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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ベロニカ

イメージ

原産地

日本・中国・ヒマラヤ・シベリア・ヨーロッパ中部~トルコ・コーカサス

オオバコ科(またはゴマノハグサ科)

高さ

10~130cm(種類による)

花期

4~10月(種類による)

形態

多年草または一~二年草

別名等

トラノオ/虎の尾


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。

【補足】耐陰性があり、多少の日陰なら耐える。

水やり

土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。

【補足】乾燥を嫌うが、過湿にも弱い。

肥料

3~5月と、9~10月に、10~14日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

植え替え

3月上旬~4月上旬か、9月下旬~11月上旬。

【補足】鉢植えは毎年、地植えは2~3年に一度行う。

整姿

7月下旬頃、全体を軽く切り戻し、秋の開花に備える。(ただし、トウテイランは切り戻すと咲かなくなるため、伸びるに任せる。)花が終わった花穂は切り取る。

繁殖

【株分け】植え替えと同時期。

【挿し芽】5月上旬~6月下旬、9月のいずれか(初夏に行うとよい)。

【タネまき】4月上旬~5月下旬か、9月下旬~10月下旬。(春のほうがよい。採ってすぐにまいたほうがよい。)

耐暑性

わりと強いが、蒸れると簡単に枯れる。

耐寒性

とても強い(-25~-30℃)。

解説

  1. ベロニカ属は仲間が多く、北半球の温帯地域に広く分布する。大きく分けて、「太めの茎が立ち上がり、草丈が高くなる系統」と、「細い茎がほふくし、草丈が低い系統」の二つがある。
  2. 立性の系統は、やや小型のスピカタや、草丈が高めのバージニカ、ロンギフォリアなどの園芸品種が一般的。花色は青紫のほか、淡桃、紅、白などがある。概して、やや耐暑性が劣る傾向がある。暖地でも育てやすいのは、オーストリアカ亜種テウクリウム「ブルーフォンテン」など。
  3. 本州以北に自生するクワガタソウや、京都~鳥取・隠岐に自生し、茎葉が白い毛で覆われるトウテイランも、同じ仲間である。これらは山野草として扱われる。クワガタソウは暑さに弱いが、トウテイランは比較的育てやすい。なお、クワガタソウの名の由来は、タネの形が、農機具のクワ(の刃床部)に似るためらしい。
  4. ほふく性の系統には、ペダンクラリス「オックスフォードブルー(ジョージアブルー)」、黄金葉の「パーショアーズゴールド」などがある。花色は淡青紫~藤色、濃紫など。性質が強く育てやすい。冬は地上部が枯れ込む。
  5. その辺に生えている雑草のイヌノフグリや、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウも、ほふく性のベロニカの仲間である。
  6. ベロニカ属のうち、立性のスピカタやロンギフォリアのように、細長い花穂を伸ばす系統(「トラノオ」と総称される系統)は、プセウドリシマキオン属(ルリトラノオ属)に分離する向きがある。なお、イヌノフグリやクワガタソウなど、茎がほふくする種類は、ベロニカ属に残されている。

注意点・病害虫

  1. いずれの系統も、ランナー状の茎が横に這い、周囲に殖え広がる性質がある。グラウンドカバーに向く。
  2. 多年草だが、やや暑さに弱く、一年草扱いされることもある。ほふく性の系統は比較的耐暑性が強い。
  3. アブラムシ、オンシツコナジラミが付きやすい。うどんこ病にもかかる。

余談

  1. クガイソウは、節ごとに葉が輪生するため、この名がある。これも山野草として扱われる。現在はベロニカ属ではなく、ごく近縁のベロニカストルム属に分類されている。栽培は容易。

各種の和名・異名

  1. テウクリウム(アウストリアカ亜種テウクリウムの異名)
  2. タチイヌノフグリ/立犬陰嚢(アルベンシス)
  3. イトハクワガタ/糸葉鍬形(アルメナ)
  4. プセウドリシマキオン・オルナツム(異名)/トウテイラン/洞庭藍(いずれもオルナタ)
  5. ヤマルリトラノオ(キウシアナ変種ジャポニカ)
  6. シムシュクワガタ(グランディフロラ)
  7. ハマトラノオ/浜虎の尾(シーボルディアナ)
  8. キクバクワガタ/菊葉鍬形(シュミッチアナ亜種シュミッチアナ)
  9. シラゲキクバクワガタ/白毛菊葉鍬形(シュミッチアナ亜種シュミッチアナ品種カンディダ)
  10. ミヤマクワガタ/深山鍬形(シュミッチアナ亜種セナネンシス)
  11. ダイセンクワガタ/大山鍬形(シュミッチアナ亜種ダイセネンセ)
  12. アポイクワガタ(シュミッチアナ変種エゾアルピナ品種エクシグア)
  13. エゾヒメクワガタ/蝦夷姫鍬形(ステレリ変種ロンギスティラ)
  14. ヒメトラノオ/姫虎の尾/スピックスピードウェル(スピカタ)
  15. インカナ/プセウドリシマキオン・インカヌム(いずれもスピカタ亜種インカナの異名)
  16. ヒメルリトラノオ/姫瑠璃虎の尾(スピカタ「ナナ」)
  17. ルリトラノオ/瑠璃虎の尾(スブセッシリス)
  18. イヌノフグリ/犬陰嚢(ディディマ変種リラシナ)
  19. テングクワガタ(テネラ)
  20. ヒメクワガタ(ニッポニカ)
  21. ロックスピードウェル(フルティカンス)
  22. ルペストリス(プロストラタの異名)
  23. ハイクワガタ/這鍬形(プロストラタ「ナナ」)
  24. 「オックスフォードブルー」/ウンブロサ「ジョージアブルー」/ウンブロサ「オックスフォードブルー」(いずれもペダンクラリス「ジョージアブルー」)
  25. ツタバイヌノフグリ/蔦葉犬陰嚢/フラサバソウ(いずれもヘデラエフォリア)
  26. オオイヌフグリ/オオイヌノフグリ/大犬陰嚢(いずれもペルシカ)
  27. クワガタソウ/鍬形草(ミケリアナ)
  28. レプタンス(異名)/クリーピングスピードウェル(いずれもレペンス)
  29. ヤマトラノオ/山虎の尾(ロツンダ変種スブインテグラ)
  30. ヒメトラノオ(ロツンダ変種ペティオラタ)
  31. エクサルタタ(異名)/トラノオ/虎の尾/ヒメトラノオ/姫虎の尾/ルリトラノオ/瑠璃虎の尾(いずれもロンギフォリア)

近縁のベロニカストルム属(クガイソウ属)。

  1. クガイソウ/九蓋草/九階草(いずれもベロニカストルム・シベリクム変種ジャポニクム)
  2. ルリスズカケ(ベロニカストルム・ステノスタキウム)
  3. スズカケソウ(ベロニカストルム・ビロスルム)

(※データ:大阪市基準)