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素人園芸解説 -私はこう育てる-

シンビジウム

イメージ

原産地

東アジア~東南アジア・ニューギニア・インド東部・ヒマラヤ・オーストラリア北部

ラン科

高さ

20~120cm(種類による)

花期

12~4月

形態

多年草、地生または着生、複茎性

別名等

シンビ/シンピ/シンピジウム/シンビディウム/シンビジューム


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

3月下旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月中旬~9月上旬は30~50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】根が鉢いっぱいになり、水がしみ込まなければ、鉢ごとバケツの水に浸す。

肥料

4月上旬~10月下旬に、7~10日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~7月に、固形肥料の置き肥。

【補足】9月以降は、窒素(N)を含まない肥料を施す。

植え替え

3月下旬~5月中旬。

【補足】3~5年に一度行う。腐った根は取り、生きた根は切らない。開花していれば、花が終わってから行う。鉢から抜けなければ、思い切って鉢を割る。

整姿

葉のないバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は押してみて硬ければ残し、柔らかければ取り除く。秋から春にかけて、古い葉が枯れてくるので、根元まで茶色くなったら引き抜く。
葉の長い品種は、特に日照と通風に気を付けないと、葉が垂れやすい。


【芽かき】春、一つのバルブから新芽が複数出たら、かき取って一つにする(原則として、1バルブにつき1芽)。
芽かきの後、さらに新芽が出たら、見つけ次第かき取る。ただし、年明け以降に出た新芽はかき取らない。
9月以降に出る芽は、花芽の可能性があるので、形をよく見て、花芽なら残し、葉芽ならかき取る。(花芽は、全体的にふっくら丸みを帯びており、葉芽は、細長くて硬い。)


【花茎の扱い】花茎が伸びてきたら、光が一方向から当たるようにすると、花がそちらを向いて咲き揃う。
花茎の支柱立ては、全てのつぼみが見えてから行う。(下垂性種は支柱立ての必要が無いが、花茎を十分に下垂させるために、曲げた支柱に誘引したり、先端におもりを取り付けることがある。)
花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け・バルブ伏せ】植え替えと同時期。(バルブ伏せは、芽の付いた古いバルブを切り取って水ゴケで植え、芽を吹かせる方法。)

耐暑性

強い。

耐寒性

5℃でも耐えるが、できれば8℃欲しい。

【補足】日中25℃、夜温22℃を超える高温にあわせない。

解説

  1. あらゆるランの中で、最も生産量が多いのがシンビジウムである。冬の鉢花のほか、切り花でもおなじみ。
  2. シンビジウム属には、多くの種類があるが、園芸上は、東アジア地域原産の「東洋蘭」と、東南アジア周辺地域原産の「シンビジウム」に区別して扱う。「洋蘭」として扱われるのは、後者だけである。
  3. 東洋蘭とシンビジウムは、呼び方が違うだけで、まったく同属の植物である。しかしながら日本では、東洋蘭と洋蘭のシンビジウムは、それぞれ全く別の世界を確立しているため、「カンラン」「シュンラン」のページで簡単に解説した。このページでは、洋蘭としての「シンビジウム」だけを対象にする。
  4. シンビジウムは、きわめて改良が進んでおり、園芸品種が多く、花色や花型もさまざま。株の大きさも、小型種~大型種までいろいろある。が、高さ1mを越える大型種は、室内で場所を取るうえに、花が咲きにくく、耐寒性も若干劣るので、育てるなら小~中型種が扱いやすい。
  5. 小型のシンビジウムは、寒さに強く丈夫な東洋蘭の血を濃く受け継ぐ品種が多く、育てやすい傾向がある。
  6. 開花期も、早生種~晩生種まであり、咲きやすいのは早生~中生種である。晩生種は、とかく生育期間が短くなりがちで、バルブが十分に肥大せず、開花が二年に一度になったりする。
  7. 花の大きさは、小輪~大輪までいろいろ。大輪種は、一般家庭では、毎年豪華に咲かせるのが難しい。
  8. 近年は、サラー・ジーン「アイスキャスケード」のように、花茎が下垂する「下垂性シンビジウム」も人気がある。
  9. シンビジウムの花茎は、下垂性の種類を除き、自然の状態では斜め上に伸びる。が、支柱を立てて直立させることが多い。仕立て方はお好みで。
  10. シンビジウムの原種は、東洋蘭を除いて、あまり市販されていない。現在の園芸品種の交配親になった主な原種は、インシグネ、エブルネウム、エリスラエウム、エリスロスティルム、カナリクラタム、ティグリナム、デボニアナム、トラキアナム、フロリバンダム、ローウィアナムなど。その他、インシグネとエリスロスティルムの交配種アルバネンセも出回る。
  11. 下垂性シンビジウムは、デボニアナムやフロリバンダムの血を濃く受け継いでいる。
  12. 原種のシンビジウムのうち、エンシフォリウム(駿河蘭)、シネンセ(報才蘭)、ダイアナム(寒鳳蘭)、トラキアナム(虎頭蘭)、フロリバンダム(金稜辺)などは、洋蘭であると同時に、東洋蘭の一種でもあるため、そちらの売り場で見かけることがある。
  13. 原種の中には、着生種も多く存在する。(例、アロイフォリウム、エブルネウム、エリスロスティルム、カナリクラツム、サンデラエ、スワビッシムム、ダイアヌム、ティグリヌム、デボニアヌム、トラキアヌム、ビコロル、ペンジュラム、マスターシー、ローウィアヌムなど。)

注意点・病害虫

  1. 下垂性のシンビジウムは、花茎が伸びている間、強い日光を避け、最低温度をやや高めに保たないと、うまく下垂しないことがある。(上記のように、花茎におもりを取り付けて、無理やり下垂させてもよい。)
  2. 基本的に地生ランだが、根が空気に触れるのを好む。洋蘭専用土のような、粒の粗い用土に植える。
  3. 根が真下に長く伸びる性質があるため、縦長の鉢に植える。
  4. 適度な風に吹かれるのを好む。他の鉢との間隔を広めに取るとよい。風通しが悪いと、葉が垂れやすい。
  5. 極暖地では地植えが可能で、超大株に育つことがある。普通の暖地でも、冬を越すだけなら戸外で可能だが、霜に当たると傷むので、冬越しは室内で行うほうが無難。
  6. 東洋蘭扱いされるものを除き、多くの原種はやや寒さに弱く、越冬に8~10℃程度の温度が必要である。
  7. 一部の原種は、標高の高い地域に自生しており、耐暑性が劣る。エブルネウム、ティグリナム、デボニアナム、マスターシーなどが該当する。なお、これらは寒さにも弱い。

余談

  1. なぜか、シン「ピ」ジウムと呼ばれることが多い。
  2. 近縁属との属間交配種(人工属)も存在する。グラマトフィラムとの人工属、グラマトシンビジウムがそうだが、ほとんど見かけない。グラマトフィラムは寒さに弱い洋蘭だが、グラマトシンビジウムは、比較的耐寒性があるという。

各種の和名・異名

  1. シペロルキス・エレガンス(エレガンスの異名)
  2. トラキアナム/トラシアナム/トレイシアナム/虎頭蘭(いずれもトラキアヌム)
  3. グランディフロルム(フーケリアヌムの異名)
  4. プミラム/プミルム(いずれも異名)/フロリブンドゥム/ミツバチラン/蜜蜂蘭/キンリョウヘン/金稜辺/金陵辺(いずれもフロリバンダム)
  5. ダイアナム/カンポウラン/寒鳳蘭/ヘツカラン/辺塚蘭(いずれもダイアヌム)

(※データ:大阪市基準)