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素人園芸解説 -私はこう育てる-

デンドロビウム(セッコク系/ノビル系)

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原産地

東アジア~熱帯アジア・インド・ヒマラヤ・タイ北部の山岳地帯・オーストラリア・ニューギニア

ラン科

高さ

15~70cm(種類による)

花期

1~5月

形態

多年草、着生、複茎性

別名等

デンドロ/デンドロビューム


ノビレ(ノビル)

日照

4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は30~50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】越冬中、バルブに多少シワが寄っても気にしない。

肥料

4月中旬~10月上旬に、10~14日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。

【補足】8月以降、窒素(N)を含まない肥料に切り替えないと、花芽が高芽に変わる。

植え替え

4月上旬~5月中旬。

【補足】2~3年に一度行う。腐った根は取り、生きた根は切らない。株元のほふく茎が埋まらないよう、浅めに植える。

整姿

バルブが広がって、鉢が不安定になりやすいので、支柱を立てて安定させる。葉のない古いバルブ(茎のような部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。
花が終わったら、花がらを摘み取る

繁殖

【株分け】植え替えと同時期。

【茎挿し・高芽取り】4~8月。
(茎挿しは、バルブを3~4節ずつに切り、上下を間違えないように挿すが、花の咲いたバルブからは芽が出ないので注意。高芽取りは、十分根が伸びたら丁寧に外し、2~3本ずつ植える。)

耐暑性

強い。

耐寒性

5℃でも耐えるが、最低10℃を保つ。

【補足】高温にあわせない。

解説

  1. デンドロビウム属は、1000種類以上もある、ラン科の中でも最大級の属である。デンドロビウム属は、多くの亜属に分かれており、このセッコク系とノビル系は、デンドロビウム亜属(=デンドロビウム節)に属する。園芸上は、単に「デンドロビウム」といえば、この仲間を指すことが多い。
  2. セッコク系は、文字通り、日本に自生するセッコク(学名、デンドロビウム・モニリフォルメ)の血が濃い品種群である。特に寒さに強く、暖地なら、戸外で越冬できるものもある。ノビル系の品種に比べ、バルブがやや細長く、草丈も低い傾向がある。
  3. ノビル系は、デンドロビウムの代名詞的な系統で、園芸品種がきわめて多い。古くからある品種は、草丈の高いものが多かったが、最近はミニタイプも数多く登場している。
  4. 品種によっては、秋に、充実した新しいバルブの葉が落ち、その後、そのバルブに花が咲く。セッコク系の品種によく見られる性質である。落葉の状況は、バルブの葉が全部落ちるものから、中途半端に残るものまでいろいろ。
  5. 昔は、一年前に完成した古いバルブ(二年目のバルブ)に花が咲く品種が多かったが、現在は改良が進み、その年の春に伸びて秋に完成した、若いバルブ(一年目のバルブ)に開花する品種が増えた。なお、一度咲いたバルブからは、もう花芽や高芽は出ない。

注意点・病害虫

  1. セッコク系、ノビル系ともに、晩秋まで戸外に置いて、13℃以下の低温に5~7週間さらさないと、花芽ができない。これに失敗すると、花芽の代わりに高芽が出てきたり、たとえ咲いても花数が少なくなる。
  2. セッコクなど、低温性原種の血が特に濃い品種は、かなりの低温(5℃前後)を必要とするものがあるらしい。花付きが悪かったものは、翌年、もう少し長く低温にさらしてみるのも手。
  3. とはいえ最近は、花芽形成に、それほど低温を必要としない品種が増えている。自分の育てている株がどのような性質を持つのか、購入時に質問するなどし、把握しておくのが望ましい。
  4. 高芽は、日照不足や根腐れ、肥料過多など、生育環境が良くないときにも出やすい。株を殖やすには都合がよいが、あまりに出るようなら、育て方を見直す。
  5. 洋蘭の中では、花を咲かせるのが容易なほうである。が、市販のギフト品のように、バルブの上から下までびっしり見事に咲かせるのは。意外と難しい。どうしても、ちらほら咲きになりがち。たくさん咲いたと思ったら、今度は花が小さくなったりする。
  6. 葉に黒い斑点が出る黒点病にかかりやすい。通風に気を配り、夏場の蒸れに注意する。サプロールやダイセン、ベンレートが効くが、なるべく頼らないようにしたい。なお、品種によって、この病気への耐性に大きな差があるらしい。

余談

  1. 園芸店などで見かけるデンドロビウムには、セッコク系、ノビル系以外にも、いくつかの系統が存在する。花は小さいが、暑さ寒さに強く丈夫な「キンギアナム系」、切り花でおなじみの「ファレノプシス系(デンファレ)」、大きな白い花を咲かせ、暑さ寒さにやや弱い「フォルモサム系(フォーミディブル系)」などがよく栽培される。
  2. その他、数多くの原種(例、アグレガツム、クスベルトソニー、クリソトキサム、シルシフロルム、デンシフロルム、ピエラルディー(アフィルム)、ファーメリ、ブラクテオスム、ミヤケイ、ロディゲシーなど)があり、その草姿や性質、育て方は千差万別である。中には、暑さに弱く、暖地では育てにくい種類もある(例、クスベルトソニー、ビクトリアレギナエ、ブリメリアヌム、ベラチュルム、マーガリタセウム、ラウエシーなど)。

(※データ:大阪市基準)