スイレン/ヒメスイレン(温帯性)
イメージ
原産地
世界の熱帯~温帯
科
スイレン科
高さ
5~30cm(水上部分)
花期
4~10月(真夏は開花が鈍る)
形態
宿根草または春植え球根
別名等
ニンファエア(属名)/睡蓮/ウォーターリリー
セイヨウスイレン/西洋睡蓮/ホワイトウォーターリリー/ヨーロピアンホワイトウォーターリリー(いずれもアルバ)
ピグマエア/テトラゴナ(いずれも異名)/ヒツジグサ/未草(いずれもテトラゴナ変種アングスタ)
エゾノヒツジグサ/蝦夷未草(テトラゴナ変種テトラゴナ)
日照
戸外の直射日光下(きわめて日光を好む)。
水やり
一年中、鉢を水に沈めておくか、水の漏れない容器に直接土を入れて植える。(水深は、スイレンで15~30cm、ヒメスイレンで5~10cm程度。)
【補足】いずれも、最初から水深が深いと生育が悪くなるので、まず3cm程度から始め、葉の生長とともに、徐々に深くする。真夏は水温が上がりやすいので、なるべく水深を深めに。
肥料
4~9月に、固形肥料の置き肥(緩効性肥料を用い、土中に埋め込む)。
【補足】窒素(N)は控えめに。水中では肥料の分解が早いので、一度に施す量を少なめとし、回数を多くする。
有機質肥料は、施しすぎると腐敗し、根を傷めるので注意。施肥が過剰になると、アオミドロなどがはびこり、水が汚れる。肥料が切れると、開花も途切れる。
ヒツジグサは、肥料を少なめにしないと危険。
植え替え
3月上旬~4月上旬。
【補足】1~3年に一度行う。深植えは禁物。
整姿
株の中心部に日光が当たらないと花が咲かず、生育も悪くなるので、葉が茂りすぎたら、適当に取り除く。(重なり合ってる葉は、古いものから順に取り除き、常に10枚程度は残しておく。)枯れた下葉は、まめに取る。
繁殖
【株分け】植え替えと同時期。(必ず芽を残しながら、地下茎を切り分ける。原種のヒツジグサは株分け不可。)
耐暑性
強いが、生育・開花は一時停止する。
耐寒性
強いが、根茎を強く凍らせない。
解説
- スイレンには、温帯性の種類と熱帯性の種類がある。ここで取り上げているのは、耐寒性のある温帯性のスイレンである。丈夫で育てやすい。熱帯スイレンについては下記で簡単に触れたが、別ページでも解説済み。
- スイレンはかなり大きくなるが、ヒツジグサの血を引くヒメスイレンの仲間は小さく、あまり場所をとらない。ただ、ヒメスイレンは、普通のスイレンに比べて花の咲き始めが遅い。
- ヒツジグサは、日本に自生する唯一の原種スイレンである。多くのスイレンは朝に開花し、午後に閉じ始めるが、この種類は、未(ひつじ)の刻(=午後二時前後)に開花するというので、この名がある。子株ができにくいためタネで増殖する。暑さに弱く、寒さに強い。
熱帯スイレンについて(簡易解説のみ)
- 温帯スイレンは、花が水面に浮かぶような形で開花するが、熱帯スイレンは、花茎が水面から伸び出し、やや高い位置で開花する。また、熱帯スイレンは、昼咲き種と夜咲き種がある。
- 熱帯スイレンは、温帯スイレンに比べ、花や葉が美しく豪華で、春~秋まで絶え間なく咲き続ける。温帯スイレンには存在しない、青系の花色が多いのも魅力。地下に球根を持つので、4~5号の深鉢に1株を植え、水に沈めて栽培する。
- 熱帯スイレンは、大きな鉢に植えるほど、花と葉も大きくなる傾向がある。立派な花が見たければ、最初から大きな鉢に植えればよいが、あまり大きくなりすぎると、越冬時に困る。春~秋までの管理は、温帯スイレンと同じ。種類によっては、葉の中心にムカゴができ、よく殖える。
- 熱帯スイレンの栽培で問題となるのは、冬越しである。本来、常緑性なので、できれば、真冬でも水温22℃は欲しい。温度さえ保てば周年生育し、開花する。従って、アクアリウム向きの植物といえる。しかし、一般家庭では、5~10℃を保てる室内(15℃以上にならない寒い部屋)に置き、休眠させたほうが楽である。水を張ったまま室内に置くのが最も安全だが、鉢だけをビニールで密閉して室内に置くこともできる。(ただし、水から引き上げて越冬させると、土中に雑菌が繁殖し、春までに球根が腐る危険がある。)休眠中の熱帯スイレンは、茎葉が枯れているので、日光に当てる必要は全くない。翌年の4~5月頃に植え替える。
注意点・病害虫
- 典型的な水生植物(沈水植物)なので、鉢ごとバケツなどの容器に沈めて栽培する。大型の睡蓮鉢に直接植える場合は、水を張った後の移動が大変なので、置き場所をよく考える。
- 鉢を沈める容器の大きさは、スイレンで直径40cm、ヒメスイレンでも直径25cm以上欲しい。適切な水深を確保できるよう、なるべく深い容器を用いる。容器に直接土を入れて植え込む場合も同様。
- 植える鉢の大きさは、スイレンで6~8号鉢、ヒメスイレンで4~5号鉢が目安。あまり根が深く張らないため、平鉢に植えてもよい。
- 最近は小さなポット苗が市販されており、入手しやすくなった。苗を入手したら、根鉢を崩さないよう注意しながら、大きめの鉢に定植する。
- 植える用土は、荒木田土が最適だが、水に浸けても浮かばない、粘土質の重い土なら何でもよい。赤玉土なども使える。(その場合、腐葉土を2割ほど混ぜて手でこね、土の粒をよく潰す。)
- 水が腐ったり、ボウフラが発生したりするので、夏は頻繁に水を入れ替える。また、アオミドロが発生したら、すぐに取り除く。珪酸塩白土(商品名「ミリオン」)を網袋などに詰めて沈めておくと、水が腐らないのでおすすめ。
- アブラムシが付きやすいが、なるべく薬剤は使わず、ホースの水圧で虫を吹き飛ばすようにする。特に、魚を一緒に飼っている場合は、絶対に薬剤を使ってはいけない。
- バッタがよく葉をかじり、ボロボロにするので注意。
(※データ:大阪市基準)