シシトウ/ピーマン
イメージ
原産地
中央アメリカ・南アメリカの熱帯
科
ナス科
高さ
50~80cm
花期
5~10月
形態
春まき一年草
収穫期
6~11月
別名等
カプシクム・アンヌーム(学名)
甘トウガラシ/ベルペッパー/グリーンペッパー/スイートペッパー(いずれもピーマン)
獅子唐/獅子唐辛子/青トウガラシ(いずれもシシトウ)
甘ト/甘トウ/伏見甘/ヒモトウ/ヒモトウガラシ(いずれも「伏見甘長トウガラシ」)
日照
4月下旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(根が浅いので、水切れは厳禁)。
【補足】花に水をかけると、受粉の妨げになる。トマトと同様に、水切れすると尻腐れ症が発生する。
肥料
春の元肥の他、一番果(一番最初の果実)収穫直後~10月上旬に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。
【補足】肥料切れすると、新枝が細くなって生長が鈍り、果実がなりにくくなる。
植え付け
5月上旬~6月上旬、株間40~50cm。
【補足】移植を嫌うので、根を傷めない。
整姿
根が浅く、地表に露出しやすいので、ときどき土寄せする。株元をマルチングし、乾燥から守る。
【仕立て方】一番最初の果実(一番果)は、小さいうちに収穫し、株の負担を軽くする。
一番最初の花(一番花)が咲いた後、その下から側枝が数本伸びてくるが、生育のよい2本を左右に伸ばさせ、他の枝は全て切り、「三本仕立て」とする。「三本仕立て」ができたら、主枝と左右の側枝に支柱を立て、安定させる。
繁殖
【タネまき】2月上旬~5月中旬(低温期は加温する)。
耐暑性
わりと強い。
耐寒性
とても弱い(最低15℃)。
解説
- トウガラシの甘味種を「ピーマン」と呼び、ピーマンの小果種(果実が小さい種類)を「シシトウ」と呼ぶ。つまり、ピーマンもシシトウも、トウガラシの一種。この仲間はいずれもトマトやナスより作りやすく、収穫量も多い。
- シシトウは甘味種なので、当然、果実は辛くないはずである。しかし、トウガラシと交雑してできた果実や、株に元気がないときにできた品質の悪い果実には、非常に強い辛味が出る。(特に、真夏に水切れさせたりすると、高確率で混入する。)とりあえず、辛味種のトウガラシの近くで栽培しないよう心がけ、夏場はしっかり水をやる。
- ピーマンの主な品種は、中果種では「エース」「京ゆたか」「翠玉二号」、大果種では「カリフォルニア・ワンダー」「ワンダーベル」などがある。その他、「バナナピーマン」は、トウガラシのように果実が細長く、色が緑→黄→橙→赤、と変化する面白い品種。また、「セニョリータ」は、トマトのような丸い果実で、甘味が強いのが特徴。
注意点・病害虫
- この仲間は本来、多年草だが、毎年タネや苗から育てるのが一般的。
- タネの発芽適温が高いので、タネから始めたければ、室内で加温しながらまく必要がある。それより、春に出回る苗を購入して植えつけたほうが楽。
- よい苗は、節間が詰まり、双葉が落ちずに残っている。また、一番花はすでに咲き、二番花が咲きかけている苗が植え付け適期。
- 酸性土壌を嫌うので、植え付け前の石灰を忘れずに。
- コンテナ栽培では、最低でも8号鉢に一株、65cmプランターなら二株とする。
- 比較的病虫害が少ない。しかし、連作したり、不潔な古土に植えたりすると、青枯病や疫病が出て、株ごと枯れる。うどんこ病やウイルス病にもかかる。
- トマトと同様、カルシウムが欠乏すると、生理障害の一種「尻腐症」が発生する。土に石灰を施していなかったり、土をひどく乾燥させたりすると特に発生が多い。土がひどく乾燥すると、カルシウムの吸収が妨げられることを覚えておきたい。
- 害虫は、アブラムシやハダニ、タバコガ、チャノホコリダニ、ミナミキイロアザミウマなどが発生する。これらは、ナス科植物の多くを加害する。
収穫・利用
- シシトウは、果実の長さが5cm程度になったら収穫する。「伏見甘長トウガラシ」や「万願寺トウガラシ」は、長さ10cm程度で収穫する。どの種類も実付きがとてもよく、かなりの収穫が期待できる。
- ピーマンの中果種は開花後15~20日、大果種は開花後2ヵ月程度で収穫できる。
- いずれも、未熟な緑色の果実を収穫する野菜だが、果実を収穫せずに放置すると、やがて、赤や橙、黄、紫色などに色付き、苦味が少なくなる。なお、ピーマンには、「カラーピーマン」「フルーツパプリカ」などと呼ばれる品種群があり、これらは色付いた完熟果だけを利用する。
余談
- 辛味種のトウガラシが日本に伝わったのは、16世紀頃とされる。それに対し、ピーマンなどの甘味種が伝わったのは第二次大戦後と、かなり遅い。
(※データ:大阪市基準)