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素人園芸解説 -私はこう育てる-

トウガラシ

イメージ

原産地

北アメリカ南部~南アメリカ北部の熱帯

ナス科

高さ

20~80cm(種類による)

花期

5~9月

形態

春まき一年草または多年草

収穫期

【果実】6~11月、【葉】6~9月

別名等

カプシクム・アンヌーム変種アンヌーム(学名)/唐辛子/鷹の爪/蕃椒/ペッパー/ナンバンコショウ/チリペッパー/レッドペッパー/カプシカムペッパー


イエローランタンチリ(シネンセ)
キダチトウガラシ/シマトウガラシ(いずれもフルテッセンス)
タバスコ(フルテッセンス変種タバスコ)
オーナメンタルペッパー(観賞用トウガラシの総称)

日照

4月下旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
越冬中は、室内の日当たり。

【補足】日光によく当てないと、果実の色が悪くなる。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える(根が浅いため、水切れは厳禁)。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】花に水をかけると、受粉の妨げになるので注意。

肥料

【食用種】春の元肥の他、一番果(一番最初の果実)収穫直後~10月上旬に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。

【観賞用種】5月上旬~9月下旬に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。


【補足】観賞用種は、施肥が多いと果実の着色が悪くなるので、様子を見ながら行う。

植え付け

5月上旬~6月上旬、株間40~50cm。

【補足】移植を嫌うので、根を傷めない。

整姿

【食用種】根が浅く、地表に露出しやすいので、ときどき株元に土寄せする。一番最初の果実(一番果)は、小さいうちに収穫し、株の負担を軽くする。
一番最初の花(一番花)が咲いた後、その下から側枝が数本伸びてくるが、生育のよい2本を左右に伸ばさせ、他の枝は全て切り、「三本仕立て」とする。「三本仕立て」ができあがったら、主枝と左右の側枝に支柱を立て、安定させる。

【観賞用種】特に整姿の必要はないが、伸びすぎれば、生育期に、適宜切り戻す。

繁殖

【タネまき】2月上旬~5月下旬(低温期は加温する)。

耐暑性

強い。

耐寒性

最低10℃を保つ。

解説

  1. トウガラシの仲間は、よく知られている「食用トウガラシ」と、美しい果実を観賞する「観賞用トウガラシ」に分かれる。いずれも人気があり、品種が多い。
  2. 食用トウガラシの仲間は、世界三大香辛料の一つである。(後の二つは胡椒と辛子。)大きく分けて、辛味種のトウガラシと、甘味種のシシトウ、ピーマンがある。シシトウやピーマン、パプリカは、れっきとしたトウガラシの一種である。別ページにて解説済み。なお、「伏見甘長トウガラシ」「万願寺トウガラシ」は、名前に「トウガラシ」と付くが、実際は甘味種なので、別ページの方にある。
  3. 食用トウガラシの代表種は、原種アンヌームから作出された品種群である。「トウガラシ」という呼び名は、狭義では、この品種群だけを指す。「鷹の爪」「八房」が特に有名。
  4. 最近は、外国の食用トウガラシも多く導入され、「タバスコ」「ハバネロ」「ハラペーニョ」「ブート・ジョロキア」など、いろいろ市販されている。辛みの特に強い「タバスコ」「ハバネロ」「ブート・ジョロキア」などは、アンヌームの血を引く品種ではなく、別の原種のシネンセや、フルテッセンスから作出された。
  5. 観賞用トウガラシは、食用トウガラシを改良したもので、初夏~晩秋の鉢物として出回る。果実の色が緑~黄緑~黄~橙~赤と変化する「五色トウガラシ」が特に有名。こちらも品種が多く、果実の色や形はさまざま。斑入り葉の品種や、葉が赤銅色をした品種もある。いちおう食用にもなる。(しょせん観賞用なので、味には期待しない。)
  6. トウガラシの果実の形状は、おなじみの細長いものだけでなく、卵形や丸形などもある。新潟の地方品種(食用種)「カグラナンバン」の果実は、丸形で縦方向に溝があり、どう見てもピーマンである。

注意点・病害虫

  1. この仲間は、本来は多年草で、暖かい室内なら容易に越冬できる。が、食用種の場合は、良い果実を収穫するために、毎年タネか苗から育て直したほうがよい。観賞用種なら、越冬させて大株に育てるのも一興。
  2. タネの寿命が比較的短いため、古いタネを買わないよう注意。
  3. タネから育てるのは少々難しいので、春に出回る苗を購入して植え付けると楽。よい苗は、節間が詰まり、双葉が落ちずに残っている。また、一番花はすでに咲き、二番花が咲きかけている苗が植え付け適期。
  4. 酸性土壌を嫌う。土に石灰を施してから植え付けるのを忘れない。
  5. 食用種は、鉢植えなら、最低でも8号鉢に一株、65cmプランターなら二株とする。観賞用種は、基本的に観賞専用なので、5号程度の小さな鉢でもよい。
  6. 連作したり、不潔な古土に植えたりすると、青枯病や疫病が出て、株が枯死する。うどんこ病にも注意。
  7. 害虫は、アブラムシやハダニ、タバコガ、チャノホコリダニ、ミナミキイロアザミウマなどが付く。
  8. 収穫後の果実を触った手で目をこすってはいけない。果実を刻んだりする際は、特に注意が必要。素手で汁液に触れるのは避けたほうがよい。

収穫・利用

  1. 食用トウガラシは、晩秋に株ごと引き抜いて収穫し、軒下などに逆さに吊り下げて乾燥させる。待ち切れなければ、赤く熟した果実を、その都度摘み取って乾かしてもよい。緑色の未熟な果実も利用できる。(辛味が強いので注意。)

(※データ:大阪市基準)