サラダ菜/レタス
イメージ
原産地
地中海沿岸~西アジア・アルジェリア・インド北部・シベリア
科
キク科
高さ
15~100cm
花期
5~6月
形態
一年草
収穫期
【玉以外のレタス・サラダ菜】5~6月・10~12月、【玉レタス】10~1月
別名等
ラクツカ・サティバ(学名)/チシャ/チサ/萵苣/萵菜/コモンレタス/ガーデンレタス/ガルデン
包菜/焼肉レタス(いずれもサンチュ)
茎チシャ/茎レタス/山クラゲ/セルタス/アスパラガスレタス(いずれもステムレタス)
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
8月下旬~6月下旬の生育期は、戸外の直射日光下。(酷暑期は西日を避ける。越冬中は霜除けする。)
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。
肥料
【玉以外のレタス・サラダ菜】生育期に、固形肥料の置き肥、または7~10日に一度の液肥。
【玉レタス】夏の元肥の他、結球し始めた頃に、固形肥料の置き肥。
【補足】いずれも、生育初期の肥料に重点を置く。
植え付け
【サラダ菜・リーフレタス】3月上旬~6月上旬か、9月下旬~10月下旬、株間15~25cm。
【コスレタス・ステムレタス・カキチシャ】3月上旬~4月中旬か、9月上旬~10月上旬、株間25~30cm。
【玉レタス】8月下旬~9月中旬、株間30~35cm。
整姿
葉が破れやすく、軟腐病を誘発しかねないので、あまりいじらない。
繁殖
【タネまき】いずれも好光性のため、覆土は薄く。
サラダ菜…3月上旬~6月上旬、8月中旬~10月中旬(真夏もタネまきできるが、病虫害にあいやすく、品質も低下する)。
リーフレタス…3月上旬~4月下旬、8月中旬~9月下旬。
コスレタス・ステムレタス・カキチシャ…3月上旬~4月上旬、8月中旬~9月下旬。
玉レタス…8月中旬~9月上旬。(タネを一晩水に浸け、濡れティッシュなどに包んで数日間冷蔵庫に入れ、芽出ししてからまく。芽出しまで乾かさないよう注意。)
耐暑性
やや弱い。
耐寒性
やや弱く、必ず霜除けする。
【補足】0℃以下になると生育が止まり、葉先から枯れ込むことがある。
解説
- レタスの仲間はとても多く、完全に結球する「玉レタス」、結球が不完全な「サラダ菜」、紡錘型に緩く結球する「コスレタス」、ほとんど結球しない「リーフレタス」、下葉からかき取って食べる「カキチシャ」、主に茎を食べる「ステムレタス」などがある。いずれも、高温・長日条件下ではトウ立ちしやすい。
- 玉レタス(玉チシャ)は、最も一般的なレタスである。完全な結球性で、「クリスプヘッド型」とも呼ばれる。主な品種は、「オンタリオ」「カイザー」「カルマー」「グレイトレイクS」「サンタナス」「シスコ」「シリウス」など。大型のプランターか、地植えでなければ作りにくい。タネまき時期を間違うと、すぐにトウ立ちしたり、結球しないまま収穫するはめになる。
- サラダ菜は、玉レタスの一種だが、結球が不完全で、「バターヘッド型」とも呼ばれる。主な品種は、「ウエアヘッド」「江戸川サラダ」「サマーグリーン」など。玉レタスより栽培が簡単。水耕栽培もできる。
- コスレタス(立ちチシャ)は、エーゲ海のコス島原産で、地中海沿岸地域でよく栽培される。他のレタスに比べて、葉が立ち上がり、紡錘形にゆるく結球する。葉はやや硬い。タネまき後70日程度で収穫できる。品種は、「コスタリカ」くらいしか見かけない。近い品種に、「マノア」「テルミー」がある。
- リーフレタス(葉チシャ)は、玉レタスと同様、なじみ深いレタスである。葉の縁がちりめん状になっており、結球しないのが特徴。主な品種は、「青縮緬チシャ」「オークリーフ」「グリーンウエーブ」など。
