トマト/ミニトマト
イメージ
原産地
南アメリカのアンデス山脈周辺
科
ナス科
高さ
100~300cm
花期
6~8月
形態
春まき一年草
収穫期
6~9月
別名等
【トマト】リコペルシコン・エスクレンツム(学名)/リコペルシコン・リコペルシクム/ソラヌム・リコペルシクム(いずれも異名)/アカナス/六月柿/蕃茄/唐柿
【ミニトマト】リコペルシコン・エスクレンツム変種セラシフォルメ(学名)/ミニトマト/チェリートマト
日照
4月下旬~9月下旬の生育期は、戸外の直射日光下。
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。
【補足】病気の元なので、なるべく雨に当てない。
果実の肥大途中に水切れすると、ヘタの近くに同心円状の亀裂ができたり、果実の皮が固くなったりする。(水切れの直後に急激に水を与えると、今度は裂果することがある。)
肥料
春の元肥の他、一番果着果後(一番最初の果実が付いてから)~9月上旬に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。
【補足】窒素(N)が多いと病気が出やすい上、葉ばかり茂って収穫量が激減する。(特に大玉トマトは、窒素過多に敏感なので注意。)
肥料が過剰だと、葉先が垂れ下がったり、葉が巻き込んだりする。逆に、肥料が不足すると、斑点病が発生したり、果実が固くなったりする。
植え付け
5月上旬~6月上旬、株間40~50cm。
【補足】第1花房(一番最初の花房)が咲き始めた頃が最適期。移植を嫌うので、根を傷めない。
整姿
株元をマルチングし、乾燥や地温の変化から守る。半つる性なので、1.5~2m程度の支柱を立てるが、支柱への結束はゆるめにする。(柔らかいヒモで「8」の字型に結ぶのが一般的。)
下記の芽かきや摘芯など、株に傷が付く作業は、そこから病原菌が入りやすいので必ず日中に行い、傷口を早く乾かすようにする。
【仕立て方】
一本仕立て…株を大きく育ててたくさん収穫したい場合などに行う。
主枝の葉腋から次々と発生する腋芽を全てかき取り、一本立ちとする。(ミニトマトの矮性種は、第1花房のすぐ下の芽だけを摘む。)
主枝が支柱の先端まで伸びたら摘芯する。(下から4段目または5段目の花房の、2~3節上で摘芯するとよい。)
二本仕立て…あまり草丈が高くなって欲しくない場合などに行う。
第1花房のすぐ下の腋芽を、摘まずにそのまま伸ばし、側枝とする。(二本の支柱を立て、二本の枝をそれぞれ誘引する。)
主枝と側枝が支柱の先端まで伸びたら、一本仕立ての場合と同様に摘芯する。
【腋芽かき】矮性種を除き、主枝から伸びる腋芽は全てかき取るのが基本。品種によっては、勢いの強い腋芽が出た場合、そのまま伸ばさせ、花房の先にある1~2節を残して摘芯すれば、よい果実が成ることがある。
【摘果】一つの花房にならせる果実は、房の基部から3~5個目までとし、それより先にある果実は取り除く。
繁殖
【挿し芽】5~6月(芽かきで取った芽を挿すとよい)。
【タネまき】3月中旬~5月中旬。(一晩水に浸けてからまく。低温期は加温する。)
耐暑性
やや弱く、真夏は生育・結実が鈍る。
耐寒性
とても弱い(最低15℃)。
解説
- 知らない人はいないと思われる、緑黄色野菜の代表格。かつては観賞用だったらしい。果実の色は、赤だけでなく、黄色や橙色もある。果実の小さいミニトマトには、洋梨型の果実を付ける品種もある。
- トマトの主な品種は、「黄寿(黄実種)」「強力米寿」「サターン」「瑞光102」「豊福」「ホーム桃太郎」などがある。
- ミニトマトの主な品種は、「イエローキャロル(黄実種)」「イエローペア(洋梨型・黄実種)」「オレンジキャロル(橙実種)」「シュガーランプ(橙実種)」「チェルシーミニ」「ピコ」「ペペ」「ミニキャロル」などがある。草丈の低い「レジナ」という品種は鉢植えに最適。
- 家庭菜園の王様といった風情がある割に、暑さや病害虫に弱く、意外と作りにくい。どちらかというと、ミニトマトのほうが丈夫で収穫量も多く、作りやすいので、初めての人はこちらから。
- 本来は非耐寒性の多年草だが、日本では一年草扱いする。苦労して冬越しさせても、特にメリットはない。
注意点・病害虫
