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素人園芸解説 -私はこう育てる-

オフタルモフィルム/コノフィツム

イメージ

原産地

南アフリカのケープ州・ナミビア

ハマミズナ科(またはツルナ科)

高さ

1~10cm

花期

9~11月

形態

多年草

生育型

冬型

別名等

(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

9月中旬~5月下旬の生育期は、西日を避けた戸外の直射日光下(越冬中は霜除けし、4~5月は、10~30%遮光)。
休眠期は、涼しい日陰(あまり暗い場所に置かない)。

【補足】生育開始期に日光不足になると、二重脱皮し、変な形になる。春に強い直射日光に当てると、早々と休眠に入る。
オフタルモフィルムは、コノフィツムより強めの日光を好む。

水やり

生育期は、土の表面が乾いて3~4日後に与える(多肉植物なので、乾き気味に管理)。12月以降は、水やりの間隔を広げていき、4~5月は、二週間に一度とする。休眠期は断水する。

【補足】葉や花に水をかけたり、雨に当てたりしない。水分が多いと、球体にヒビが入ることがある。休眠中は、月に二~四回、夜間に軽い霧吹きをし、過度の乾燥から守る。

肥料

10~11月と、3~4月に、二週間に一度の液肥(多肥は禁物)。

植え替え

9月中旬~12月上旬(なるべく早めに済ませる)。

【補足】植え替え後、数日経ってから水やりを再開する。

整姿

花が終わったら、花がらを取り除く。脱皮後、古い殻は、取り除ける範囲で取り除く。

繁殖

【挿し芽】9月下旬~11月上旬(挿し穂は、必ず茎の基部を付けて採取する)。

【株分け】植え替えと同時期。

【タネまき】9月下旬~11月上旬(乾燥が裂開する前に水を吸わせ、タネを採り出す)。

耐暑性

弱い。

【補足】枯れているように見えるが、生きているので捨てない。

耐寒性

最低3℃を保つとよい。

解説

  1. いずれも、石ころに似た「玉型メセン」の一種である。典型的な冬型種で、秋から冬にかけて生育し、気温が上がると葉を枯らして休眠する。
  2. オフタルモフィルムは、以前は独立した一つの属であったが、今はコノフィツム属に統合されているらしい。
  3. コノフィツム属は、メセン類としては最大級の属である。種類が多く、葉の形状によって、下記のように分類される。
    • タビ型…足袋の先端に似る。
      • さらに、「大型」「中型」「小型」「肉厚」の四系統に分かれる。
    • 丸型
      • さらに、「凹丸型」「平丸型」「長丸型」の三系統に分かれる。
    • くら型…馬の鞍に似る。
    • コマ型…丸型で上部が平ら。
    • 卵型
    • ハート型
  4. その他、葉の上部に透明な採光窓を持つコノフィツムもあり、「有窓系」などと称されることがある。
  5. コノフィツムの球体の色は千差万別で、全体が半透明のものや、独特な紋様が入るもの、うぶ毛に覆われるものなど、変化に富む。花色も豊富。
  6. コノフィツムの主な種類には、ウィッテベルゲンセ、ステファニー、ブルゲリ、ポリアンドルム、レウカンサム、レガレ、「雨月」「大型勲章玉」「巨将玉」「銀星殿」「勲章玉」「群碧玉」「黄金の波」「小菊の舞」「御所車」「桜貝」「静御前」「蛇の目」「秋紅」「秋彩」「朱螯玉」「式典」「祝典」「少将」「翆星」「大勲位」「稚児桜」「虹の花」「花園」「富士初雪」「寂光」「玉彦」「花笠美人」「舞鳩」などがある。
  7. このうちブルゲリは、半透明の球状葉が宝石のように美しく輝き、人気がある。生育期は鮮緑色だが、休眠期が近づくと赤くなる。ほとんど分頭しないため、実生で殖やす。大きく育つと溶けやすいため、常に予備を作って置いた方がよい。この仲間としては、かなりデリケートで育てにくい種類。
  8. また、「黄金の舞」「小菊の舞」「御所車」「花車」は、花弁が渦巻き状になる、華麗な園芸品種。
  9. オフタルモフィルムの仲間は、球体の上部に透明な窓を持ち、そこから日光を取り入れている。球体の色は緑系・赤系・紫系など。花色は白~桃色。
  10. オフタルモフィルムの主な種類には、「桃源玉」「秀麗玉」「白拍子」「聖麗玉」「風鈴玉」などがある。
  11. この仲間は、玉型メセンの仲間としては、比較的栽培容易。一部、ブルゲリのように気難しい種類もあるが、園芸店などで売られている種類は育てやすい。
  12. この仲間の多くは昼咲き種だが、夜咲き種もある。夜咲き種は、花に芳香を持つものが多い。コノフィツムではカルピアヌム、コンプトニー、ステファニー、ハンメリ、フォエニセウム、ロエスチアナム、「清姫」「蛍光玉」「小米雛」「千姫」「八重垣姫」など、オフタルモフィルムではシュルッティー、マウガニー、ルフェッセンスなどが該当する。
  13. 従来、ヘレアンサス属に分類されてきた、ヘレアンタス・メイエリ(和名「翼」)という植物も、現在はコノフィツム属に統合されているらしい。草姿は大型のタビ型コノフィツムといった風情があり、花色は白~桃色。これも栽培容易。

注意点・病害虫

  1. 冬型種のメセン類は、晩春~初夏になると、球状の葉を枯らして殻状にし、その中で休眠する。休眠中に湿気が多いと、あっけなく腐り、夏越しに失敗する。
  2. 晩夏~初秋頃、古葉の残骸を破って新しい葉を出す、「脱皮」と呼ばれる現象を起こす。この時期に日光不足になったり、水分が多かったりすると、新葉の中からさらに新葉が出てくる「二重脱皮」を起こしてしまう。

各種の和名・異名

  1. 蛍光玉(ウビフォルメ)
  2. 式典(エリシャエ)
  3. 紫式部(エルニアヌム)
  4. 翡翠玉(カルクルス)
  5. 千姫(クァエシツム)
  6. 清姫(スキツルム)
  7. 翆星(スブフェネストラツム)
  8. 雲映玉(セレシアヌム)
  9. 春侍玉(ツリゲルム)
  10. 紅翠玉(トルンカツム)
  11. 小米雛(ヒアンス)
  12. 明窓玉(ビオラシフロルム)
  13. 少将(ビロブム)
  14. 玉彦(フラブム)
  15. オフタルモフィルム・フリードリヒアエ(異名)/風鈴玉(いずれもフリードリヒアエ)
  16. 寂光(フルテッセンス)
  17. 黄花小槌(ペルクラッスム)
  18. オフタルモフィルム・マウガニー(異名)/麗山(いずれもマウガニー)
  19. 群碧玉(ミヌツム)
  20. ヘレアンサス・メイエリ(異名)/翼(いずれもメイエリ)
  21. オフタルモフィルム・ヤコブセニアヌム(異名)/聖麗玉(いずれもヤコブセニアヌム)
  22. シュレクテリ/ヘレイ/オフタルモフィルム・ロングム(いずれも異名)/秀鈴玉/青い鈴(いずれもロングム)

(※データ:大阪市基準)