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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ジャガイモ

イメージ

原産地

南アメリカのアンデス山地

ナス科

高さ

50~70cm

花期

5月

形態

春植え球根または秋植え球根

収穫期

5~6月・12~2月

別名等

ソラヌム・ツベロスム(学名)/陽芋/馬鈴薯/ポテト/アイリッシュポテト/ホワイトポテト/ジャガタライモ

日照

2月上旬~6月下旬の生育期は、戸外の直射日光下。
休眠期は、日光に当てなくてよい。

【補足】暖地で秋に植え付けをした場合は、冬季に必ず霜除けする。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。休眠期は、断水する。

肥料

元肥の他、芽かき直後と、草丈20~30cmの頃に、固形肥料の置き肥。

【補足】いつまでも肥料が効いているとイモの品質が悪くなるので、多肥は禁物。株元ギリギリに施すと、土中のイモが腐る原因になる。生育期の後半は、カリ(K)を主体に施す(草木灰を使うと楽)。

植え付け

【種イモ】2月上旬~4月上旬か、8月下旬~10月上旬、深さ4~8cm、株間25~40cm。

【補足】植え付けの三週間ほど前になったら、種イモを、日当たりの良い場所(温度は10~20℃に保つ)に並べて、毎日日光浴をさせ、発芽を促す(この作業を「浴光催芽」という)。
重さ50g未満の種イモはそのまま植え、50g以上100g未満の種イモは2等分、100g以上の大きな種イモは4等分して植える。(イモ一片につき25~40gとし、全てのイモに芽が残るように切り分ける。)
種イモを切った場合は、腐りを防ぐため、植え付け前に切り口を数日間乾かすか、草木灰を塗る。(その他、水で希釈した殺菌剤に浸けたり、切り口に殺菌剤を直接まぶす「粉衣」でも消毒できる。)
植え付けの際は、必ず切り口を下に向ける。

整姿

草丈が10cm程度になったら、勢いのよい芽を2~3本残し、他は全てかき取る。(株元を手で押さえながら行わないと、イモごと抜けるので注意。)施肥のたびに、必ず株元に土寄せする。花が咲いても、摘み取る必要はない。

繁殖

【分球】植え付け時。

【挿し芽】3月。(芽かきでかき取った芽を利用するとよい。挿し芽で作った苗からは、小さなイモしか取れない。)

耐暑性

弱い。

耐寒性

最低5℃を保つとよい。

解説

  1. ジャワ島のジャカトラ(ジャカルタの古称)から日本に伝来したため、かつて、「ジャワイモ」「ジャガタライモ」と呼ばれていたらしい。食用部分は根ではなく、肥大した地下茎(塊茎)である。
  2. 代表種の「男爵」「メイクイーン」の他、「インカのめざめ」「デジマ」「ニシユタカ」「ワセシロ」などの品種がある。その他、「アイノアカ」「アンデス赤」「ベニアカリ」「レッドムーン」など、外皮が赤い品種もある。品種によって、春植えに向くもの、秋植えに向くもの、春植え・秋植えの両方が可能なもの、の三系統がある。
  3. 初夏に、白~淡紫色の美しい花をたくさん付けるが、寒地以外では咲きにくいらしい。花後は、丸い果実ができる。果実は食用にならない上、地下のイモの肥大に影響するため、摘み取った方がよい。(上記の通り、花自体は摘み取る必要がない。)

注意点・病害虫

  1. 早春に種イモを植え、初夏に収穫するのが最も多いパターンだが、地域によって栽培暦が異なる。寒地では、春(4月上旬~5月上旬)に種イモを植えて夏(7~9月)に収穫するほうが一般的。暖地では、秋に種イモを植えて冬に収穫することも可能。
  2. 新しいイモは、種イモより上(地表側)にできる。したがって、株元への土寄せを怠ると、イモが日光に反応して緑色になり、有害物質(α-ソラニンなど)を作るので注意。なお、収穫後のイモでも、保存中に日光が当たると、やはり緑色になる。緑色の部分を食べると食中毒を起こすため、調理時に全て取り除く。
  3. スーパーなどで売っているジャガイモは、ウイルス病にかかっていたり、休眠中だったり、発芽抑制処理されていたりで、よい種イモにならない。まともな収穫を目指すなら、市販の種イモを購入して植え付けた方が賢明。
  4. 鉢植えには向かないが、10号以上の大鉢なら一株作れる。最近は、培養土の大袋に小さな水抜き穴をいくつか開け、その中に種イモを植えて栽培する「袋栽培」が、広く知られるようになった。
  5. 弱酸性(pH5.5~6)の土を好む。土壌酸度がアルカリ性になると、粉状そうか病が発生しやすくなるので、強酸性の土でもない限り、石灰散布の必要はない。ただ、石灰散布をしない場合は、土中のカルシウム不足が起こらないよう注意する。できれば、ジャガイモを作る前に、堆肥や石灰を使ってよく土づくりをし、一度、別の植物(ナス科以外のもの)を栽培してから、ジャガイモを植え付けるとよい。
  6. 粉状そうか病は、放線菌類による病気で、発生すると、イモの表面に、褐色をした、かさぶた状の病斑が多数でき、やがて病斑が破れて、黒い粉を出す。地上部には異常が出ないため発見しにくい。植え付け前に、土にネビジン、フロンサイドなどを混和しておくと効果がある。被害株からは種イモをとらない。
  7. 不潔な古土に植えたりすると、青枯病が発生しやすい。また、土壌が過湿になると、疫病も発生する。
  8. 4~8月に発生する夏疫病は、葉に同心円状の黒褐色病斑が多数でき、その周囲が黄化する病気である。水や施肥の管理が不適切になると、発生しやすいらしい。
  9. 5~6月に発生する黒あし病にかかると、地際部分から腐敗し、地下のイモまで黒くなって腐る。植え付け前に、種イモをアグリマイシン、アタッキン、バリダシンなどで消毒する。最初から種イモに病原細菌が入っていることもあるので、種イモは信頼できる店で購入する。
  10. 害虫は、アブラムシやテントウムシダマシの被害が多い。また、収穫後のイモに小さな穴が開いていたら、ハリガネムシ(コメツキムシの幼虫)の食害を受けた痕跡である。

収穫・利用

  1. 茎葉が黄色く枯れてきたら収穫適期。収穫したイモは、水洗いせず、日陰で数日間乾かし、風通しのよい冷暗所に保存する。

余談

  1. 収穫にこだわらなければ、ごく小さな容器でも作れる。極端な例だが、イチゴパックで栽培しても、直径1~3cmくらいの、ごく小さなイモが採れる。ただし、小さなジャガイモはソラニンを多く含み、食用に向かない。もったいなければ、翌年用のタネイモに。

(※データ:大阪市基準)