レリア

解説

1. カトレアにきわめて近縁のランで、株姿や花型、性質がよく似る。カトレアとの最大の違いは、花の中にある花粉塊の個数らしい。(レリアは8個、カトレアは4個。)
2. カトレア類との属間交配も行われており、いくつかの人工属が作られている。
3. よく見かける原種は、アンセプス、オータムナリス、ゴールディアナなどがある。いずれも栽培容易。
4. このうち、アンセプスは、レリアの代表種である。普段の草丈は低いが、秋になると、花茎が1m近くも伸びてくる。低温に強く、最低5℃で越冬可能。花に変異が多く、愛好家が非常に多い。
5. かつて、ブラジルの高地の、日当たりのよい岩場に自生する種類を、「ロックレリア」と総称した。ロックレリアの仲間には、クリスパタ、サンギロバ、シンナバリナ、フラバ、ブリエゲリ、ミレリ、リリプタナ、レギナエ、ロンギペスなどがあった。
6. ロックレリアの仲間は草丈が低く、葉が多肉質で、葉縁が赤褐色を帯びることが多い。強光と乾燥を好み、低温にも耐えるが、種類によっては高温多湿に弱い。風に吹かれるのが好きなので、ヘゴ板などに着生させるか、バスケット植えとし、吊るして育てる。鉢植えにするなら、水ゴケではなく、軽石＋バークなどで。
7. DNA解析によるラン科植物の再分類の結果、レリア属のうち、ブラジル原産の種類が、ごっそりとソフロニティス属に移され、さらにその後、ソフロニティス属の消滅と同時に、今度はカトレア属に統合されてしまった。該当する種類は、ロックレリア全種の他、アラオリ、カウツキアナ、クリスパ、ジョンゲアナ、シンコラナ、ダイアナ、テネブロサ、パープラタ、ハーポフィラ、プミラ、プラエスタンス、ペリニー、ルンディー、ロバタなどである。かつてレリアの代表種だった種類がほとんど引っ越していき、レリア属は、やや寂しい属になってしまった。
8. 上記のうち、パープラタは、かつてレリアの代表種の一つであった人気種である。やや大型で、高さ40～60cmくらいに育つ。変種・品種が数多くあり、愛好家が多い。この種類は、夏に半ば休眠し、秋～翌年の初夏にかけて生育するので、越冬中も、ある程度の灌水と施肥が必要。(施肥は、秋に置肥を一回すれば足りる。)
9. パープラタによく似たテネブロサも、同様に人気がある。また、プミラは、丈夫な小型種で、ミニカトレアを作出する交配親として多用される。ただし、これらは、やや暑さに弱い。

余談

1. アンセプスは花茎が長く、切り花にできるが、水あげがあまり良くない。

属間交配種(人工属)

1. エピレリオカトレア…レリア×エピデンドラム×カトレア
2. オタアラ…レリア×カトレア×ブラサボラ×ブロートニア
3. カウレリア…レリア×カウラルスロン
4. グアリレリボラ…レリア×グアリアンセ×ブラサボラ
5. ブラソエピレリア…レリア×ブラサボラ×エピデンドラム
6. ブラソレリア…レリア×ブラサボラ
7. ブラソレリオカトレア…レリア×カトレア×ブラサボラ
8. ヤマダラ…レリア×エピデンドラム×カトレア×ブラサボラ
9. リンカトレリア…レリア××カトレア×リンコレリア
10. リンコグアリア…レリア××グアリアンセ×リンコレリア
11. レリアンセ…レリア×グアリアンセ
12. レリオカタンセ…レリア×カトレア×グアリアンセ
13. レリオカトニア…レリア×カトレア×ブロートニア
14. レリオカトレア…レリア×カトレア
15. レリリンコス…レリア×リンコレリア