マクロフィラ)
  39. イエローマジェスティー/ファルシシアセージ(いずれもマドレンシス)
  40. グラハミー(異名)/チェリーセージ/マートルサルビア(いずれもミクロフィラ変種ミクロフィラ)
  41. レモニー(異名)/レモンセージ(いずれもミクロフィラ変種ウィスリゼニー)
  42. 丹参(ミルティオリザ)
  43. ロイヤルパープルセージ(ムエレリ)
  44. メキシカンセージ(メキシカナ)
  45. チェリーセージ/オータムセージ(いずれもヤメンシス)
  46. スパニッシュセージ(ラバンデュリフォリア)
  47. ハルノタムラソウ/春田村草(ランザニアナ)
  48. ラスティ―セージ(ランセオラタ)
  49. ナツノタムラソウ/夏田村草(ルテッセンス変種インターメディア)
  50. アメジストセージ/メキシカンセージ/メキシカンブッシュ/メキシカンブッシュセージ(いずれもレウカンサ)
  51. コバルトセージ(レプタンス)
  52. ラベンダーセージ(「インディゴ・スパイアーズ」)
サルビア属ではない種類。
  1. エルサレムセージ/キバナキセワタ(フロミス・フルティコサ)
  2. ロシアンセージ(ペロフスキア・アトリプリシフォリア)

(※データ:大阪市基準)