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素人園芸解説 -私はこう育てる-

カタセタム/クロウエシア

イメージ

原産地

中南米・メキシコ~ブラジル

ラン科

高さ

5~60cm(落葉期は低く、着葉期は高い)

花期

1~4月

形態

多年草、着生、複茎性

別名等

カタセツム(カタセタム)

日照

4月下旬~10月中旬の生育期は、戸外で20~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、月に一度とする。

【補足】葉の合わせ目に水をためない。葉が落ちたら、ほとんど水を与えないが、花茎が伸びていたら、控え目に水やりを続ける。

肥料

4月下旬~10月上旬に、7~10日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

4月中旬~5月中旬。

【補足】2~3年に一度行う。腐った根は取り、生きた根は切らない。

整姿

古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け・バルブ伏せ】植え替えと同時期。(バルブ伏せは、古いバルブを2~3個ずつ植え付け、芽を出させる。)

耐暑性

強いが、強光に注意。

耐寒性

最低13℃を保つ。

解説

  1. いずれも、乾季と雨季がある地域に自生し、乾季になると葉が枯れ落ちる、落葉性のランである。クロウエシアは、カタセタム属から独立した経緯があり、今でもカタセタムの仲間として扱われることがある。
  2. この二つの属はごく近縁で、性質や育て方は同じ。
  3. カタセタムは、種類によって、花型がかなり異なる。同じ種類でも、株によって、まったく違う花色になることも多く、渋いながらも、結構人気がある。
  4. カタセタムは、ラン科植物としては珍しく、雌雄異花である。雄花は観賞価値が高く美しいが、雌花は、緑色のタコのような、何ともいえない奇妙な形をしている。人工的に栽培すると、雄花のほうが咲きやすい。カタセタムの交配種が少ない理由は、雌花が咲きにくく、人工交配の機会が少ないためらしい。
  5. カタセタムの原種は、わりといろんなものが売られており、アトラツム、エクスパンスム、サッカツム、ディスコロール、テネブロスム、バルバツム、ビリディフラブム、ピレアツム、フィンブリアツム、プラティグロッスム、マクロカルプム、ルッセリアヌムなどがある。花色は、白~淡桃色、黄緑色、赤褐色など変化に富む。花に芳香を持つ種類が多い。
  6. このうちピレアツムは、カタセタムの代表種で、ベネズエラの国花。白~緑、赤色などをした大きな花をたくさん咲かせ、芳香を漂わせる。
  7. エクスパンスムとピレアツムの交配種であるオーキッドグレイドは、ピレアツムに似るが、花がやや小さい。こちらも花色に変異が多い。性質が強健で育てやすい。
  8. クロウエシアは、カタセタムとは違い、雌雄同花である。種類は少なく、原種のルッセリアナ、ロゼア、ワルシェウィッチーの他、交配種の「グレース・ダン」や「レベッカ・ノーザン」などを見かける。こちらも、花に強い香りがある。

注意点・病害虫

  1. カタセタム、クロウエシアともに、冬になると落葉し、バルブだけになるため、極力水やりを控える。葉の無い時期に水分が多いと、根腐れを起こし、調子が悪くなる。
  2. 生育期には、幅広の大きな葉を広げる。この葉は、薄くデリケートで、葉焼けしやすい。
  3. ハダニが付きやすいので、水やりの際、葉裏にも水をかける。

余談

  1. 近縁属であるシクノチェスやモルモデス、両者の属間交配種(人工属)であるシクノデスも、ほぼ同様にして育てることができる。これらは、カタセタムやクロウエシアに比べ、バルブが縦に細長く、全体的に大型に育つ。余談だが、モルモデスは、花型の異様さから、別名「ゴブリン・オーキッド」と呼ばれる。
  2. カタセタム、クロウエシア、モルモデスの三属交配は、フレッドクラーケアラ属と呼ばれる。(もちろん人工属。)これの代表種である、アフター・ダーク「SVOブラック・パール」という品種は、見事な黒花(よく見ると濃焦茶色)をたくさん咲かせ、栽培も容易なことから、人気が高い。
  3. この仲間は、ヤシの仲間に好んで着生するという。

属間交配種(人工属)

  1. フレッドクラーケアラ…カタセタム×クロウエシア×モルモデス
  2. モルモディア…クロウエシア×モルモデス
  3. モンニエララ…カタセタム×シクノチェス×モルモデス

(※データ:大阪市基準)