- 発芽適温が高いので、タネまきから始めようとすると、室内で加温しながらまく必要がある。5月頃にまけばよく発芽するが、収穫できる大きさに育つまで時間がかかる。春になると、たくさんの苗が出回るので、これを購入したほうが楽で、収穫開始時期も早い。
- 苗選びが大切で、悪い苗を選ぶと、その後の収穫量に差が出る。草丈が低く節間が詰まり、濃緑色の葉が5~6枚あって、第1花房の花が1~2輪咲きかけている苗がよい。双葉が落ちずに残っているかどうかも要チェック。
- 接ぎ木苗は、自根苗(接ぎ木されていない普通の苗)より病虫害に強く、丈夫で育てやすい。やや値段が高いが、自根苗ほど気を遣わなくてもよく育ち、病虫害が少ないぶん、農薬使用も抑えられる。ただし、果実の味は、自根苗のほうがおいしいと聞いたことがある。
- 苗を植えつけ適期より早めに買ったり、買った苗が小さすぎて植え付けできない場合は、取りあえず根鉢を崩さないようにポットからそっと抜き、一回り大きなポットや鉢に仮植えして、よく日の当たる暖かい場所で育てながら適期を待つ。その間、施肥は不要。
- トマトの仕立て方は、主枝を一本だけ伸ばす「一本仕立て」が一般的だが、最近は、二本の枝を同時に伸ばす「二本仕立て」も行われる。二本仕立ては、株を低めに仕立てることができ、枝が徒長しにくいのが利点。
- トマトは、茎から、ごく短い根(「気根」という)が発生することがある。接ぎ木苗の場合、接ぎ木部分より上から発生した気根(=自根)が土に触れると、自根苗と同様の病害を受ける可能性がある。(とはいえ、接ぎ木部分より上まで土を盛ったりしない限り、そのようなことはあり得ない。)気根は、土中の根の状態が思わしくないときに発生するので、どんどん出るときは、管理法を根本から見直す。
- トマトの大玉種は、着果(結実)不良が起こりやすい。着果がうまくいかなければ、植物ホルモン剤の「トマトトーン」を花房全体に散布する。二度がけは果実の変形を招くので厳禁。
- 第一花房(苗が生育して一番最初に出す花房)にできる果実は、乱形果(奇形果)になる確率が高い。また、高温期にも比較的、乱形果がよく見られる。これらは生理的なものなので、どうにもならない。
- 酸性の土を嫌う。下記の「尻腐れ」を防ぐためにも、植え付け前にきちんと石灰を散布しておく。
- 10号鉢に一株、65cmプランターに二株植えられるが、根が深く広範囲に伸びるため、なるべく、大きく深い容器を用いる。コンテナ栽培にはミニトマトのほうが向いており、7号鉢以上で栽培可能。矮性種なら、5~6号鉢でも栽培できる。
- 病虫害が多いので、接ぎ木苗や、耐病性の強い品種を育てる。不潔な古土に植えたりすると、青枯病や疫病、半身萎凋病などが多発し、全く収穫できない。他に、果実がカサブタだらけになったり、茎の内部が空洞になったりするかいよう病、葉裏に緑灰褐色のカビが生える葉かび病、葉や果実に大きな同心円状病斑ができる輪紋病もよくある病気。ウイルス病にもかかる。
- 害虫は、タバコガやハダニ、アザミウマ、オンシツコナジラミ、テントウムシダマシ、アブラムシが発生する。また、ネコブセンチュウやネコナカイガラムシがつくことがあるので、古土に植えたりしない。
- 果実の下部が黒くなってへこむ尻腐れ症(尻腐病とも)は、病気ではなく、カルシウム欠乏による生理障害である。あらかじめ土に石灰を施しておくのを忘れたり、土をひどく乾燥させたりすると発生しやすい。(土が乾くと、植物内におけるカルシウムの適切な移動が妨げられるらしい。)
- ただ、果実に同心円状の腐れが出るのは、尻腐れ症ではなく、実腐病という、れっきとした病気である。外見上は、尻腐れ症によく似ているので注意。
- また、果実の表面が部分的に淡褐色になったり、淡褐色の縦スジが現れたりするのは、カリ欠乏による「すじ腐れ症」である。果実を横に切断してみて、外皮に近い道管が点々と黒く変色していれば間違いない。この症状は、カリ不足に加え、日照不足になると誘発される。また、日当たりがよいのに果実のヘタの周囲だけ色付かないのも、カリ欠乏に起因していることがある。
- 犬猫に有害なので、与えてはいけない。
収穫・利用
- 未熟な緑色の果実も食用になる。漬け物やピクルスなどに。ただし、アルカロイドの一種を多めに含むため、一度にたくさん食べるのは良くない。
(※データ:大阪市基準)