カトレア類/ミニカトレア類
イメージ
原産地
中南米
科
ラン科
高さ
5~80cm(種類による)
花期
周年(種類による)
形態
多年草、着生、複茎性
別名等
カトレヤ/ヒノデラン
日照
4月中旬~10月下旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。
【補足】日光不足になると葉が垂れる。
水やり
生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。
【補足】二枚葉の系統は、葉の合わせ目に水をためない。
肥料
4月中旬~10月中旬に、10~14日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。
【補足】9月以降は、窒素(N)を含まない肥料を施す。生育期間中につぼみが出たら、花が終わるまで施肥を停止する。
植え替えを行ったら、その後二週間、施肥を停止する。
植え替え
【夏咲き種】花後すぐ~9月下旬。
【その他】4月中旬~5月下旬(秋咲き種は、できる限り早く行う)。
【補足】いずれも、2~3年に一度行う。
整姿
バルブが広がって、鉢が不安定になるようなら、支柱を立てる。葉のない古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。
つぼみがシース(花芽を保護するサヤ)を突き破れなければ、シースの先端を少し切ってやる。花が終わったら、花茎を根元から切る。
繁殖
【株分け・バルブ伏せ】植え替えと同時期。(バルブ伏せは、芽の付いた古いバルブを切り取って水ゴケで植え、芽を吹かせる方法。)
耐暑性
強い。
耐寒性
最低13℃を保つ。
【ミニ系】最低10℃を保つとよい。
【夏咲き種】冬も生育を続けないと開花しにくいため、最低18℃欲しい。
【補足】いずれも、高温にしすぎない。(最低気温が20℃を超えると、むしろ株の健康に悪い。)
解説
- ご存知、洋蘭の女王。ひと口に「カトレア」といっても、純粋なカトレア属だけでなく、近縁属(特に、エピデンドラム、ブラサボラ、リンコレリア、レリアなど)や、それらとの属間交配種(人工属)まで含むため、きわめて種類が多い。
- カトレアの近縁属のうち、ソフロニティス属は、全ての種類がカトレア属に編入された。それにより、ソフロニティス属は消滅した。
- 専門店でなければ見つからないが、原種のカトレア類も、なかなか奥深い魅力がある。主な種類は、インターメディア、ガスケリアナ、クアドリコロル(チョコエンシス)、グッタタ、シュロデラエ、ドウィアナ、トリアナエイ(トリアネー)、ノビリオール、パーシバリアナ、フォーベシー、マキシマ、メンデリー、モシアエ、ラビアタ、ルデマニアナ、ロディゲシー、ワーネリ、ワリシー(エルドラド)、ワルケリアナ、ワルセウィッチー(ギガス)など。同じ種類でも、株によって、花形や花色が変化に富むものがあり、特定の原種だけを集める愛好家もいる。
- カトレア類は、一つのバルブにつき、葉が一枚しかない系統(一枚葉)と、葉が二枚ある系統(二枚葉)に分かれる。大雑把に言って、一枚葉の系統は、大輪の花を数輪咲かせ、二枚葉の系統は、小~中輪の花を数多く咲かせる。
- なお、二枚葉で多くの花を咲かせる系統は、以前はカトレア属だったが、現在は分離され、新たに設立されたグアリアンセ属に入れられた。該当する原種は、オーランティアカ、スキンネリ、ボーリンギアナ、グァテマレンシスなど。
- 株の大きさは、種類によって、手のひらサイズのミニ種から、草丈1m前後の大型種まで変化に富む。
- 普通のカトレアとミニカトレアの区別に、厳密な線引きはなく、だいたい草丈が20cm以下なら「ミニ」と呼ぶらしい。ミニより、もう少し草丈が高いもの(30cm程度)は、「ミディー」と呼ぶことがある。
- ミニ、ミディー系のカトレアは、寒さに比較的強く、花の咲きやすい種類が多い。株が小さいわりに花は大きめで、見応えがある。株自体が小さく、室内で場所を取らないのもうれしい。
- 大型種のカトレアは、耐寒性が弱い傾向があり、加温設備なしでは少々やりにくい。意外と大きく育つ(最低でも草丈45cm以上、花が咲くとさらに高くなる)ので、置き場所に余裕のある人向き。
- 花の時期は、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きといろいろで、不定期咲きもある。うまく種類を揃えれば、一年中カトレアが楽しめる。なお、秋~冬咲き種は、短日条件で花芽ができるらしい。
- 開花期になると、まずシース(花芽を保護するサヤ)が出て、次に、シースからつぼみが現れ、開花する。なお、ミニ、ミディー系カトレアの場合は、シースが出ず、いきなりつぼみが現れることがある。
- 花に香りのある種類が多い。冬に室内で咲かせていると、部屋に匂いが充満する。
注意点・病害虫
- ワルケリアナのように、株が小型で、根が特に空気を好む種類は、ヘゴ板やコルクなどに着生させたほうがよく育つ。鉢植えにする場合は、平鉢を使う。
- カトレア類のうち、かつてソフロニティス属に含まれていた種類(朱赤色の花を咲かせるものが多い)は、蒸し暑さに弱く、暖地では夏バテしやすい。鉢植えではなく、ヘゴ板やコルクなどに着生させて育てたほうがよい。
- シースが出たからといって、すぐにつぼみが出るわけではない。場合によっては数ヵ月かかり、その間に、シースが褐色になって乾いてしまうことがある。しかし、シースが枯れたように見えても、腐らない限り、いずれ内部につぼみが出るので気長に待つ。
- つぼみや花は、ナメクジの大好物である。
余談
- 少し前、RHS(英国園芸協会)によるDNA解析をもとに、洋蘭の分類が大きく変更された。カトレア類も例外ではなく、ソフロニティス属が消滅したり、レリア属のランの多くがカトレア属に編入されたり、多数の新しい属が設立されたりした。それに伴い、人工属の属名も大きく変わり、少々混乱が起きたようである。
属間交配種(人工属)
カトレア系の人工属は大量にあるが、主な属に、下記のようなものがある。
- エピカトレア…カトレア×エピデンドラム
- エピレリオカトレア…カトレア×エピデンドラム×レリア
- オタアラ…カトレア×ブラサボラ×ブロートニア×レリア
- カトレイケア(カトレケア)…カトレア×プロステケア
- カトレイトニア(カトレトニア)…カトレア×ブロートニア
- ションボカトレア…カトレア×ションバーキア
- ブラソカトレア…カトレア×ブラサボラ
- ブラソレリオカトレア…カトレア×ブラサボラ×レリア
- ヤマダラ…カトレア×エピデンドラム×ブラサボラ×レリア
- リンコレリオカトレア…カトレア×リンコレリア
- レリオカトレア…カトレア×レリア
なお、カトレア属の血を引かない、近縁属同士の人工属も、カトレア類の一種として扱われる。主な属に、下記のようなものがある。
- グアリシクリア…グアリアンセ×エンシクリア
- ダイアレリア…ディアクリウム×レリア
- ブラソレリア…ブラサボラ×レリア
- レロニア…ブロートニア×レリア
(※データ:大阪市基準)