- なお、リーフレタスのうち、葉が美しい赤紫色になる品種は、「サニーレタス」または「赤チシャ」と呼ばれる。見た目に美しいので、ベジタブルガーデンの彩りによい。主な品種は「四季紅縮緬チシャ」「レッドウエーブ」など。水耕栽培も容易。
- また、焼肉を包むのに使われる「チマサンチュ」も、リーフレタスの一種である。レタス類の中では最も耐暑性が強く、夏でも栽培できる。これも青葉の系統と赤葉の系統があり、前者は春、後者は秋の栽培に向くという。
- カキチシャ(カッティングレタス)は、立ち性で、草丈が1m近くにもなるので、下葉からどんどんかき取って収穫する。葉は硬く、やや苦味が強い。草丈20cmを超えたら収穫開始。茎も、皮をむいて食べられる。
- ステムレタス(茎レタス)は、中国でよく栽培されるレタスで、「セルタス」「ヤマクラゲ」などの名で知られる。茎がよく太って、直径4cm、長さ30~40cm程度になったら収穫適期。茎の皮をむいて調理する。若い葉も食べられるが、下葉は堅い。
- 傷口から白い乳液が出るが、毒性などはない。
注意点・病害虫
- ややアルカリ性の土壌を好むので、石灰を散布してから植え付ける。
- 玉レタス以外のレタス(サラダ菜含む)は、65cmプランターで四~五株作れる。玉レタスは、65cmプランターなら二株、10号鉢なら一株が妥当。
- 玉レタスは、傷が付くと軟腐病が発生し、結球部分が一気に腐ることがある。また、すそ枯病になると、土に接する部分(主に葉柄)に褐色の大型病斑ができ、白~灰色のカビを生じる。いずれも、連作したり、通風が悪かったり、水はけが悪かったりすると発生する。なお、すそ枯病は、ハクサイ尻腐病と同じ病原菌なので、ハクサイと連作するのもよくない。
- 害虫は、アブラムシやヨトウムシ、ハモグリバエ、ナメクジが発生する。結球するレタスは、ナメクジが葉の間に入り込むことがよくある。
収穫・利用
- サラダ菜やリーフレタス、コスレタスは、下葉からかき取りながら収穫しても、根元から抜き取って収穫してもよい。かき取り収穫する場合は、必ず、上部5~7枚の葉を残し、そのたびに液肥を施せば、トウ立ちするまで長期間利用できる。
- レタスを食べるときは、包丁で切るよりも、手でちぎったほうが、変色しにくくてよい。また、葉の間に害虫が隠れていても気付きやすい。
余談
- 近縁種のエンダイブ(ニガチシャ、キクチシャ)も、玉レタスと同じ育て方ができる。秋、大株に育ったら外葉を縛り、二~三週間そのまま置いて、株の中心部を軟白してから収穫する。春まき(3~4月)も可能。「エンダイブ」は英語名で、フランス語では「シコレ」と呼ぶ。「シコレ」を英語読みすると「チコリ」になる。
- ハーブとして有名なチコリ(キクニガナ)は、英語では「チコリ」だが、フランス語では「アンディーブ」と呼ぶ。そして、「アンディーブ」を英語読みすると「エンダイブ」になる。(つまり、英語とフランス語で、名前が入れ替わっている。)なお、チコリについては別ページを参照。
- ややこしいが、エンダイブとチコリは同じキク科でも、全く別の植物なので、混同しない。日本では、エンダイブは「エンダイブ」「ニガチシャ」「キクチシャ」と呼び、チコリは「チコリ」「アンディーブ」「キクニガナ」などと呼んで区別する。
各種の和名・異名
- 玉レタス/玉チシャ(いずれもサティバ変種カピタタ)
- リーフレタス/葉チシャ/チリメンチシャ/縮緬萵苣(いずれもサティバ変種クリスパ)
- カキチシャ/立ちチシャ/コスレタス/ロメインレタス/カッティングレタス(いずれもサティバ変種ロンギフォリア)
- スカリオサ(異名)/プリッキーレタス(いずれもセリオラ)(※サティバの元となった原種)
ラクツカ属ではない種類。
- チコリウム・インティブス(学名)/チコリ/チコリー/スッコリー/キクニガナ/菊苦菜/アンディーブ/ブルータンポポ
- チコリウム・エンディバ(学名)/エンダイブ/ニガチシャ/キクチシャ/メリケンサラダ
(※データ:大阪市基準)