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素人園芸解説 -私はこう育てる-

イチゴ

イメージ

原産地

北アメリカ・チリ

バラ科

高さ

10~30cm

花期

【一季成り種】4~5月

【四季成り種】4~10月

形態

多年草

収穫期

【一季成り種】5~6月、【四季成り種】5~11月

別名等

フラガリア・アナナッサ(学名)/フラガリア・グランディフローラ/ポテンティラ・アナナッサ(いずれも異名)/苺/地楊梅/クサイチゴ/オランダイチゴ/ガーデンストロベリー

日照

戸外の直射日光下(酷暑期は西日を避ける)。

水やり

土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。

肥料

【一季成り種】秋の元肥の他、12月、2月中旬~3月中旬、5月に、固形肥料の置き肥(収穫期のみ、7~10日に一度の液肥を併用するとよい)。

【四季成り種】3月下旬~7月上旬と、9月上旬~11月中旬に、7~10日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

【補足】いずれも多肥を好むが、根が肥料負けしやすいので注意。肥料に敏感で、施肥量が生育状態に直結しやすい。

植え付け

【一季成り種】10月、株間30cm。

【四季成り種】3月下旬~5月上旬か、9月中旬~10月下旬、株間20~30cm。


【補足】葉柄の付け根の部分(クラウン)が隠れないよう、浅植えする。
子株を採取したら、8月下旬~9月上旬に一度、ポットなどに仮植えし、少し育苗してから定植する。市販の苗は、親株とつながっていたランナーが一部残っているので、この方向を揃えて植え付ければ、果実の付く方向も揃う。

整姿

越冬中は株元をマルチングし、寒さから守る。6月中旬までに伸びてきたランナーは、全て摘み取る。ランナーが枝分かれしたら、細く弱い方を摘み取り、太い方から子株をとる。

繁殖

【子株採取】6~10月。(ランナーに付く一番最初の子株は、老化しているので使わず、そこから伸びる二番目以降の子株を取る。)

【株分け】植え替えと同時期(あまり一般的でない)。

【タネまき】3月下旬~5月下旬か、9月中旬~10月下旬(土はかけない)。

耐暑性

わりと強い。

耐寒性

わりと強い(-5℃)が、寒地では防寒する。

【補足】高温にあわせない。

解説

  1. おなじみの果物だが、園芸・農業の上では野菜に分類される(スイカ、メロンも同様)。春~初夏に収穫する「一季成り種」と、春と秋に収穫する「四季成り種」がある。
  2. 一般に流通しているイチゴは一季成り種である。原種のチロエンシスとバージニアナの交配種から改良されたものとされ、果実が大きく、食味が良い。良質な果実をとるには、毎年ランナーから子株を取り、株を更新する必要がある。
  3. 四季成り種は、ハーブでおなじみのワイルドストロベリーを改良したもので、果実は小さい。古株のほうが良い果実ができるため、栽培期間も長くなる。とはいえ、3年をめどに更新したほうがよい。
  4. 一季成り種は、品種がとても多いが、代表的なのは、「章姫」「さちのか」「ダナー」「とよのか」「女峰」「宝交早生」など。「ダナー」「宝交早生」は特に栽培が容易。
  5. 最近は、「ピンクパンダ」「ベニバナイチゴ」のように、花の美しい観賞用のイチゴもある。果実は四季成りだが、近縁のポテンティラの属間交配種で、食味は少し落ちる。(ポテンティラはバラ科の観賞用植物で、花が美しい。)
  6. もっとも、イチゴは従来、フラガリア属に分類されてきたが、近年は、ポテンティラ属に統合されることが多い。

注意点・病害虫

  1. 鉢植えなら、6~7号鉢に一株とする。小さな草ながら、意外と根が張るので、あまり窮屈な鉢に植えない。65cmプランターなら3~5株が適当。
  2. 冬の寒さに当たらないと花芽ができないので、加温は不要。寒さにはかなり強い。加温すると、春以降も正常に育たない。
  3. とはいえ、土の中まで凍るような寒さが続くのはよくない。株元を専用ビニールやワラ、バークなどでマルチングするとよい。なお、株全体に被覆するタイプのマルチング材は、中の温度が必要以上に上がることがあるため、避けたほうが無難。
  4. 越冬中、葉が紅くなるのは、低温と乾燥によるストレスである。低温にあっただけでは、葉が紅くなることはない。耐寒性は強いので心配はないが、越冬中も、ある程度の水やりは必要である。
  5. イチゴの花はハチやアブに人気があり、人工授粉しなくても、よく結実する。虫の来訪が見込めない場所では、耳かきの梵天や筆などを使い、花の中をぐるりとなでて授粉してやる。
  6. イチゴの実が肥大とともに歪むことがあるが、これは受粉に失敗があった時に起こる。一部のタネが健全に生長していないと、その部分がひしゃげる。心配なら人工授粉を。
  7. 生育期間中、雨に当て放題にすると、泥がはねて葉や実が汚れ、病気が発生する。地植えなら、越冬が明ける2月頃にマルチングを行う。(冬季に防寒用マルチングを行っていた場合は、改めてマルチングする必要はない。)マルチングには、春以降に、地温を上昇させ、生長を促進したり、雑草を防止する効果もある。
  8. うどんこ病や灰色かび病にかかりやすい。白い花弁(特に裏側)が桃色を帯びるのは、うどんこ病の初期症状。その他、ウイルス病にもよくかかる。ウイルス病はどうしようもないので、葉や株全体が萎縮・変形したり、葉にモザイク状の模様が入るようになったら、全て処分し、新しい苗を購入したほうが賢明。(特に症状が無くても、何となく生育が悪い場合は、ウイルスの被害を受けている可能性がある。)
  9. 芽枯病は、一度発生すると土壌中に病原菌が残り、株の立ち枯れを招く。通風不良や過湿になると発生しやすいため、ハウスやトンネル栽培での被害が大きい。バリダシンやポリオキシンALなどで防除する。
  10. 葉やランナーに、褐色~赤褐色をした同心円状の病斑ができるのは、輪斑病である。株自体が枯れることはないが、トリアジン、バイコラールなどを散布して防除する。
  11. 肥料成分のカリが欠乏すると、葉脈とその周辺が赤黒くなったり、葉に点々と赤茶色の斑点が出たりする。また、マグネシウムが欠乏すると、葉脈の間に黒っぽい染み状の斑点が現れることがある。
  12. アブラムシはウイルスを媒介するので、早期に駆除する。他に、ハダニやアザミウマ、コガネムシが発生する。
  13. 果実がなり始めると、それを狙ってナメクジとアリが押し寄せる。大切な果実に穴をあけられる前に収穫するか、薬剤で防除する。鉢植えなら、なるべく地面から離して置くとよい。

余談

  1. イチゴの本当の果実は、表面にくっついている、たくさんの小さな粒々である。この中にタネが入っている。食用にする赤い部分は「果托」であり、本当の果実が乗っかるための台座に過ぎない。

(※データ:大阪市基準)